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第4話 ~記憶と二人の関係~

家に着くとすぐに親に電話をかけた


『はいは-い、どうしたの?寂しくなった?』


「別に、寂しくないよ」


『そう?そこは嘘でも寂しいって言って欲しかったなぁ~お母さん的には、まぁ、息子の声が聞けただけでもお母さんはいいけど』


いつものやりとりをすると、俺は本題に入った


「そういえば、マザーレイス研究施設って知ってるよね?」


『……どうしてその名を?』


母親にこっちで起きている事件と俺が調べた情報を話した、母は全てを聞くと小さくやっぱりと言った


『いつかは言わないといけないとは思ってたけど……英樹、隠されたの真実を聞く覚悟はあるかしら?』


「隠された…真実?」


『えぇ、あなたが調べても出てこなかった事』


何の事かはさっぱり分からなかった、確かに水無紗月と音無零央、人類神化計画だけを重点に調べたから他はおおざっぱにしていた、とはいえ、一体どんな真実なのだろう


「まぁ、ここまで来たら引くに引けないからね」


『そう…じゃあ、言うわね…英樹、あなたも人類神化計画の適合者なの』


「は…?」


まさかだった、どういうことなんだろう、そんな情報は無かったし、そもそも適合者は水無紗月ただ一人だったはずだ


「待てよ…そんなデータ出てこなかったぞ!?」


『言ったでしょ?隠された真実だって……あなたも適合者で、私達がそれを隠した、あなたの記憶もね』


「記憶……操作?」


嫌な汗が流れていた、だが、妙に納得できる部分もある、俺の過去にマザーレイス研究施設という記憶がなく、さらに水無紗月との記憶もなかった、彼女に会っていたという資料データがあるのにその記憶がない、それに、そんな実験に巻き込まれていたなら微かに覚えていてもおかしくは無いが、その全ての記憶が全く無かった


『えぇ、というより記憶封印の方がいいかしらね、思い出したいならあなたに渡したペンダントがその鍵よ、人類神化計画である神、神宿しであるあなた、宿した神があなたに戻れば自然とその記憶も戻るはずよ』


「………どうして俺が?」


『…ごめんなさい、必要なことだったのよ』


「意味が分からない…」


『でも、その事件を解決するのにもその力は必要になるわ……けど、あなたには辛い思いをされることになるかもしれない』


「……」


正直頭の中はパニック状態だ、予想してなかった事を言われて否定したい気持ちが強いけど、それを真実として受け入れている自分もいる


『恨まれても仕方が無い事ではあるけど、信じてほしい、私達はあなたを愛してる』


「……わかってる、別に恨まないし、事件を解決するのに必要なら……なんでもいいさ」


『そう…ごめんなさい………あと一つ、あなたには辛い事を言わないといけないわ』


もう、なんでも来いだ、これ以上驚く内容は無いはずだ


『クローンの事だけど……お母さんの予想が正しいなら………』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……」


俺は風呂に入りながら、母親の話しを思い出していた、俺の過去よりもっとショックな内容だった

そして、それにより俺はこの事件を解決することに躊躇いが出て来た、事件を解決させなければ被害者達と先輩はそのまま、事件を解決すれば被害者の二人は助かるが先輩は…


「…いや、何を躊躇ってるんだ……ここまで来て何もしないなんて……」


俺は湯船から出て、再び決意した、俺にできることをやる、それに母親の話しは可能性の一つだ、そうなると決まっているわけではない


「よし…」


着替えると、俺はペンダントを探してみた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しばらく探してみると、寝室の机の中にあった


