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猫目夕の扉  作者: 小説の欠片
出会い
2/5

金色の目

未来が今へ、今が過去へと変わっていくように、雲を眺める私の体へ風が当たる。

蝉が煩く鳴いているせいか木漏れ日の中で寝転がっていても暑く感じる。

と言ってももう七月。私にとって16回目の夏が来た。

「なんだか全部が全部、嫌になっちゃうなぁ…」

私は先生から酷く叱られ、私の心境はこの暑さと天気とは真逆だった。

こういう日はこの丘の上で空を眺める。

しかし、もうすぐそれも出来なくなる。

この丘からの景色は良く、マンションを建てる事になったのだ。

…私はこれからどうしようか?

「…決めた。」

しばらくして私は別のいい場所を探すことにした。

木で出来たトンネルのようになっている小道の端に放り出していた自転車の元に向かうため、

重い体を起こす。

背中やスカートに付いた土や草を払っていたが、やがてその手は止まった。

草むらの中に光るものがあったのだ。

どういうわけだか本当に小さく気付かないようなその光に私の目は釘付けになった。

私は吸い込まれるかのように光る何かへと足を運んだ。

よく見ると小さな水晶のようだ。

私はその水晶を拾い様々な角度から見てみた。

丸い水晶のようなそれの中心は綺麗な金色に不思議な黒い模様が付いていて、透明なレンズの様なもので覆われている。

私にはそれが目のようの見えた。

それも猫の目に。

何故そう思ったのかと言うと私は以前猫を飼っていて、

その時に見た猫の目が特徴的で、大好きだったからである。

猫の目を横から見た事がある人にはきっとおわかりいただけると思います。

色彩の部分がすっと真っ直ぐになっていて、そこに半円形の透明な硝子のようなものに覆われているようになっていることを。

私はそれに似ていると思ったのです。

この水晶は一体なんなんだろう…?

そう思いながら自転車の元へ向かうと、

自転車の前に1匹の猫が私の方を見ていた。

私は息を呑んだ。

その猫の目は水晶と同じ色の目をしていたのです。

「猫さん、この水晶はあなたのですか?」

私は遠くからそう問いかけた。

猫相手に自分は何をしているのだろうと思ったけれどそんな事はもう関係なかった。

猫は私の方を向き続け、一言。

『にゃあ』

そして猫はゆっくりと私を誘導するかのように歩き始めた。

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