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skill world  作者: 松佐
第壱章 魔法学園
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第10話 砂漠エリア攻略と百合疑惑に温泉造り

姫様とミリエは人質にされて昼食を食べ損ね、絶賛空腹を訴え晩御飯はまだかと唸っている。当然、私は急ぎ夕食を作っている最中だ。今も今晩のメインとなるステーキの食材であるビックボアの腹肉をちょうど良い大きさに切り分けている。

ビックボアはボアの上位種でボアの数倍の巨体と美食家にも広く知られる美味な肉が有名な魔物で然るべき場所なら1kg当たり数万の値段で売り買いされるほどだ。

特に腹肉の美味しさは他の部位とは一線を画し、脂の乗りも段違い。肉厚な割に簡単に噛み切れ、口に含むと肉汁と旨みが溢れ出す。貴族にもよく食される高級食材で希少価値も高い。市場で入手するのは困難を極め、価格は通常の数倍と言われている。

私は惜しげもなく、高級食材を使いステーキを仕上げていく。現在進行形で熱している鉄板に切り分けた腹肉をのせ、頃合を見計らって香り付けと臭い消しも兼ね果実酒と同等の高級ワインを適量、垂らす。あとは塩胡椒で味を整え横に世界樹の葉を添える。


本来、世界樹の葉は万能薬にも使用される薬材なのだが、お肉を包んで食べると非常に美味しく頂け、しかもHPとMPの回復の効能もあるため、疲労困憊であろう2人には適しているはずだ。主食のパンと皿に盛り付けたステーキを持って、2人が突っ伏しているテーブルに向かう。姫様も王族ならお腹の音を抑えて欲しいものだが、可愛いので許す。テーブルにお皿を置くと2人は私の知覚の限界を超える速度でステーキに喰らいつき、あっと言う間に平らげて、満足したのか事もあろうに寝息を立て始めた。

確かに年頃の女の子としては人質を経験すれば、心身ともに疲労するのも想像に難くない。でも、せめて着替えくらいはしてほしいものだ。スキルで着せ替え、浄化をかけ、テントの中のベットに放り込んだ。弾力性に富んだ構造のお陰で衝撃は最小限だから意識が覚醒する心配はいらない。自分も食事してから一通りの片付けが済んでから、あの魔物を倒すために準備を開始する。用意するのは多数の亜空間。1つの亜空間に火属性の中級攻撃魔法フレイムボルト(魔力消費100)を魔力が枯渇するまで打ち込む。総数は5216発。急激な魔力消費と魔力の枯渇で目眩がするが、我慢だ。亜空間に打ち込まれたフレイムボルトは消滅せず、ずっと保存された状態だ。亜空間の中で入口を求め、永遠に飛び続けていると思ってくれればいい。亜空間内に重力も摩擦もない。故に魔法は消滅しない。


原料の魔力も保存された状態だから亜空間に入り口を作らない限りはずっと現在の状態を保っている。これなら、あの魔物に挑む際に亜空間を開くだけで魔法攻撃が可能だ。準備とはこれのこと、毎日コツコツと魔法を打ち込んで本番の時に一斉開放する予定になっている。次に別の亜空間へスキル風刃と衝撃波を1時間ぶっ通しで入れて、そのまた別の亜空間に3時間ほど闘気と殺気を凝縮した物体を全力投球で投げ入れ続けた。正々堂々勝負して勝てる相手じゃないので、卑怯な手も遠慮なく使うしかない。これも作戦のうちだ。さすがに魔力の枯渇と気力の消耗+体力の大幅な減少に耐えるのは私でも厳しい。噴き出て止まない玉のような汗を手の甲で拭う。衰弱の域に達していないが、疲労困憊には違いない。少量回復した魔力で自身に浄化を掛け、着替えることもせずにベットに潜り込んで眠った。


