閑話 決別と少女の独白
私の人生は孤児院のみんなと父と過ごした日々が全てでした。
実際のところ本当の両親と過ごした日々はみんなと過ごすうち、途端に色褪せて行って、
毎日が楽しさに満ち溢れて、一生分の幸せがここにあるのではないかと思わず疑ったほどです。だからこそ、幸せを守る強さが何よりも欲しかった。
でも、それがどうでしょう?今では守る者もなく、守る場所もなく、帰る場所は王都・・否、戦場しかありません。ただ我武者羅に強くなりたくて過ごした日々は普通の生活を私から奪い去ったのです。けれど、唯一私が私らしくいられる仕事がありました。
父に必死で教えを乞い、父の全てを継承した主に仕える従者の仕事。
最初はみんなの後を追うつもりでした。それほどの絶望です。それほどの喪失感です。
胸の内からごっそりと大切なものが抜け落ちた様で、呆然となりました。
でも、あんな物を見たら・・死ぬなんて選択肢を取れるはずもありません。
それは孤児院の片隅にありました。正方形の、私がみんなに送った王都のお菓子が入っていた箱にぎっしりとみんなの残した手紙があって、感謝の想いが詰まってた。
純粋無邪気な裏表のない言葉が綴られていた。そして最後は決まって、シェアラお姉ちゃんは好きに生きてって、自分達は強くなるからって、胸の奥から新たに湧き上がる想いに枯れたと思っていた涙が止めどなく溢れる。
「みんなのお願いをお姉ちゃんが聞かないなんてできないのに。もう、全く、欲しくもない免罪符をどうして、あの子達は私なんかに」