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第一章 ~相手優先少女の放課後~


 突如背後から気配を感じ、あたしは頭をちょっとずらした。すると、何かが通り過ぎ、頬に微風が当たり、何かは枕にしていた右腕に当たった。

「……知美、あたし、物凄く眠いんだけど」

「知っているけど、花の十代をそんな無駄遣いしちゃダメよ」

 軽やかなアルトで答えたのは、親友の天道知美。艶やかな鋼色の長髪を掻き上げ、あたしの横の席に腰を下ろした。容姿端麗な彼女が着ると何処にでもありそうな青色のブレザーも映画か何かの衣装の様に見えるから不思議だ。

 今日も完璧に決まっている知美は、いつもの調子で口を開いた。

「一実、今日は何の日?」

「始業式」

「そうね。で、貴女は何をしているの?」

「寝てた」

「どうして寝ていたの?」

「眠いからだよ?」

「私との約束も忘れて?」

 約束――そう言われて寝ぼけ眼だったあたしの脳は一瞬で覚醒した。

「ご、ごめん、知美! 今の今まで綺麗さっぱり忘れていた!」

 昨日の夜、知美から『明日始業式が終わったら遊びましょう』という連絡をもらったのをすっかり忘れていた。

「……まあ、待たせてしまった私にも非はあるか」

 ため息交じりに知美は言った。

 何の事か、と思ったが思い出した。生徒会長である知美は役員に呼ばれ、その対処に当たっていたのだ。で、あたしはそれを教室で待っていて、その間に寝てしまったのだ。うん、思い出してきた。

「そ、そうだよ、知美。あたしばっかり――」

「調子に乗らないの」

 知美がでこぴんして来た。軽い打撃音に反して結構痛い。

「酷い……」

「これで許してあげる。ほら、行くわよ。私達で最後なのだから」

 その言葉は正しく、三年A組にはあたし達しかいなかった。当然だ。花の十代を無駄に過ごそうと思う奴なんて多分あたしくらいだ。

「また年寄り考えしているわね?」

「してないよ」

「遠い目をしていたわよ?」

「そう? 進路の事を考えてただけだよ?」

 あたしも知美も今日から三年生。漠然としか考えていない身としては、真剣に考えなくてはいけない。現実問題、担任からも無言の圧力を感じる。

 そんな事を言えば、知美から刺々しい視線を感じた。

「あ、もしかして、あたしがセンチな気分になってると思った?」

「……分かるなら、私の心配を返してくれないかしら?」

 棘のある言葉で知美は非難してくる。

 知美があたしを心配するのは、あたしの両親が既に他界しているからだ。あたしの中でその事に関しては整理出来ているのだが、心配性な知美はあたしが少しでもそういう顔をすると、今みたくすぐに邪推してしまう。

「でこぴんのお返しだよ。あれ、結構痛かったんだからね」

 心配性な親友に、あたしは悪戯っぽく笑って言った。

「全くもう……」

 知美は一瞬怒りを露わにしたが、すぐさまため息をつき、表情を明るくした。

「それで? どうするの?」

「そういう知美は? やっぱり家を継ぐ感じ?」

 知美は、世界的にも有名な富豪・天道グループの一人娘だ。

 天道グループと言えば、誰もが知っている説明不用の名家だ。飲食業、運送業、不動産、マルチメディア――様々な企業に多大なる影響力を持ち、さらには政界にまでその力は働く。現日本の生活面の四割は天道に支えられていると言っても過言ではない。知美は生粋のお嬢様。同じ女の子として憧れる。