翌朝、疲労感は完璧に拭いきれないが、逆に清々しい朝を迎えられた。

疲労のためか普段より深く眠れたからだ。

朝食は昨日の夕食が脂たっぷりだったので、野菜盛りだくさんのサラダにコンソメスープ、パンと軽目にした。毎朝、食料の調達に四苦八苦している他の生徒を見ると可哀想に思えてくる。そして、恨めしそうな視線で私を凝視してるのも知っている。私の用意がよかっただけ、それを妬まれても困るのだが、食べ物の恨みは怖いもので私が料理中は周囲から飢えた獣と同質の気配を感じ、我が同輩は獣に落ちたかと若干悲しい思いをした。今日は砂漠エリアに進出するつもりだ。でも、その前にギルドの方の依頼報告を済ませる。報告するのはクレイジーボアの牙の収集及びシミターの収集、オーガの討伐。報酬の合計額、814,000ダラス。所持金はこれで4,968,366,236ダラス。ついでにあの魔物の情報がないか少し調べ物をする。ギルドの蔵書中最大の魔物図鑑を細部から細部まで確認して、漸く発見した。The devil memory、魔王の記憶と呼称されるSSランクの魔物らしい。通称はmemories。個体数は歴代の魔王の数に比例するそうだ。討伐依頼を探してみると意外にも有った。報酬100,000,000ダラス・・よし、受注。空間を繋いで雪山エリアに行き、アイスボールを狩り尽くしてから砂漠エリアに突入した。


さて、砂漠エリアだが・・ひたすらに暑い。定期的に水分補給をしないと乾涸びて死にそうだ。汗でメイド服が肌に張り付く。あまり気分のいいことじゃない。

滲み出る汗を拭いながら砂漠を進む。しかし、途中から汗が出る端から蒸発していくようになり、今更ながら砂漠であると再認識した。仕様がないので、空間魔法を使い、私を中心とした一定範囲を外界と同じ気候に変更した。そもそも空間魔法は一定範囲内の空間のうちで好きに改竄を施す魔法なのだ。最初から使っておけばと後悔した。

暫く歩いていると時折砂掛け婆や骸骨駱駝と遭遇し、大鎌を刀に変化させ、婆は居合で仕留め、駱駝は峰打ちで骨を粉砕し殺した。正直、ボスでもないと相手にならない。

というか私の固有スキルは通常の魔物相手だと最強の威力を発揮する。烈空斬は空間を斬り裂くのだから普通に考えて攻撃対象に指定された魔物は身体が真二つに分断される。


それで生命活動を維持できる生物はスライム系の魔物や基本的に物理攻撃の効かない魔物、ゴースト系くらいだろう。強固なドラゴンの鱗でさえ、烈空斬には耐えられない。

故に通常の魔物は私の脅威に成りえない。

粒の細かいサラサラの砂は煌々と照り付け、大地を焦がす太陽光に熱されて、数秒触っているだけで火傷をするレベルの熱を内包していた。鉄板があれば、目玉焼きを作れる。風に攫われ飛ぶ砂は陽光に晒されると黄金の輝きを持って、美しさを醸し出す。延々と連なる砂丘に私はうんざりとするが、ギルドでサンドワームの討伐依頼を請け負っているからして、1体も討伐せずに次のボスエリアに到達するわけにも行かない。そして、魔力を広げて探査していた時にやっと反応があった。それもかなり多い。

何故か1箇所に集中しているし、警戒心より好奇心が勝って私は足早になる。

時折、砂に足を取られるが、持ち前のバランス感覚で持ち直す。

目指した、その先に見たものはオアシスの中で無数に蠢くサンドワームの姿だった。


あの中に何体のサンドワームがいるのか想像するだけでゾッとする光景だ。

1つだけ確実に言える。速攻で殺して姿を強制的に消した方が私の精神衛生上とってもよろしいということが。百連斬と風刃及び衝撃波を組み合わせ、遠距離からの連続攻撃を可能とする。耳障りな悲鳴が砂漠に消えて行く。たちまちオアシスの清らかな水は魔物の血によって汚染される。烈空斬・・のたうち回る芋虫どもに止めをくれてやった。

