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猫目夕の扉  作者: 小説の欠片
出会い
5/5

異世界

そこは下の階以上に不思議な場所だった。

上の階とは思えないほど広く、そこには沢山の扉があった。

扉は大きなものもあれば小さなものもあり、様々な色や形をしていた。

「ここはあなたのアトリエかなにかでしょうか?」

私は聞いた。

「いや、少し違う。でも時期にわかる。その水晶を渡してもらえるかい?」

私はここへ来るまでの間ずっと握りしめていたそれを彼に渡した。

「君はたしか…居場所を探していたんだったね。」

そう言うとある扉の前に立った。

「さぁ、この扉を開けてごらん。」

優しげな声で彼は言った。

「嘘…そんな…ありえない。」

言われるがまま、扉を開けるとそこにあったのは蒼い空、草原と木と花の空に浮く島だった。

「さぁ、中へ。」

私は一歩一歩、その不思議な場所へと足を踏み入れた。

「貴方は一体…何者なの?」

そう聞くと彼は今までにない笑顔で言った。

「申し遅れました。僕は扉屋の猫目夕(ねこめせき)

この度は扉屋のご利用ありがとうございます。

扉屋では貴方に素敵な空間をご提供致します。」

そう言うと猫目は軽く礼をしてやはり微笑んだ。

「そんな事があるなんて…。」

日常生活で段々と失っていたときめきが自分の中で輝いた。

すると自分の周りに心地よい風が吹き、鮮やかな花が咲き始めた。

「ここは君の空想の世界だ。さっきまでは雨が土砂降りだったんだけどね。」

そう言えば今日は先生にまた怒られて凹んでたんだっけ?

でももうそんなことどうでも良かった。

こんな素敵な場所に来ることができるなんて思ってもいなかった。

「さてと、そろそろ戻ろうか。」

猫目はそう言って扉へと向かった。

名残惜しいけれど、私はこの場所をよく知らないのでついていくことにした。

「空想の世界はここでなければ行くことは出来ない。

それだこと君の悩み事が増えた時解決できないだろう?

もっと別の場所を探そうじゃないか。」

そう言うと彼はこの扉の間のさらに奥へと進んだ。

少々待っていてくれと素敵なテーブル、椅子のある窓際に案内され、

紅茶とクッキーが出された。

私は彼の帰りを待ちながら外を眺めていた。

窓からは私が通ってきた道が見える。

ずっとここにいたいな、なんて思ってしまうほど、

自分の生きてきた街をこの場所から眺めると美しかった。

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