表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人造のアーダム  作者: 猫一世
ロンズデーライト
21/47

ロンズデーライト 第二節

 ガタガタとトラックが揺れるたび、車内にいる男たちの武器がこすれる音がする。誰もしゃべらず、誰も動かないために、この空間にはその音しか響いていなかった。

 その断続的な金属音の演奏がしばらく続いたのちに、車はゆっくりと減速していき、停車した。それを合図とするように、私は立ち上がった。

「再度作戦の確認だ。殺していい相手と、そうではない相手は逐一君たちのゴーグルを経由して知ることができる。それで攻撃手段を各自判断するように。勿論命の危機を感じれば反撃して構わない。だが何よりも優先してレベル3以上職員を探すように。作戦が終われば再度このトラックに集合。質問は?」

 私の問いに対し手を挙げる者はいなかった。皆静かにこちらを見つめ、頷くだけであった。

「では、行こう」

 私は荷台の扉のスイッチに手をかけ、再び彼らを見渡す。まるで彼らの覚悟を見定めるかのように。だが彼らは私の視線の意図を理解したのか、誰一人として目を逸らすものはいなかった。

 私はふっと軽く息を吐いてから、スイッチを押した。トラックの扉は勢いよく開き、それと共に私も飛び出した。私の兵隊たちも後を続いた。トラックを外に出ると、夜の帳に覆われた深緑の光景が目の前に現れた。ここは人工的に植林された、都市中央の自然区である。そして同時に、私たちイルルヤンカシュの狙いである、ドゥアザルルのボーヴェ支部から1kmほど離れた場所でもあった。この森林はボーヴェ支部の裏手まで続き、彼らを攻めるには打ってつけの経路でもあった。勿論彼らもそこからの攻撃は想定している。実際見渡す限りあちらこちらに、センサー式の人感センサーが配置されている。

 この人感センサーはボーヴェ支部の半径500m圏外までは単なる警報音が鳴るだけであるが、そこから先になると、自動的に攻撃するシステムが作動し、侵入者を躊躇いなく排除する殺戮兵器へと変貌を遂げる。この防衛機構は非常に強力であり、なんなら正面から突っ込んだ方がまだ勝算が高いとさえ言えるほどのものだ。

 無論、このシステムが万全に作動できれば、の話だが。

「全ユニット、各自ゴーグルに表示されたエリア内には入らぬように注意して、私についてこい」

 無線で総勢三十一人からなる全部隊に指示を出し、森林の中を進んでいく。

この人感センサーに抜け道はない。この人感センサーは一つ一つが半径15mをカバーしており、また必ず隣接する九個のセンサー範囲と数十cmずつ重複するようになっているため、センサーを躱して進むことは不可能だ。

また一つでも破壊したり機能を失ったセンサーが出ると、その周りのセンサーが警報音を鳴らすか、もしくは500m圏内であれば四方から鉛玉が飛んでくることになる。

ではどうするか。

 単純だ。破壊も、回避もできないなら、破壊せずに回避できるようにすればいい。

 それぞれの人感センサーにハッキングを加え、探査範囲を1m程度狭めて道を作った。文字通り抜け道を行くだけである。とはいえ、それほど大きな空間ではないので、一列縦隊の形をとらざるを得ないが、しかし侵入難度の高さから、ほとんど警戒されていないために、戦列を組む必要はなかった。

 その後、500m圏内も何事もなく侵入ができ、もうすでにボーヴェ支部を視界に捉えられるようになっていた。人感センサーもすでに存在していなかったが、支部の周辺にはドゥアザルルの兵隊たちが待機をしていた。

「ここから確認できる兵の数は五人か」

 恐らく背面はセンサーに任さていたためか、警備は思った以上に手薄だった。とはいえここで騒げば正面で待機している者たちが応援に来るのは明白である。

 求められるのは静かで、かつ迅速な排除。ただし彼らは絶命、もしくは睡眠や昏倒といった状態に陥ると、ただちに仲間へ危険信号を送るようになっている。しかし勿論、彼らのデススイッチが、今回起動することはないが。 