「聞いているのはこっちよ?」

「知美が答えたら言うよ」

 あたしがそう言うと、知美は呆れた様子でため息をついた。

 短い間隔のため息だったので、あたしは冗談交じりに進言する。

「知美、幸せが逃げて行くよ?」

「誰のせいよ、誰の」

「知美でしょ? テンションの上下は完全に主観的な問題だもん」

「責任転嫁も甚だしいからね?」

「いやいや、個人の心の持ち様次第だってば」

 あたしが引かないと、知美は三度ため息をついた。

「だーかーら! ため息――」

「逃げるなら追いかけて捕まえるから安心して。そんな事より――」

「強引に戻す――あいたっ!」

 不意打ちの様にでこぴんをもらってしまった。どうやら攻め過ぎたみたいだ。

「……知美、痛い」

「一実がしつこいからよ」

 ごもっともな感想だ。

「で――私の進路の話だったわね。まだ決めていないわよ」

 予想外の答えに、あたしは少なからず驚いた。

「それってどういう事? というか、知美が継がないと天道家はどうなるの? あ、もしかしてあたしが継ぐ事になったりするの?」

 親同士の仲があり、両親が他界した後、あたしは天道家に養子として迎えられている。継ぐ気はまるで無いが、知美が継がないとなると、自動的に養子とは言えあたしにお鉢が回ってくるだろうか、と思っての発言だ。

 あたしがそう言うと、知美はクスクスと可笑しそうに笑った。

「あー、ひょっとしてあたし、結構でしゃばった事言った?」

 改めて思い直すととんでもない事だ。

そんなあたしの自己嫌悪を余所に、知美は首を左右に振った。

「それは当然の発想だから大丈夫よ。でも、継ぐ気があまりない私より、理由はどうあれ少しでも継ぐ気がある一実が継いだ方が良いかもしれないわね」

 ぶっ飛んだ物言いに、あたしは慌てて否定した。

「ぱ、パス! パスパスパス! 調子乗って済みませんでした! 継ぐ気なんて全く無いし、頼まれてもこっちから全力で断る所存です!」

 すると、知美はより一層可笑しそうに微笑んだ。

「ふふ、そんなに強く否定しなくても平気よ。大体、冷静に考えてみなさい。あのお父様が、私や一実に対して一方的なそんな事を背負わせると思う?」

 知美に言われて、あたしはハッとした。

 確かにそうだ。知美のお父さんであり、天下御免の天道グループ総帥の天道全知は、超絶子煩悩だが、とても理解ある親であり、時折無茶苦茶な要求を吹っかける事はあるものの、基本的には個人の意思を尊重する人だ。

 そんな超人なら、自分は自分、相手は相手、と思っていても不思議じゃない。

 でも、間違っていたら嫌だから一応確認しよう。

「つまり、お前の人生だからお前の好きな様に生きろって事だよね?」

「そういう事よ」

「そっか。そうなると、どうするつもりなの?」

「とりあえず、色んな事に手を出してみるつもりよ。一応お父様の手伝いはしているけど、いずれは『天道全知の娘』じゃなく『天道知美』として見てもらわないといけないから、私にしか出来ない事を模索してみる感じかな」

 あたしは、その自信に満ち溢れた意見に感心した。

「はあー、知美はやっぱりお嬢様だね」

「何言っているの。一実だって今はお嬢様じゃない」

「そうだけど、あんまり変わらないから未だに自覚出来ないんだよねー」

「もう四年なのに?」

「個人的にはまだ四年だね」

「慣れるのは時間が必要そうね」

 話が一段落したところで、あたし達は職員室に到着した。

「「失礼します」」

 挨拶してあたし達は職員室に入り、鍵を返却に向かう。

「お、居眠り姫がやっと目覚めたか」

 その途中で、佐東先生が話しかけてきた。

 あたしは足を止め、知美は一礼して鍵の返却箱へと向かって行く。

 知美を見送りつつ、あたしは佐東先生に声を話しかけた。

「おはよ、サトセン」

 あたしを含め、大抵の生徒は佐東先生を『サトセン』と呼ぶ。断っておくけど、ちゃんと親しみを込めている。ぶっきら棒で物臭そうな人だが、顔は良いし、芯はしっかりしているし、教え方は上手いから、生徒の間では結構な人気だ。格好良いから男子は妬みよりも憧れが強く、兄貴、と仰ぐ者もいるくらいだ。

