第五話 決死の覚悟
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「是非に及ばず…」
私は、信頼していた家臣に裏切られ、今ここで生涯を自らの手で終えようとしている…
“生は死…死は生である”
先程から私の頭の中でこの言葉が、浮かんでは消え、また浮かんでは消えてを繰り返している。
誰の言葉かは覚えてはいない、
ただ…何故かとても懐かしい言葉だ…
「フフ、思えば…人に憎まれるばかりの人生だった…」
私は人を虐げ、またある時は薙払ってきた。
時には“魔王”“赤鬼”と称されれ…
恐れられ疎まれてきた…。
「だがそれも今日までのこと…いざ!」私は意を決し、脇差しを抜き、そして行きよい良く…
「あなたは…知りたいですか?
…世界の真実を…」
しかし、不意に聞こえた声に私は手を止めてしまった。
「な、何者だ!?」
私は脇差しを構え声を荒げて怒鳴った。
すると、暗がりから声がした…。
「なにものだもなにも、クチナシはクチナシなのね?」
私は驚いた、何故かと言えばその声が余りにも幼さかったからだ…。
「くちなし…?」
「アナタは世界の真実を知る権利があるのね。」
世界の真実?権利?何の話をしているんだ?
「アナタには二つの選択肢があるのね、まず一つ目はここで死ぬ…
二つ目は、ゲームに参加する…
この二つなのね。」
げえむ…なんだそれは?第一こいつはなにを言いたいんだ?
「う〜んと…そう、この時代で言えば将棋や囲碁と言った物なのね。」
今の話の中で、気になる言葉があったそれは“この時代で言えば”とコイツは言ったがどう言う事なのだろう?
「どうします?参加しますかそれともここで…死にますか?」
どちらにしろ、ここで死ぬくらいなら…
「参加する…」
最期まで、足掻き続けることになろうと私は構わない、其れが私のやり方なのだから…
「それではアナタの、お名前を聞きたいのね…」
私は少し間を置き…
「私の名は…ー」
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PM6:30
岩城家 居間
「もう、じっとしててよ!上手く張り替えれないじゃない」
「いてぇ、痛いから…痛いです…その痛いのでもう少し優しくしてくれませんか縁さん…」
「五月蝿い」
一言で片づけられてしまった、少し複雑な気分である…
「あの…怒ってません?」
「別に!」
「イデデデ!!」
俺は、大会の準決勝まで登り詰めたが、‘高梨’(たかなし)と言う対戦相手に苦戦し、試合時間の五分を使い終えてしまった、そのため三分の延長戦に突入した。
延長戦では先に一本先取したものが勝者と見なされる…。
そのため、俺は是が非でも相手より先に一本取りたかったのだが…
それは相手も同じだったらしく、残り一分になった時…
相手が出した“突き”を寸前の所で交わしたつもりだったが、完全にかわしきれてはおらず、相手の竹刀が俺の防具の隙間に入り込み、左耳の下辺りを切ってしまった。
俺は掠めただけと思っていたが、思っていたよりも傷が深かかった。
そのため道着の左肩辺りが血で赤く染まっていた。
その後、血が止まらず続行不可能と判定され試合は、俺たちの負けで終わってしまった…。
「しかし、お前良くあの突きを回避できたよな〜」
野崎は丸く小さなお盆に、コーヒーカップ三つとミルク、砂糖、スプーンをお盆に乗せ、台所から出て来た。
「俺ならムリだね!断言出来る!!」
野崎は両手を組みながらウンウンと首を縦に降る。
「はい、終わり。」
縁は、救急箱の蓋を閉じて、もと有った棚の上に置きに行く。
「有り難うな縁。」
俺は縁に頭を下げて礼を言った。
「あっ、いや…その、なんだ?えーと…そう!
旅は道ずれ、世は情けと言うではないか!!
だから気にするな。」
縁はアハハと笑いながら、手をバタバタさせる。
(…照れ隠しか?あれは…)
すると、不意に玄関の呼び鈴が鳴った。
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スミマセン大変遅くなりました。
次話はなるべく早く書き上げたいと思っています。
おおえんよろしくお願いします!