非日常は突然やって来る
試し書きなのでかなり短めです。と言っても気分によって長さは変わるのでこれから長くなるとは限らない…
僕の名前は柏木 めぐる(かしわぎ めぐる)15歳。今まさに目隠しをさせられて手も縛られている。一体全体どうなっているというんだ。僕は普通の高校生のはずなんですけど。それにしても車に乗せられてから結構経つのにまだ目的地につかないのかな。というかどこに向かっているのだろう。
「さぁ、着きますわよ」
彼女はそういうと僕の拘束具をはずしてくれた。
「一体何なんですか…ってどこだここ!?」
彼女が誰なのかということよりチラッと目に入った見たこともない建造物に驚いて口をパクパクしていると……
「あれは伊邪那美命女学園ですわよ。これからあなたが通う学校ですわ。あ、ちなみに全ての書類の届出などは済ませておりますので心配いりませんわ」
随分とまぁ読みにくいし書くのもめんどうそうな名前だこと。
「あ、そうなんだー。じゃあ大丈夫だね…じゃないわ!全然大丈夫じゃないよ?なんで急にそんなことになってんのさ!そして君は一体誰なのさ!?」
「まぁまぁ落ち着きなさい。私の名前は蘇我 咲良ですわ。次に何故このような場所にあなたが連れられてきたのか…それは私の許嫁になったので私と一緒の学園に入って貰おうかと思いまして」
ふむふむ、そがさんね
「さくらでいいですわ」
まるで心を読んだかのようなタイミング…と、それよりもさっきの爆弾発言が気になる…
「あの、許嫁とはどういう…それに僕はこの見た目だけど女なんですが」
そう、僕は女なのだ。この一人称と見た目、女性にしては低すぎる声のせいで何も知らないと男と間違われるのだ。
「あら、そんなことですの?」
結構…いや、かなり重要なことだと思うんですがそれは
「私は男性ですので許嫁で合ってますわよ?」
更にすごいこと言ってきたよこの人…こんなにも可愛らしくて綺麗な娘が男の子な訳が…
「疑ってますわね。それじゃあ確認して見るといいですわ」
そういって咲良さんは僕の手を掴んで自分の股間に当ててきた…おっと、こいつは初めて触ったが分かるぜ…男だ。
「あの…うん。分かったから手を放してくれないかな?こんなに可愛いのが男の子だなんて信じられないよ」
「か、かわ…コホン。まぁそれはさておき、許嫁の件についてですが」
もう色んなことがありすぎて忘れてたけど許嫁っていうのはどういう事なんだろう…。僕の家系は普通だって聞いてたような気がするんだけど…
「私の父とあなたのお父様が酒の席で子どもの自慢話をし合った結果…らしいですわ」
あれ、おかしいな僕のお父さんはSEって聞いてたんだけどなー
「何故あなたには秘密なのかは分かりませんがあなたのお父様は結構すごい方ということは伝えておきます」
本当に何なんだ…僕のお父さんがすごい人だったなんてにわかに信じがたいけれどわざわざこんな場所に連れてこられるくらいなんだから8割がた信じても…いや、信じるしかない。
「ほら、つきましたわ。まずは寮母さんに挨拶しに行きましょう」
改めて見るとやっぱりすごいなぁここは。まず校舎までの道の両側に綺麗な噴水と花壇、教会とかにありそうな石像がきっちりシンメトリーに並んでいる。そして校舎が大きい…絶対迷子になるな…とか思っているうちに寮へ着いたようだ。
「何をしているんですの?早く入りましょう」
寮内は綺麗に掃除された玄関で踏み入れるのが恐れ多いくらいだ…それになんかフローラルないい香りがする。もう…すごいとしか言いようがない。
「あら、蘇我さんおかえりなさい。その隣の子は?」
通りかかって来た女性が声をかけてきた。
「ただいま戻りました。こちらは今日からお世話になる柏木さんですわ」
「まぁ、あなたが…私は寮母の如月 貴和子です。これからよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いします!」
ニコッと優しそうな笑顔で去っていった。よかった、何となくいい人そうだ…
「ちなみにあの人はレズビアンで女の子だと片っ端から襲ってるので気をつけた方が良いですわよ」
前言撤回。絶対こっちからは近寄らないぞ。何故そんななのにクビにならないんだ…
「忠告ありがとう…それで部屋は何処なの?」
「部屋は私と一緒ですわ」
へぇ、一緒の部屋か…あれ、一緒の部屋…?
「ちょっと待って。咲良さんは男なんだよね?一緒の部屋というのはまずくないかな」
「何言ってるんですの?部屋がおいしいワケありませんわ」
いやそういう事じゃなくて男女一緒の部屋というのがおかしいのであってそもそもなんで男女一緒なのが許されてるの?おかしくない?ねぇ、おかしくない?
「心配いりませんわ。許嫁であっても私は大人になるまでs…」
「あー!そのあとは言わなくていいから!早く部屋が見たいからさ、ね?」
「と言われてももう目の前にあるのが私たちの部屋ですわ」
玄関から近いとこでよかった…これで迷わないで済む。しかもトイレも近いからこの部屋は結構いい場所にあるのかも。
「これが私の部屋…もとい、私たちの部屋ですわ」
部屋に入ってみるとそれはもう凄かった。何がというとまず咲良さんの見た目に反してすごく汚い。衣類は散乱してるし洗面台はメイク道具だらけ。ゴミこそ無いものの雑誌なんかも散らかっている。地味に凄いのがこの部屋ベッドが二つ並んでるんだけど部屋を真っ二つにしてほかの部屋をくっつけたかのように片方は汚い、もう片方はすごく綺麗になっている。
「そちらの綺麗な方がめぐるのスペースですわ。別に領域は決めておりませんのですが私の方に入るとものがなくなっても責任はとれませんわ」
汚いという自覚があるなら片付けようよ。しかも当然のように僕の部屋にあったもの大半がもう運び込まれている。転移魔法でも使ったのかな?そんなことを思いながら棒立ちしていると部屋をノックする音が聞こえたので振り返ると…
部屋に入ってくるのは一体誰なんだろうね。