「私が五人とも排除する。アルファ部隊は私に何かあれば発砲を許可する。ベータとガンマ部隊は各自侵入地点まで移動、私が彼らを排除したと同時に侵入を開始しろ」

 仲間に指示を出したのち、私は森の茂みから駆け出した。

 まずはもっとも近くにいた男の喉にナイフを突き立てる。その男は私を目視することもなく、そのまま命を絶った。都会とはいえ、夜の暗闇に覆われていたためか、残りの男たちは私の姿を未だ捉えることができていない。右方向にいた二人にナイフを投げ、それと同時に左方向へ疾駆。ナイフが男たちの首に突き刺さるよりも速く、左側の男の一人の首をへし折る。ナイフの刺さった音が二回聞こえてから、やっと私の存在を視認出来た最後の男が、手にしていたライフルを構えようとする。しかし彼は私に銃口を向けることさえ敵わず、次の瞬間には、私の放った銃弾によって脳漿を大地に飛散させていた。

「お見事。ですが、完全消音のその銃なら、別にナイフに拘らずともよかったのでは?」

 アルファ部隊の副隊長が私に声をかける。

「ナイフは回収ができる。銃弾は不可能だ。今からできるだけ多くを殺そうっていう時に、無駄弾は使えんよ。それよりアルファ部隊に指示をだせ。ベータ部隊とガンマ部隊が突入し次第、我々も攻撃を開始する」

 



 私とガストンは、作戦の指揮官として、今回はこの支部の支部長室の前に待機することになった。私は出来れば前線に出たかったが、臆病なこの支部の長は、それを良しとはしなかった。だがプライドだけは高く、逃げるという選択肢はしなかった。面倒な男だ。

「なあ、ガストン、貴方ならどう攻める?」

 体は正面を向いたまま、隣のガストンに話しかける。

「ふむ、正直俺なら攻めないのが一番利口だと思うね。俺の知る限り、最高の手練れが十人揃っていたとしても、俺なら参加しないね」

「そうか、そうだよね」

 今回はアラドカルガの助けはなく、最高の防衛体制とは言い難いが、それでもなおこのボーヴェ支部の防衛機能は鉄壁のそれだ。

 後方の森林に用意された人感センサーは勿論のこと、支部内のいたるところに設置されている対人レーダー搭載の自動機銃、加えて指定のカードでしか開かない扉も複数設置されている。道は狭く、入り組んでおり、とてもではないが攻めるに適した構造とは言えない。実際のところ、我々アペプケデッドも、待機場所に関してはかなり困り、建物内には各部に配置したが、その三分の一近くを周辺、特に支部正面の玄関に配置せざるを得なかった。

 いや、そもそも大抵のテロリストであれば、この支部独自の防衛機構で排除できるだろうから、逆に内部に配置しすぎてはそうした防衛機構の妨げになる可能性が高い。また支部長室はこのビルの最上階、地上350mもの高所に位置しており、そもそもここまで攻めてくるのさえ困難を極めるだろう。

「しかしだとすると、やっぱり他の支部じゃないかなぁ。ここをいきなり攻撃はしてこないでしょ。私なら絶対ここは攻撃しないなぁ」

「そもそも奴らの目的がはっきりしてないし、なんとも。ドゥアザルルの上級職員を一人でも多く殺したい、ってわけでもないだろ。もし殺したいだけなら、わざわざ乗り込まず、ミサイルの一つでも飛ばした方が有効だろ」