「何がおはようだ。もう昼だぞ」

 サトセンは、壁にある時計を指差した。見れば、本当にお昼だった。

「というか、帰宅部のお前が何故にまだ学校にいるんだ?」

「私を待っていてくれたのです」

 鍵を返却し終え、あたし達のところにやってきた知美が言った。

「天道を? あー、そういや、生徒会の集まりがあると言っていたな」

「そうそう。あたしだってそれが無かったらちゃんと帰ってるよ」

 知美の助け舟に便乗すると、サトセンは肩を竦めた。

「どうだか。お前自分が何で『居眠り姫』何て言われてるか考えた事あるか?」

「あたしがお姫様みたく可愛いからだね」

「まあ黙っていたらな。――って、そっちじゃねぇよ」

「寝に学校に来てる様な物だからでしょ?」

「何だ分かっているのか?」

「まあね」

 悪びれずに答えると、サトセンは苦笑して真面目な顔をした。

「それにしても、どうしてお前はそんなに寝るんだ? 夜行性なのか?」

「一実はちゃんと寝ていますよ」

 答えたのは知美だ。何でそこで知美が答える?

「何で天道が?」

 サトセンも気になったのか、聞いてくれた。まあ気になって当然だろう。

「何でって、見ているからですよ。二十四時間体制で」

「二十四時間体制……? ……どうやって?」

「どうやってって、隠しカメラを含めた盗撮盗聴機材の各種で」

「――は?」

 サトセンが間の抜けた反応をして恐る恐る尋ねた。

「……聞くのが怖いんだが、どうしてそんな事を?」

「一実も一実のご両親も極度の秘密主義だからです」

「心配かけたく無いからね」

「その善意が逆に不安にさせる事をいい加減覚えてくれないかしら?」

「それと何でお前は驚いていないんだ?」

「知美は心配し過ぎ。驚いていないのは分かってるからだよ」

「一実が話してくれれば良いのよ」

「まあ防人の洞察力なら気付けても不思議じゃないのか……まあそれはさておき、一応注意しておくぞ。防人、気付いているなら無視するな。相手が天道だからってプライバシー侵害だからな? それと天道、友達思いなのは結構だし、下手を打たないとは思うが警察沙汰にならない様に」

 こういうところがあるから、サトセンは人気だったりする。大多数が天道の名を恐れて贔屓や媚を売るけど、サトセンは知美を『生徒の一人』という風に見ていて他の生徒と等しくちゃんと叱るし、ちゃんと褒めるのだ。

「心配するから話せなくて、害意は無かったので別に良いかな、と」

「害意が無いのは当然ね。全力で善意だもの。それと先生、その辺はご心配無く。映像や音声は私産として天道家が総力を結集して管理していますし、仮に露呈したとしても警察沙汰には絶対に発展しませんから」

「しませんじゃなくて、させない、の間違いじゃないのか?」

「些細な問題であるという意味では同じです」

「物騒な事をサラリと人前で言うな」

「平気ですよ。人間、時間の無駄な事はしない物ですから」

「……まあ、当事者が気にしていないなら確かに時間の無駄だな」

 サトセンがぼやくと、他の先生達は一斉にうんうんと首を縦に動かした。

「それにしても……お前ら、本当に仲が良いな。どっちも奇人だからか?」

「誰がです?」「誰の事?」

「自覚している癖にすっ呆けるな。全く、天才と何とかは紙一重って奴だな」

 サトセンは可笑しそうに言って、あたし達に背を向ける。

「まあ、これからもその調子で仲良くやれ。それじゃ、気を付けて帰れよ」

「またね、サトセン」

「佐東先生、また後日」

 そう言いながら、自分の席に戻って行くサトセンに挨拶し、あたし達は職員室を後にする。

「失礼しましたー」「失礼しました」

 職員室を後にしたあたし達は、正門へと向かって、静かな廊下を歩き始めた。

「――で、何の話してたっけ?」

「進路の話よ」

 そういやそうだった。

「もしかして考えていないとか?」

「いやそういうわけじゃないよ」

「なら、どうしてそっぽを向いているのかしら?」

「さあ、どうしてだろうね?」

「私に聞かれてもねー」

 回避行動失敗。知美の詰問の視線が痛い事この上ない。

 こんな事なら先に白状するべきだった。後悔先に立たず、だ。

 逃げられないので、あたしは観念して白状する。

「……漠然としてるけど、それでも良い?」

「それが普通よ。まともに考えている人は確実に少数よ」

「そういうもんかな?」

「そういうものよ。――それで?」

 早くしろ、と視線だけで訴えてくる知美。

「……えーっとね、知美の手伝いがしたいなーって」

 知美も天道夫妻も恩に着せる気は無く、お前が自力で幸せだと思える事を成し遂げる様にしてくれればそれで構わない、と言ってくれているが、それでもこっちは恩返しがしたいと思っての事だ。