討伐総数は24体、個体数が少ないサンドワームにしては十分に多い。

何れは他の生徒もこのエリアを訪れるかもしれない。その時に水分の補給地たるオアシスの水が形容し難い色に変色していたら、哀れ過ぎるので、私は浄化を施した。よく見れば、オアシスの底に宝箱が放置してある。ダンジョン内で時たま見かける物だが、どことなく怪しい。けれど、宝箱はいわば浪曼だ。開けない手はない。結果、徴集トラップが発動した。徴集トラップとはエリア内に棲息する魔物を掻き集めるもので、普通の冒険者などがこれに遭遇すると基本的にご臨終することになる。大量なんて言葉では言い表せない数の魔物がオアシスに雪崩込んでくる。しかし、360°回転烈空斬には敵わない。狩って狩って狩り尽くす。出現する度に斬り付け、斬り伏せ、怒涛の連撃で敵が敵自身の攻撃有効範囲に入らないよう抑制し、全体攻撃でごっそり殺す。1時間後、その場は血の雨が降ったような光景の残滓として地面が真紅に染まり、やはりオアシスの水が汚れていた。周辺全土に浄化を掛けた。こういうイベントは収入が著しく増加するから嬉しい。その代わりメイド服が真っ赤に染まるのが頂けない。


ボスフロアに鎮座していたのは巨大なドラゴンだった。火竜だろうか?

赤く目を引く鱗は1枚1枚が1,000,000ダラスを超える優秀極まりない素材だ。

ゲージは前回と比べ、格段に増加して10m。ルビーのような瞳は獰猛な光を湛え、私を見る目は完全な捕食者の目だ。刀の柄に手を掛ける。火竜の目が戦闘色を帯び、獰猛な光が一層濃くなった。合図はなんだったか、フロア全体を火竜は一歩踏み込むのみで揺るがした。崩れるバランスを踏ん張って強引に整え、振るわれた火竜の尻尾に刀を一閃。金属同士がぶつかる音が聞こえ、暫し力が拮抗する。さすがボスだけあって筋力が半端でない。私は闘気、身体強化などで限界まで筋力を引き上げ、均衡を保つ。

私の立つフロアの床が小さく、だが確実に凹みをつくる。火竜は一旦尻尾を戻し、今度は逆方向からテールをかましてきた。垂直に跳躍して避け、刀を空中でひと振り、火竜の首元に風刃を叩き込んだ。ガキンッ、硬質な音が響き、ゲージが僅かに減少する。

さすがに鱗の強度は折り紙付きだ。衝撃を殺し音も立てず、着地し、即座にバックステップする。火竜が凶悪な鉤爪を振り下ろしてきたのだ。それだけで空気が裂ける。


巻き起こる空気の斬撃がメイド服に直撃し、少し衝撃を感じる。この程度ならメイド服の防刃機能で十分にカバーできるレベルだ。

地に足が付いた瞬間、打って変わり高速で踏み込む。再度振るわれ右斜め上から襲い来る爪の暴威を右に体を傾かせ、紙一重で躱す。火竜の懐に入り込み、鱗の強度が低い腹部に居合いを放つ。ギャリギャリッ、剣先が鱗の上を滑る。

背後から掴み掛かってくる爪をバク転で躱し、着地後にすぐ踏み込んで寸分違わずに同位置を居合いで斬り付ける。攻撃を回避しては斬り付け、それを延々と繰り返した。

やがて、鱗が破砕して刀が火竜の腹部を斬り裂いた。久しく感じていない痛みに火竜は絶叫の体で咆哮を上げ、フロアを震わせる。痛みに悶え、無茶苦茶に振るわれる爪を冷静に躱していく。爪に抉られ、フロアの床は見るに耐えない酷い惨状だ。ドジを踏んで火竜の爪が生んだ窪みに足を引っ掛けないよう気をつける。