「これが鍵か……不思議な感じだな…これに自分の記憶があるなんてな」


蒼く綺麗な石が付いたペンダントで、まるで吸い込まれそうな感じだ


『ピーンポーン』


ペンダントを見ていると不意に家のインターホンが鳴った

こんな時間に珍しい、秋斗と美菜なら連絡はあるはずだし、そもそも病院に行ったなら自分達の家に帰った方が早い、まぁ、誰か来たなら出てみよう


「どなたですか?」


扉を開けながら尋ね人を見てみた、ちなみに面倒くさいのでのぞき穴は見ない


「こんな時間にごめんなさい…」


家に来たのは真向かいに住む水無紗月だった

こんな時間になんなのだろう、というより、放課後にあんな事があった後だとちょっと気まずい感じだ


「どうした?何か用?」


彼女は申し訳なさそうに顔を伏せていて、玄関の前で何も言わず立っていた、とりあえずこのままもよろしくないので彼女を家に入れることにした


「……」


彼女は相変わらず何も言わず椅子に座っていた、何かしらの用があるとは思うのだが、彼女が何も言わないので仕方なく話すまで待とうと思った


「…はい、ホットミルク」


「ありがとうございます……」


彼女に飲み物を渡すと向かい側に座った、彼女は飲み物を受け取ると一口飲んだ、がどうやら猫舌だったのか熱そうにしていた


「大丈夫か?」


「~っ……だ…大丈夫です」


少し涙目になっていたが大丈夫といい、一息ついたのか顔を上げた、彼女の目は赤く充血していて、どうやらあの後泣いていたみたいだ、まぁ、無理も無いことだろう


「…すいません、お話しがあったのですが……ちょっと不安で…」


「別にいいけど、話しって?」


「……放課後の事です、あれが本当だとしたら、私と手島君は小さいときに出会っていたんですよね?」


「らしいね…と言っても俺も記憶がないし、水無さんも記憶がないから何とも言えないけど」


鍵であるペンダントは見つけたから後はこれを使えば記憶が戻るかもしれないという状態ではあるんだが


「…もし、私達が出会っているなら……それで、幼馴染みが零央君じゃなくて、手島君なら……ペンダントをどちらかに渡していると思うんです」


「ペンダント……」


まさかだった、今持っているペンダントは彼女からもらっていた可能性があることになる


「…ペンダントって、どんな感じの?」


「えっと…どんな感じかは覚えていないんですけど……確か蒼い石が付いていたような…私のが紅だから対照的だねって言ってたような気がするんです」


「………もしかして…これ?」


持っていたペンダントを見せると、彼女はジッとペンダントを見て何度も頷いた


「これです!……そういえば、昔零央君に聞いたら無くしたって言っていたんですけど、手島君が持っていたなら納得です」


そう言うと彼女は首にかけているペンダントを外した、確かに彼女のは紅い石が付いていた


「……やっぱり、あれは本当の事実だったんですね」


彼女は少し悲しそうな表情を浮かべた、いつも一緒にいた音無零央が造られた存在と改めて実感したのだろう


「だな…仲良かったんだろ?」


「えぇ…でも、そんな事よりも……あの時約束をしたのに手島君の事を忘れてしまったことの方が私は辛いです……ごめんなさい…」


「……いいよ、俺だって同じような感じだし、謝るなら俺もだ」


約束…あの時夢の事なのかは分からない、どんな約束だったのか覚えていない


「そういえば、俺の母親がこのペンダントが俺達の記憶を戻す鍵になっているらしい」


「そうなんですか?……でも、どうやってですかね?」


鍵と言ってもどう扱えばいいのかお互いに分からなかった、というより方法を教えてもらっていなかった


「…もう一回電話してみる」


ペンダントを持って立ち上がると


「もしかして、石を合わせてみるとか?」


彼女も立ち上がりながらそう言った、アニメやゲームなら確かにあり得そうな話しだがさすがにそれで記憶が戻るのであろうか


「えっと…こう…かな?」


彼女はお互いのペンダントの石を合わせた、だが、特に何かが起こる様子はなかった


「……」


「あは…は、やっぱり違いますね」


苦笑いを浮かべながら彼女はペンダントを離した、するとお互いのペンダントがそれぞれ紅と蒼に光り始めた、まさしくアニメとかでよくあるやつだった


「な…なんだ?」


「光ってる?」


だんだんと光が強くなると眩しくなり腕で目を覆いながら目を閉じた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

少しして目を開くと、辺りは真っ白い空間に変わっていた


「なんだここ……俺達は家にいたんじゃ」


「えっ……」


お互いあまりの出来事に呆然と立ち尽くしていると、目の前に二人の少年少女が現れた


「もしかして…」


「……私と手島君?」


いくら昔の記憶がないといっても、目の前の少年少女が誰かは分かる、少女は隣にいる彼女の面影があり、少年もなんとなく俺のような気がする


『ねぇ、英樹君、昨日ねレア先生にペンダント貰ったんだー』


少女か紅い石が付いているペンダントを取り出した、あれは彼女が持っていたペンダントと同じやつだ、もしかしなくても、これは昔の俺達の記憶なのだろうか


『うわぁ綺麗だねー』


『でしょー…だからね、英樹君にもこれあげる』


ポケットからもう一つのペンダントを取り出した、いうまでもなく俺が持っていたペンダントだ


『ありがとう、紗月ちゃん、でもいいの?』


『うん、レア先生が英樹君にあげなさいって言ってたから』


『そっかー』


レア先生……確か、人類神化計画を提案した人物、そして、親に俺を使って紗月と同じように………あれ?なんで知っているのだろう?