 もっとも、手伝いたいと思ってはいるが、何をするかは決まって無い。というか、あたしなんかに何が出来るのか、どうしたら良いかすら分かっていない。

 だから、あまり話したくは無かったのだけど、まあ仕方ないと諦める。

「ん?」

 そこであたしは、知美から反応が返って来ない事に気が付いた。

 何でかなー、なんて思って盗み見たら知美は呆然と立ち尽くしていた。

「知美?」

「わきゃあ!」

 声をかけたらとんでもない悲鳴が返って来る。

「な、何? どうかした?」

「もう、それはこっちの台詞だよ。ぼーっとしてどうかしたの?」

「な、何でも無い。何でも無いわ!」

 全力の否定。逆に怪しいが、自己申告を信じるとしよう。

「それなら別に良いけど具合悪いなら無理しないでね」

 あたしが黙ると、あたし達の間には沈黙が訪れた。

 静かな廊下にあたし達二人分の足音が妙に大きく響く。

 窓の外からは運動部の声が聞こえてきた。学校が始まったばかりだと言うのに精力的だ。ああいう生活を送りたいとは特別思っていないけど、それでもこういう声を聞くとちょっと憧れる。

「――一実」

 下駄箱に着いた時、知美が控えめに口を開いた。

「何?」

「その……さっきのは?」

「さっきの? ――ああ、うん。本気だよ。知美はもちろん、天道家には昔からお世話になりっ放しだからね。これからは何らかの形で恩返しして行きたいなー、なんて分不相応な事を考えていたりするわけです」

「本当に本当?」

「うん」

「そう……」

 そう言って知美は黙った。

 一体どうしたのやら。さっきから様子が何処かおかしい。

 まあ詮索は敢えてしない事にしよう。

「それはそれとして、これからどうするの?」

 出入り口へ向かいながらあたしは聞いた。

「えっ?」

 すると、知美は生返事をして来た。本当に大丈夫かな。

「えっ、じゃないよ。遊ぼうって誘ってくれたのは知美だよ?」

「えっ……、あ、そう……だったわね、うん」

「起きた?」

 冗談交じりで聞くと、知美はムッとした。

「……起きているわよ。一実じゃないんだから」

「そっか。で、どうする?」

「一実はどうしたい?」

「あたしは知美と一緒なら何でも良いよ」

 途端、ボッと知美の顔は真っ赤になった。

「ど、どうしたの、知美? 顔真っ赤だよ?」

「な、何でも無いわ! そ、それじゃあ、私の家に行きましょう! 新しいお茶が入ったの。それを一実に飲ませたくてね」

「お茶会かー、良いね。じゃあ一旦別れる?」

「一実がそうしたいならそれで良いけど?」

「あたしはどっちでも良いよ。天道家にも服はあるしね」

 天道家の養子となっても、あたしは両親と過ごした家の方で一人暮らしている。凡人だったあたしにお嬢様の生活は厳しかったから、というのもあるけど、少ししか無いけど両親との思い出の場所を大切にしたかったからだ。

「なら、このまま私の家に行きましょうか」

 そう言って、知美は携帯を取り出し、家へと連絡した。

「私よ。ええ、今終わったわ。――ああ、それから昼食を一人分追加して頂戴。……え? 会食の予定は無かったでしょうって? 急に出来たのよ。――一実よ、一実。――なっ、ば、バカな事言っている暇があるなら職務を全うしなさい! ――うん、それじゃあ待っているわ」

 一体どうしたのやら。急にお嬢様モードになったと思えば、素の知美に戻るし、何か急に怒り出すし。今日の知美は何か色々変だ。

「すぐに来る――」

 知美がこっちを向いた際、あたしは自分の額を知美の額にくっ付けた。熱でもあるのかな、と思ったけど平熱だった。じゃあ何だろう?