火竜のゲージは3mほど減少し、やっとあれが来た。火竜の代名詞とも言われる万物を融解させ、跡形も残さない地獄の炎・・つまりブレスだ。


火竜の口元に灼熱の炎が一点生まれ、秒刻みで肥大化していく。放射熱でフロア内の気温が急激に上昇する。とんでもない熱量だ。火属性の魔法でなら最上級に位置する威力であると容易に想像ができる。やがて肥大化した熱源は直径4mほどの球体にまで膨れ上がり、そして私に向かって放たれた。灼熱の光は大気を焼き払いながら私に迫る。直撃を貰ったら私でも確実に死ぬ。けれど、このブレスは色々と好都合。創り置きしておいた亜空間を開き、ブレスを飲み込ませた。これをmemoriesに喰らわせてやるのだ。

ブレスを放射し尽くし大口を開け、ブレス後の硬直で動かない火竜の口に闘剣をつくり、魔力を纏わせて投げ入れる。生々しい音と共に闘剣が突き刺さり、目に見えてゲージが減少する。追い討ちをかけるように纏わせておいた魔力を消費してエクスプロージョンを発動し、爆風が火竜の口から吹き上がり、次の瞬間。火竜は内部から破裂した。

これは私も予想外だ。普通にゲージが大幅に減って終了くらいに思っていたのに、ゲージが全て削り去られ、火竜は消滅し、ドロップだけが残った。まあ、内部で爆発が起これば、こんなものかもしれない。


ドロップは100,000ダラスに火竜の鱗300枚、そして世にも珍しい特定の魔法を継承できる魔法継承書だ。継承される魔法はヘルフレイム、有り体に言うと火竜のブレスだ。

売れば、数億ダラスにはなるが空間魔法は火力に欠ける。迷わずに継承した。

今日の集計。砂婆の形見212個、駱駝の骨198本、海鼠っぽい珍食材87個。

火竜の鱗300枚、245,320ダラス。所持金が地味に増え4,968,611,556ダラス。

火山エリアに入ってからテントまで戻った。姫様とミリエ、その他の生徒は合宿3日目にして未だ雪山エリアに到達できず、らしい。尤も、姫様とミリエは大規模な攻撃魔法が使えるが他の生徒が邪魔で使えず、攻略に手間取っているのだろう。傲慢とも取れる言い分だが、私はそれほど2人の実力を買っている。同年代でも屈指の実力を持っていると断言できる。2人なら高みへと昇っていけるはずだ。但し、と私は世界樹の葉とデリシャスウルフ(微妙な名前の由来はとにかくお肉が美味だから)の炒め物を料理しながら、炒め物用のドレッシングに微調整として香りの強いククル(香水などの原料でもある果実)の果汁を数滴垂らしつつ思う。心配なのは2人のこれから先、将来のことだ。


確かに邂逅当時から馬が合い仲良しなのは認めようと思っているが、毎晩ベットは人数分用意されているにも関わらず、1つのベットで一緒に眠っているのだ。まあ、一緒に眠るのは別に問題ではない。問題は時折聞こえてくるミリエの幼い見た目に反した明らかな【女】の嬌声と少し上擦り、非常に興奮した鈴のような、しかし無駄に艶のある姫様の声だ。そして昨日、偶然拾った2人の会話はとても容認できるものではなかった。


「本当、ミリエは可愛いね。はぁ(←うっとりしたような艶のある溜息)、もっともっと虐めたくなっちゃう」


「スフィちゃん(姫様の愛称で本名はスフィリア)、もう無理なの。もう我慢できないの!