 決して答えにたどり着くことのない、推論だけの問答が続けていると、突然通路を照らしていた電灯が消えた。

「予備電灯がつかないわね」

「ああ、タダの停電じゃないな」

 後ろの部屋からは支部長の慌てふためく声が聞こえてくるが、私とガストンは至極冷静に状況を判断していた。

「無線は?」

「駄目ね、ジャミングされてるのか、全く使えない」

 現状を確認しようと部隊との連絡を試みるが、無線から聞こえてくるのは耳障りなノイズ音だけだった。

「どうするアリア」

 この階層の非常灯のみが唯一の光源であるため、視界は未だ暗黒に包まれてはいるが、辛うじて隣に立っていたガストンが、私の指示をあおぐように、こちらに顔を向けていることだけはわかった。

 私は僅かな光をもとに、エレベーターの方へと壁伝いで向かう。エレベーターのスイッチを押すが、勿論反応はせず、ただカチャカチャという音だけが鳴るだけであった。

「エレベーターが使えない。ということはどちらにせよ敵も階段以外に行動手段はない。だとすればここ六十五階まで上がってくるのはまず困難だ。私たちは下に降りて、部隊の援護をしよう」

 エレベーターから離れ、非常階段の扉へと向かう。扉は電子ロックがかかっていたが、この停電の結果そのロックも解除されていた。扉の重量はかなりのもので、私の筋力をもってしても開けるのに苦労するほどであった。

「だが、迎撃しようにも部下に伝えなくては。彼らも狼狽しているはずだ」

「このビルは確か、一階から三十五階までが、東西二つの階段、そこからは階層中央の階段が最高層まで続いているんだったね?」

 扉の先、まるで深淵を覗き込んでいるかのような気にさえなるほどの、果てしない暗闇を見下ろす。

「ああ。確か四十階は他の階層と天井高が少し違うんだったな。確か三階層分の高さだったか。あそこはこのビルで一番部隊を固めたところだ」

「迎撃にも向いてるわね。私たちが死守すべきは四十階、この階段の入り口ね。もしそこにまだ敵の手が迫っていなければ、部隊を分けましょう。東階段と西階段を降りる部隊、そして中央階段を守る部隊に分け、このビル内の職員をできる限り救援する。いいわね?」

「了解」

 私とガストンが下に降りようとすると、支部長室から再度叫び声が聞こえてくる。

「なあ!おい!あんたら!!どうなってるんだこれは!?説明してくれ!!」

 私とガストンは、彼をどうしようかと、無言で見つめ合う。だが得た結論はどうやら同じなようだった。

「あの扉も確か、結構重かったよな」

「ええ、あのおデブさんには絶対開けられないわね」

「じゃ、作戦実行だな」


 彼の叫び声には応えず、そのまま階段を急いで下っていく。ただし階層ごとに声をかけ、職員たちに待機を指示したために、二十五階分を降りるだけでもかなりの時間を要してしまった。

 降りていくと、少しずつだが銃声と叫び声が聞こえるようになってきた。だが結局、四十階までは私たちは敵と遭遇することはなく、数名の部下たちと合流することもできた。

「アリア隊長、ガストン副隊長」

「クロード、この階層の部隊はこれで全部?」

最初に声をかけてきたのは、この階層の指揮を任せられていたクロードであった。

「はい。下に降りようかとも思ったのですが、ここを防衛するのが先決と判断し、駐留していました」

「問題ないよ。まずはこの階層の職員を全員四十一へと連れて行く。その後、今後の作戦を立案。いいわね」

 この階層に留まっていた兵の数は八人、彼らには職員への呼びかけを手伝ってもらい、その後集めた職員を、四十一階へと誘導した。その後再び四十階へと戻り、改めて今後の作戦について検討する。