「か、かかか、一実!? いきなり何するのよ!?」

 茹で上がったタコか甲殻類の様に真っ赤な顔で怒られたので、あたしは知美から離れた。それでも、知美は顔を真っ赤にしたまま。一体どうしたのやら。

「変だよ、知美。今日は止め――」

「わ、私は平気よ!」

「――なら良いけど」

 被り気味で言われた。心配は残るから、一応注意しておこう。

「でも、無理だったらちゃんと言ってね? 遊ぶのはいつでも出来るし、あたしは知美が無理しているところなんて見たくないからさ」

「……それは私も同じなのだけど?」

「あたしは無理してないよ?」

「じゃあどうして隠し事するのよ」

「心配させたくないからだよ」

「待つ方もこれで結構辛いのよ?」

「ごめんね」

「謝るなら相談してくれると嬉しいわ」

「それは勘弁」

「……私はそんなに頼りにならない?」

 不意に知美がそんな事を言った。

「そうじゃないよ。でも、だからこそ、かな」

「どういう事?」

「保険があると安心出来るよねって事だよ」

 そう言うと、知美は困った様な、でも何処か嬉しそうな微笑を浮かべた。

「……嬉しい言葉だけど、その保険が適用される日は来るのかしら?」

「保険なんだから使わない方が良いに決まってんじゃん」

 保険とは得てしてそういう物だ。

「生命保険がその最たる物ね。でも――」

 言葉を止めた知美は、突然あたしに抱きついて来た。

「と、知美?」

「――でもね、一実。これだけはちゃんと覚えておいて。私達は友達であり、そして家族よ。友達のため、家族のために何かをしてあげたいと思うのは当然よね? 私はそれをしたいだけ。これだけはちゃんと覚えておいて」

 驚くあたしを無視し、知美はそんな事を言った。

 言い切った後、知美の力がちょっと強くなった。

 その懇願に込められた温もりは、とても温かく、心地良い物だった。

「……分かった。魂に刻んどく」

 だから、あたしは知美を抱き返した。

 と、そんな時だった。

「――あらあらまあまあ。白昼堂々ラブ空間を展開してますね」

 その声にあたし達は機敏に反応し、声の主を見る。

「つ、鶴来! い、いいい、何時からそこに!?」

「鶴来さん、いたんですか。何時からそこに?」

「お嬢様が一実さんに熱い抱擁をした辺りからですよ」

 あたし達の質問ににこやかなに答えたのは、知美の世話をしているメイド姉妹の妹の方である近衛鶴来さん。個人的には、お姉さんの沙耶さんよりも鶴来さんの方が接し易い。メイドさんに対して友達感覚なのはダメな気もするけど。

「主人に対して気配を殺して近づくとはどういう了見なの!?」

「ではお嬢様、お声をかけてもよろしかったのですか?」

「そ、それは……」

 狼狽する知美。まああんな場面で声をかけるのははばかられるからね。

「そうですよねー。というわけで、空気を呼んで抜き足差し足忍び足で近づかせてもらいました。ご不満だったでしょうか?」

「……いいえ、良い判断よ。ありがとね、鶴来」

「知美、納得行かないって顔で言っても説得力絶無だよ?」

「一実さん、それを言ったら台無しですよ」

「それはつまり、鶴来もそう思っているって事よね? ……減俸二ヵ月」

「はうっ! お嬢様、そんな殺生な!」

「殺生ってそんなに困る事ですか?」

 二人とも知美と一緒に暮らしているはずだし、基本的にメイド服だから衣食住において金を使う必要は無いはずである。自由にならない金が無いというのは、確かに不便かもしれないが『殺生』と言うほどでは無い気がする。

「死活問題だったりします。趣味のお金が減るので」

「あー、それは死活問題ですね。知美、せめて一ヶ月にまからない?」

「まからないわ。一実のお願いでもダメ」

「お嬢様、そこを何とか」

「ダメったらダメよ。それより迎えに来たのに車が無いのはどういう事なの?」

「と、そうでした。では、しばしお待ちを」

 ピュー、と鶴来さんは走り出し、角を曲がった。切り替えの早い人だ。少しして黒塗りのリムジンが現れ、それはあたし達の前で止まった。完全に停車すると鶴来さんが運転席から現れ、あたし達がいる方の扉を開けて一礼。

