第一話 日常から…
それは覆いなる罪なり…
それは覆いなる怨みなり…
それは覆いなる災いなり…
それは覆いなる怒りなり…
それは覆いなる憎しみなり…
それは決して開けてはならない箱
決して使ってはならない破滅の器…
決して…
…………
………
……
…
生きている者は誰もが必ず夢をみる、夢は人や動物にとって大切な整理現象で、夢を見なければ生き物は脳がパンクしてしまい、最後には死んでしまう…
故に、生き物は夢をみるのだ。
だが、夢から覚めればそれは霞のように消え去り、後には欠落した自分が居るのだ…。
だから人は夢を追い求める、はかなくも小さな夢を…
「なあ、岩城そろそろ帰ろうぜ。」
武道館の入り口で野崎 真弌が俺に声を掛けてきた。
「ああ、そうだな…」
俺は軽く相づちを打ったが、竹刀を振る手を休めなかった。
「明日が都大会の試合で気持が逸るのは分かるが、あまり根をつめるのは良くねぇぞ?」
「…今何時?」
俺は竹刀を振りながら野崎に時間を聞いた
「丁度7時」
「7時か…腹減ったしそろそろ帰るかな」
「それじゃあ校門で待ってるからな、早く来いよ」
「ああ…分かった」
野崎は後ろ手にひらひら手を振りながら武道館から出ていった。
着替を済ませた俺は、部室と武道館の鍵を掛けると野崎の待ってる校門に向かう事にした。
本来なら今から事務室か職員室に鍵を届けなければならないのだが…
「面倒だから明日で良いか…」
手に持っていた鍵をポケットに押し込むと、俺は校門に急いだ。
「野崎お待たせ…って居ねー!」
辺りを見渡すが野崎の姿は見当たらず、仕方なく近くに在った公衆電話から野崎の携帯に電話する事にした。
《もすもす、野崎ですけど…》
「………」
《………岩城か?》
「今、どこ居んだ」
《MAC》
「なぜ英語」
《いやな〜お前待ってる間、暇だったからさ…》
「どうせナンパでもしてたんだろ…」
《………》
「って、図星かよ!!」
《あ、あれれ?電源が…ブチ、ツーッ…ツーッ…》
「あの野郎切りやがった…」
俺は受話器をフックに掛け直し、腕時計に目をやる。
「7:30か…コンビニで何か買って帰るかね〜」
俺は自分の腹を満たすため学校のふもとに在る、コンビニへ行くため学校の坂を下り始めた…。
時は…動き始めた…
ゆっくりとではあるが、確な音を響かせながら…
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