「そうだ、この時に私は手島君に約束をしたんだ……」


「そうだったな……」 


彼女と約束した日、大事な大切な約束、忘れていたけどようやく思い出した……全部、自分の幼い頃の記憶を全て


「思い出したよ……私、手島君に会って、それで約束して……こんな大切なことを忘れるなんて」


彼女は涙を流しながら目の前の少年少女を見ていた、彼らは無邪気な笑みを浮かべながら話していた


『でねでね、レア先生がこのペンダント渡したときに二人で約束ごとをしたら叶うって言ってたんだよー』


『そうなの?すごいね』


『うん、だからね、もし、私達が大きくなってまた出会えたら、その時は私を英樹君のお嫁さんにしてね?』


『うん、いいよー大きくなって会えたら紗月ちゃんをお嫁さんにするよ』


「……うわぁ、私こんな約束してたんですね……約束したことは覚えていたんですけど…内容はちゃんと覚えて無かったです……」


「あはは……まぁ、幼い頃の良い思いでって事で」


改めて思い出すとなかなか恥ずかしい約束だった、いや、幼い頃は別に恥ずかしいとは思わないだろう、まぁ、目の前で自分達がそういう約束したことを見せられると正直恥ずかしい


「もしかして、この空間に来たことで記憶を思い出したって事なんですかね?」


「…多分そうかな?けど、これで確信が出来たわけだな」


「そうですね…でも、どうして零央君はあんな事を…」


「もしかして、この約束が原因かもしれないな」


「えっ?」


全て思い出した事で、この事件が起きたキッカケがなんとなく分かった


『……』


ふと彼らを見ると、こっちをジッと見ていた


「一体なんだ?」


『ようやく思い出したか?』


昔の自分にそう言われた、しかし声色は幼い自分のものではなく、聞き覚えがない声だった


「……お前達は一体?」


『ふふっ…お前達に宿った神と言えばいいか?』


「え?……嘘?」


目の前の少年少女は俺達に宿った神と言い出した


『まぁ、どんな神かと言われると答える気はないが』


『でも、あなた達に必要な力を授けることは出来ますよ』


「そうなんだ……でも、それって…私達…戦わないといけないの?」


『当たり前だろう、そもそも、そのためにお前達に宿ったのだからな』


「……そうか、それで、お前達はこうなる事が分かっていたのか?」


『えぇ、分かっていましたよ、だから私達が出て来たのですから』


『さて、手っ取り早く行きたいからな、受け取るがいい』


目の前の少年は俺に、少女は彼女に手を差し出していた

俺と彼女は差し出された手を掴んだ、すると不思議な感覚と少年少女の姿が光り始めた


「…これは」


俺の手に一本の刀があった、彼女は二丁の拳銃を持っていた


「私…零央君と…戦いたくない……」


「……俺がなんとかする……だから紗月はなにもしなくていいよ」


彼女は自分の手に持っている拳銃を見ていた、俺は刀を腰に取り付けて彼女を見た


「…でも……英樹君……」


「音無零央が俺のクローンなら、俺がケリをつけるしかない」


「……」


「とりあえず、元に戻ろう」 


同じようにペンダントを合わせて、自分の家に戻れるか試してみた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……戻れたな」


同じようにペンダントが光り、家に戻ってきた


「……それで、あの約束が原因って?」


「ペンダント、レア先生に渡した?」


「………あっ…そっか」


きっとこのペンダントはそういう用途で彼女に渡したのだろう、クローンを造るためにそんなことをするとは


「…私……のせい」


「……まぁ、起きたことは仕方ないし、解決すれば問題ないだろう」


「……怖くない?」


「……怖いより、どうにかできるのが俺なら、やらないといけないと思う」


もし怖いからやらないとなると誰がやるのかになる、だがら、俺ができるならやる、の方がいい


「…凄いなぁ…英樹君は」


「…そんなことないよ、今回は相手が相手だし」


ふと気付いたら持っていた刀が無くなっていた、


「武器が無くなったな……」


「そうだね、どうするんだろう」


「まぁ、どうにかなるだろう」


多分だけど、大丈夫な気がする、確信はないけれど


「それで、話しは変わるけど……約束、守ってくれる?」


「えっ…?……約束…?」


「うん、大きくなったら私をお嫁さんにしてくれるんだよね?」


「あっ…いや…ま、まだ早いと思うんだけどな…」


「ふふっ…冗談だよ、でも、本当に約束通り出会えたんだね、私達」


「だな、世の中分からないことがよくあるもんだな」


「…これから、よろしくね?例え何があったとしても……ちゃんと約束、守ってね」


「分かってるよ、幼い頃とはいえ俺もあぁ言ったんだ、最後まで責任は持つ」


「責任持つって……なんかやっちゃった恋人みたいな感じ」


目の前の人は意味の分からない事を言っているが特に気にすることなく流した


「そうだ、今日止まってもいい?」


「いや、目の前だろ…紗月の家」


「でも、記憶が戻ってきたから、久しぶりに英樹君と会った感覚だもん、これまでの事を話そうよ」


「……そうだな、まぁ、別にいいけど……というより、記憶が戻ってきたからお互い呼び方が変わったな……」


「そうだね……でも、私は昔みたいに呼びたいなぁ、それに英樹君に呼び捨てにされるの、なんか嬉しい」


「まぁ、紗月ちゃんなんて呼びにくいからな…」


「だね、それじゃあ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします」


「それ、使い方間違ってると思う」


「えっ…?」


その晩は彼女とこれまでの事を話し合った、マザーレイズ研究施設や秋斗と美菜の事、音無零央と朝倉先輩の事、いろいろと話して、そしていつの間にかお互い眠っていた

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