「お嬢様、一実さん、中へどうぞ」

「ありがとう、鶴来」

「鶴来さん、ありがとうございます」

「どういたしまして」

 あたし達は感謝を言ってから車内へ入り、鶴来さんは返答して静かにドアを閉めた。そうして運転席に乗り込み、

「お二方、シートベルトはお締めになりましたか?」

 と、聞いて来た。

「もちろんよ」

「大丈夫でーす」

「それでは発車致します」

 そして、あたし達は天道家の屋敷へと向かった。

 

「あ、済みません。ちょっと停めてもらって良いですか?」

 天道邸に向かう最中、あたしは『それ』を目撃した。

「お嬢様、どうします?」

「そのくらい察しなさい」

「一応ですよ」

 そんなやり取りが交わされ、リムジンが停車した。鶴来さんは車を降り様としたが、あたしはそれを制止し、自分で車から降り、『それ』を目指した。

「一実、急にどうしたの?」

 後を追って来た知美に聞かれた。一瞥すると鶴来さんも同伴している。

「ひょっとして、何かいるの?」

「まあね」

 あたしには、人にはあまり自慢出来ない霊能力という特技がある。これは遺伝的な物で、両親も所持していた。そんな環境で育ったからか、あたしは幼稚園に入園するまで、自分が真っ当な人間じゃない事を知らなかった。