頂戴、お願いなの」


「ああもう堪んないくらい可愛い・・・煽ったの、ミリエだからね」


「んん!ス、フィちゃん。私、も、イっちゃ・・~~~っ!!」


い、の発音が嫌に艶かしく、メイドさんは心配だ。私としても人の性的嗜好に文句を言うつもりはないが、非生産的なのが否めない点であり、仮にも姫様は王族なのだ。

・・・そう言えば、時たま思うことがある。姫様は本当に姫様なのか、実は王子様だったりと疑問に感じることがあった。いえ、確かに身体の柔らかさに声の高さ、仕草も全て女のそれではあるのだが、気象を促す際に何度か太腿の辺りが僅かに盛り上がっていることが多々ある。それに姫様付きのメイドになって以来、姫様は意識が覚醒すると私が着替えさせる前に隠蔽系の魔法を自身に施していた。今思えば、入浴の際も頑なに1人で入ると言って姫様は聞かなかった。姫様はいわゆる両性具有(男、女の象徴を双方共に備えること、また備えた人のこと)なのかもしれない。だとすれば、非生産的ではないか。十分に生産的だ。ふとレオンが酔った時に吐いた愚痴っぽい話の内容を思い出した。思えば、両性具有を臭わせる発言が混じっていた。下ネタだったため、割愛するが。


しかし、私の想像が正しかったとすれば、2人は出会って数日で好き合い、直球表現だが肉体関係を持ったということになる。一時の熱に浮かされて、最終的に冷めてしまわなければいいが、それは当人同士の問題か。できれば、最後まで見守って上げたいと思う。夕食を作り終え、一足先に食事を終えた私は亜空間に継承したばかりのヘルフレイムを52発収納した。うん、収納と行った方が物騒な感じにならない。

ところで。唐突に話は変わるが、基本的にダンジョン内の環境はダンジョンの外の環境に影響を与えない、それが一般的な常識だ。私も理解しているが、物事には必ず例外が存在する。その例外が星駆ける天宮の火山エリアである。火山エリアは外の環境にも影響を及ぼし、地上は比較的温暖である。それも極一部の限定範囲内でだが。

そして、私は探査によって限定範囲を特定した。ダンジョンと通常地帯の境目には極僅かな段差があり、ダンジョン側が少し隆起している。私は境目を辿り、特定した場所を目指した。そもそも星駆ける天宮は外観が山なのだが、ダンジョンは外観に関係なく内部は一種の別世界であり、内部の面積も外観の数倍以上ある不思議空間なのだ。


しかも、入り口は限定されており、境目から向こうは謎の障壁に阻まれる。まあ、境目の向こうは山肌なのだが。歩いて10分ほどで特定位置に到着した。位置的には自分達がキャンプしている場所の真反対、山を隔てた向こう側だ。その場所は確かに気温が高く、原因は明らかに地熱だ。これはもしかするともしかする。適当に辺りを付けて、地面に固有スキル魔砲を放った。何というかまさにビームだった。

これくらいかと感覚で魔砲を止め、数秒待つと地鳴りがして何かが吹き上がった。

仄かに香る硫黄の匂いに素肌を濡らす暖かな液体、詰まる所は温泉の源泉である。

再び、魔砲で周囲の地を掘って湯船の枠をつくり、枠に当て嵌めて魔力物質化を使う。

できた湯船に温泉を引き入れ、露天風呂の完成だ。周囲は緑溢れる森の中。

森林浴も体験できる。男が通り掛かったら殺すしかないけれど、概ね問題なしだ。


緑生い茂る森林の中でもくもくと湯けむりを立てる出来たばかりの露天風呂に少女の身が沈む。張りと艶のある美しい褐色の肌が一糸まとわぬ形で晒された。

同世代に比べて高い身長に幼い頃のような表情の豊かさが失せ、常に冷静な様子の無表情を貼り付け、また女らしさ溢れる柔らかな体のラインと豊満さは少女というよりも大人の女の印象を見る者に焼き付ける。おまけに怜悧な美貌はその印象に拍車をかけ、さながら傾国の美女と言った風体だ。彼女の吐息は生娘とは思えぬ艶やかさを内包し、響いた。その様子を眺める男が1人、彼女の裸身に興奮するでもなく悪戯めいた不敵さを含む笑みを浮かべていた。普段は冷静極まりない、また冷静さを掻いても冷静な表情を崩さない彼女の可愛らしい年相応な悲鳴が木霊するのは、男がとある行動を取った直後であった。


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