「ここには三人ほど残ってもらう。それで私は東階段を降り、残った六人は西階段を降りて、味方を救援、もしくは職員をここへ誘導するように」

 私が立案したその指示に、ガストン以外の全員が驚いていた。

「あの、隊長。一人で大丈夫ですか?」

「ああ、問題ないから。それじゃ六人、俺についてくる奴は挙手を……」

 ガストンが命令を下そうとした時、かなり近くで爆発音が鳴り響いた。恐らくはこの階の真下が音の発生源であろう。

「まずいね。もうここまで来たか。かなりの手練れかもしれない」

 突然の消灯で混乱こそすれ、私の部隊はいずれも戦争や紛争の経験を積んだ優秀な戦士ばかり。そんな兵士たちをものともせず、既に四十階もの高さを昇ってきたのだとすれば、彼らの強さは想像以上のものだろう。

「一度、ここで敵を迎え撃つ。第一波を防ぎきった後、先ほどの指示通りに」

 各自その指示で中央階段を守る形で陣形を組む。中央階段は、この建物の北端に位置し、その前には東西へと伸びる狭い廊下があった。両側面から来ることを予期し、西側をガストン率いる九人で見張らせ、そして彼らの背面を守る形で私が東側を警戒した。

 既にここにいた兵たちは、職員を退避させている間に、オフィスから探してきた机などで遮蔽物やバリケードを作っていた。私は自分の身を守る必要はないが、私が防ぎきれなかった弾丸は容赦なく仲間たちに襲い掛かることになるので、目の前にあった巨大な金属製の棚を使って、人一人が辛うじて通れる程度の狭い空間を空けて、バリケード代わりにした。

 誰もが息を潜め、静かに静かに、敵の到来を待つこと数分。私たち以外の足音が複数、この階層の廊下を響かせていた。

 その足音は徐々に大きくなっていき、そして

「撃てっ!!」

 西側を守っていたガストンたちが、敵を視認したのか、彼は部隊に射撃の命令を下す。ほぼ同時に私も、東側からの敵を確認し、自動小銃の引き金に指をかけた。

 廊下を包んでいた暗闇を銃火の閃光が切り裂き、重い静寂を爆音が劈く。

 しかしそれをもたらしていたのは私の銃でも、ましてや味方の部隊の銃でもなかった。

 引き金をどれだけひいても、銃口からは煙一つ上がらなかった。どうやらその状況は私だけではなく、他の者たちも同様だった。

 突然の事態に動揺している私の部下たちに、容赦なく敵の凶弾が貫く。

「階段の方へ退け!!」

 私はそう叫びながら、鉄の棚を持ち上げ、東側の敵に投げつける。そしてバリケードに隠れている味方の部隊をカバーするように、前に飛び出し、遮蔽物に使われていた鉄の机を盾にしながら、味方の撤退を支援した。

 味方の撤退を確認し、その持っていた机もまた、敵へと思いっきり投げつけ、私も階段の方へ一時的に退いた。

 味方の死傷者は一人。突然の事態ではあったが、半壊などにはならず良かった。

「アリア、ダメだ。銃が使えん」

「私も。皆も同じ?」

 どうやら持っていた銃は全て、使い物にならなくなったらしい。この自動小銃は最先端の高性能なもので、敵までの距離を自動的に測定し、射撃制御装置が発射された炸裂弾を、敵のすぐ近くで砲弾の信管が発破するようにコントロールする。一発一発が敵を確実に殺傷し、同時に近辺の敵も巻き込むというものでありながら、それをセミオートで発射できる説明するだけでも恐ろしい銃だ。先手さえ取れれば、ほぼ一方的な虐殺を可能にするが、この銃の最も優秀なところは他にある。

 それはフレンドリーファイアの抑止。事前にこの銃に味方をインプットしておくことで、射線上に味方がいた場合の射撃を制御するというものだ。炸裂の位置が敵のみに当たるように計算され、また完全に射線上に味方が被っていたら、射撃そのものが行えなくなる。