 街道を少し歩き、あたしは『それ』――透けている男の子に話しかけた。

「君、そんなところで何してるの?」

「うわぁっ!?」

 男の子は物凄く驚き、ついでまじまじとあたし達を見た。

 しばらく待っていると、男の子は意を決した様に口を開いた。

「お姉ちゃん、ひょっとして僕の声が聞こえるの?」

 あたしは、男の子に目線を合わせてから答える。

「聞こえるよ。お姉ちゃんはちょっと変な人だからね」

「変な人、か……。なら、僕と同じだね」

 男の子は、安心した様な様子で言った。

 そのあどけない反応に、あたしは努めて可笑しそうに笑った。

「はは、自分で変な人って言うのはどうかと思うよ?」

「お姉ちゃんが言うの?」

「言うよ。だって、変な人だからね」

「あはは、お姉ちゃん、本当に変な人だね」

 男の子は、可笑しそうに笑いながらそう言った。

 場の空気が温まったところで、あたしは改めて本題に入った。

「で――君はこんなところで何してるの?」

 そう聞いたら、男の子は途端にだんまりを決め込んでしまった。

「君、聞くのは一時の恥、聞かないのは一生の恥、だよ?」

 そう言って、あたしは男の子が話してくれるのを待った。

 少しして、男の子は意を決した様に話してくれた。

「……僕、迷子になっちゃって」

「お父さんかお母さんは?」

「分かんない。知らない内にどっか行っちゃったから」

「そっか。君、名前は何て言うの? あたしは防人一実。一実で良いよ」

「優だよ。道端優」

「ユウ君ね。偉いね、自己紹介ちゃんと出来て」

 そう言って頭を撫でてあげると、男の子は嬉しそうに笑った。

 一頻り撫でた後、あたしは立ち上がり、知美に尋ねた。

「知美、この辺に道端って人住んでるかな?」

「道端?」

 そこだけ反芻し、知美は黙考し始めた。

 あたしは、知美が口を開くのをユウ君と他愛無い話をしながら待った。

 一分くらいして、検索を終えた知美が口を開いた。

「関係しているか分からないけど、同じ苗字の家ならさっき通り過ぎたわ」

 あたしは、思いがけない返答に少なからず驚いた。

「嘘、ホント?」

「私、自分に得が無い嘘はつかない主義よ」

「だよね。それじゃ、ちょっとその家に行こうと思うけど、どうする?」

「愚問ね。付いて行くわよ」

「お嬢様に同じくです」

「鶴来はダメよ」

 知美が拒否すると、鶴来さんは大仰に驚いて見せた。

「な、何故ですか!? 苛めですか!?」

「違うわよ。車よ、車。路上駐車しておくわけには行かないでしょ?」

「それなら――」

「鶴来さん」

 あたしは、鶴来さんの言葉を遮り、目で訴えた。

 一瞬きょとんとしたが、鶴来さんはすぐに合点してくれて、頷いた。

「――分かりました。お気を付けて」

「ありがとうございます」

 二人の了解をもらい、あたしはユウ君に右手を差し出した。

「それじゃユウ君、お姉ちゃん達を家に帰ろうか」

「僕の家分かるの?」

「同じ苗字の家がこの近くにあるみたいだけど、お姉ちゃん達にはそこがユウ君の家かどうか分からないから、そこから先はユウ君だけが頼りだね」

「分かったよ、カズミお姉ちゃん」

「素直で結構。――と、そうだ。ユウ君、そこへ行く前にお姉ちゃんと一つだけ約束してもらって良い?」

「良いよ。何?」

 それを約束させるのは辛い。

 でも、首を突っ込んだ以上、あたしはそれを約束させなければいけない。

 他ならぬ、迷子幽霊であるユウ君のために。

「――ユウ君、もしもその家がユウ君の家で、パパやママに会えても何も言わないで欲しいの。どうしてかって言うと、ユウ君のパパやママを驚かせるため。ちょっときついお願いだけど、どうかな? 約束してくれる?」