 今の状態はまさにそれだ。まるで常に味方が銃口の前に立っているかのように、一発たりとも発射する様子はなかった。

「まさか」

 冷静に現状を見つめ直す中、私はあることに気付き、

「皆、アナログな銃は持っている?」

 と、部隊に指示をだす。彼らは言葉の意味を理解するのに少しばかり逡巡していたが、

「引き金引いたら弾が出るだけの簡単な奴だ!射撃制御とかそんなのが無い、古典的な奴のことだよ!こういうのだ!」

 というガストンの説明と、彼の出した回転式の拳銃のおかげで、ようやく得心がいったらしい。だが結局私の求めた銃を出せたのは、ガストンだけだった。

「仕方ない。皆はとりあえずここで待機を。ガストン、いつものヤツ行くよ」

「了解だ」

 残りの味方たちは未だ状況を飲み込めていなかったが、残念ながら説明している暇はなかった。敵はそこまで迫っている。階段に繋がる戸を開け、そこに皆入るよう指示する。

「隊長!俺たちも戦います!」

「ええ、戦ってもらうわよ。けど少し待ってなさい。私とガストンが敵から銃を奪ったら、必ずあなた達に渡すから。それを使って援護して」

 彼らはまだ納得していなかったが、私の圧に押されてか素直に従ってくれた。

 階段の戸は人一人分が通れるように、少しだけ開き、私とガストンがその前に立った。ガストンはまるで私を盾にするかのように、私の肩越しに銃を構えていた。

 銃が使い物にならないことを理解してか、曲がり角にも関わらず警戒すらせずに、飛び出すと同時に銃を容赦なく放つイルルヤンカシュの部隊。私は顔の前に両腕を交差させながら、銃弾を受けた。勿論銃弾は貫通は愚か、私の肌を少し焦がすことが精一杯だった。

「行くよ!」

 私は自分に喝を入れ、敵へと突っ込む。銃弾の一発一発が致命傷になることはありえないが、とはいえその衝撃は無視し続けられるほど軽いものではない。銃弾のカーテンを進むのは文字通り骨の折れることだった。

 耳元で響くガストンの拳銃の射撃音。その弾丸は確実に敵の首元に飛んでいった。

 何発浴びせても死なない女と、予想だにしなかった反撃に、表情こそ伺えないが、敵は確実に動揺をしていた。そのせいか、弾幕は一時的に薄くなり、思わぬ好機が生まれた。

 ガストンに合図を送り、私は敵へと駆けた。

 最も近くに位置していた敵の首を右腕で掴み、左腕を振りぬいて首の骨を折る。私に銃を構えなおした兵の銃口を掴んで、思いっきり引っ張り、裏拳で頭蓋を砕く。そしてその銃を背後のガストンへと投げ渡した。敵は私を一番の脅威と見ており、後ろのガストンには気を取られていなかったため、もう彼の盾になる必要はなかった。

 趨勢は決した。

 一人、また一人と拳で、時に胸骨を砕いて心臓を潰し、時に肋骨を砕いて肺を貫き、時に頭蓋を砕いて脳を破壊した。

 ガストンは敵の銃で攻撃しながら、隙を見て銃を拾い、私が彼としたのと同じように、それを後方へと投げる。それを私の部下たちは手に取り、戦列に加わった。敵の総数は二十を優に超えていたが、その後は一人の犠牲も出すことはなく、制圧は完了した。


「アリア、この後は予定通りに?」

 ガストンは敵の生死を確認しながら、私に今後の指示を仰ぐ。

「いや。私だけ最上階に向かう。他の皆は二手に分かれて、先ほどの指示通りに」

 ガストンは私の言葉に瞠目している。

「は、なんで最上階に?今は上に敵はいないだろ」

「いや、私の推測が正しいなら……」

 予備電力さえ起動しない停電、そして敵対者にのみ対象を限定した、通信機器のジャミングと射撃制御の干渉。この全てを同時にこなすことのできる存在など、”彼ら”をおいて他にない。

「おそらくウィンロックさんの危惧は正しい」

 このイルルヤンカシュの部隊の指揮を執っているのは、間違いなくアラドカルガだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