「うん! 分かった、約束するよ!」

 ユウ君は、満面の笑みで答えてくれた。

 そのあどけない笑顔が、あたしの心に容赦無く突き刺さる。

 でも、あたしは堪えなくちゃいけない。

 それが、この子に関わった責任だから。

「ありがと。それじゃ、行こうか」

「うん!」

 かくて、あたし達は道端家を目指した。

 ユウ君の家は、徒歩十五分くらいの場所にあった。

 庭付きの一戸建て。石造りの表札には『道端』と達筆な字体で掘られている。

「ユウ君、どう――」

「カズミお姉ちゃん! ここだよ、ここ!」

 あたしが聞くまでも無く、ユウ君は肯定してくれた。

 あたしは深呼吸し、インターホンを押した。

『はい、どちら様でしょうか?』

 少しして、女性の声が聞こえてきた。

「ママだよ」

 ユウ君が小声で囁いてくる。

 ありがと、とあたしは囁き返し、インターホンに言った。

「――突然済みません。あたし、防人一実って言います。実はユウ君の事でちょっとお話したい事があるので、ご対応お願い出来ないでしょうか?」

『……貴女、何を言っているの?』

 返ってきたのは、当然の疑問。怪しむな、という方が無理な話だ。

「奥様、どうかお願いします」

 あたしは、ユウ君のママだろう人の言葉を遮り、強めのお願いを強行した。

 そして、沈黙が訪れる。

 考えている事は百も承知。良い方向に転がるのを願うばかりだ。

『――上がってください』

 返答が返って来たのは、それから5分後くらいの事だった。

 石畳を進んであたし達は玄関を目指す。

 玄関に到着し、ノックして扉が開くのを待つ。

 少し待つと、扉の向こうから足音が聞こえ、扉が開かれ、二十代後半から三十代前半くらいの女性が姿を現した。パーマをかけた黒髪が良く似合っている。

 あたしがユウ君に目配せすると、ユウ君は黙って首肯した。どうやら、この人がユウ君のお母さんの様だ。よくよく見ると、確かにユウ君と似ている。

「あの、貴女は一体――」

「奥様、それは私からお話します」

 そう言ったのは、知美だった。

 その声を聞き、知美に視線を移し、ユウ君のママだろう人はぎょっとした。当然だろう。天下御免の天道家の一人娘が、何の前触れも無く来訪したのだから。

「一実、こっちは任せて」

 中に入る間際、知美はあたしにそう囁き、道端夫人の手を引き、勝手知っている我が家の様な軽やかな足取りで家の奥へと消えて行く。

「――カズミお姉ちゃん、何時まで黙っていれば良いの?」

 二人の姿が見えなくなると、ユウ君が怪訝そうに聞いてきた。

 流石に怪しんだのだろう。

 しかし、ここで本当の事を言ったのでは、知美の配慮が無駄になってしまう。

「もうちょっとかな」

 だから、あたしは嘘をついた。

「……本当?」

「ホント、ホント」

「……分かった。ところでさ、何で声が小さいの?」

「ユウ君と話してるのがバレちゃったら、驚かせる意味無いからだよ」

「あ、そっか」

「そうそう」

 そこで、奥へと消えた知美が顔を出し、一つの部屋と示した。

「一実、そこの部屋よ」

「ありがと。いつも助かるよ」

「どういたしまして」

 短いやり取りを済ませると、知美はまた奥へと戻った。

「お邪魔します」

「ただいまー」

 あたしとユウ君は互いにそう言い、家の中に入る。

 外見から分かるが、中も結構豪華だ。至るところに建築家のセンスを感じる。

「――カズミお姉ちゃん、ここ何か嫌だ」

 知美の部屋の前に着いた時、ユウ君は心底嫌そうな顔で言った。

 嫌がるユウ君を無視し、強引にユウ君の手を引き、その部屋の襖を開けた。八畳ほどの、目に付く物が一つだけ置かれた静かな和室が姿を現した。

「カズミお姉ちゃん! 嫌だ! 僕嫌だよ!」

 嫌がるユウ君の手を引き、あたしは目に付くそこを目指した。喚きながらユウ君はあたしの手を引き剥がそうとするが、子供の力で剥がされる物ではない。

「カズミお姉ちゃん!」

「――ユウ君、目を背けないで」

『それ』の前に到着し、あたしは諭す様にユウ君に言った。

 すると、ユウ君は乱暴――駄々をこねる事を止め、『それ』を見た。

「――ユウ君は強いね」

 あたしも『それ』を見る。

 それとは、仏壇だ。

 ユウ君の遺影が飾られている仏壇だ。

 花やミニカー、お菓子が供えられた仏壇だ。

 沈黙の訪れは必然だった。

 ユウ君の手から力が抜ける。

「――考えない様にしてたんだ」

 ユウ君はポツリと呟く様に言った。

「――でも、ダメなんだよね? だから、カズミお姉ちゃんは――」

「うん。ダメだから、ここに連れて来たの」

 子供の霊は不安定であるが故に危険だ。ユウ君みたいな『自分が死んだ事』に気付いていない、気付かない振りをする場合はより危険だ。気付かないから、気付きたくないから、生前の様に振る舞う。でも、そんな事しても誰にも気付かれず、相手にされず、その先には悪霊への変貌という未来しか待っていない。

 だから、あたしはユウ君に現実を教えた。

 酷い事をしているのは百も承知している。あたしがしている事は、サンタを信じている純真無垢な子供に『サンタはいない』という事を教える様な物。幾らそうしなければならない事とは言え、そんな行為到底許される物ではない。

 でも、あたしはユウ君に謝らない。

 それが、関わった責務だから。

「――カズミお姉ちゃんって、酷い人だったんだね」

「良い人だ、と言った覚えは無いよ?」

「……ひょっとして、格好つけてる?」

「そう見える?」

「見える。してないの?」

「ナルシストじゃないからね」

「うわ、ナルシストだ」

「だから違うってば」

「……あっそ。まあ良いや。それより、ありがとね、カズミお姉ちゃん。パパに会えなかったのは残念だけど、ママに会わせてくれて」

 不意打ちだった。

 本当に不意打ちだ。

 これだから、子供は困る。

「……ユウ君の方が格好つけてるじゃん」

「男の子だからね」

「言う事だけは一端だね」

「カズミお姉ちゃんには負けるよ」

「そこは勝負するところじゃないよ」

「そうかな?」

「そ。――でもまあ、あたしが保証してあげる。ユウ君は格好良いよ」

 あたしがそう言うと、ユウ君は満面の笑顔をあたしに向けてくる。

「はは、ヒーローがそう言ってくれるなら、安心だね」

「誰がヒーロー?」

「カズミお姉ちゃんに決まってるじゃん」

「……あたしは違うよ」

「ヒーローは皆そう言うよ」

 ユウ君がそう言った時、遠くから足音が近づいて来た。

「優!」

 しばらくして、道端夫人が姿を見せた。

 二人の視線が交差した。親子の絆が成せる芸当だろう。

 道端夫人が現れるや、ユウ君は駆け寄って飛びついた。それを感じ取ったのか、道端夫人は一瞬驚き、それからユウ君をそっと抱きしめる。見えないはずだが、母親の成せる業か、その抱擁は見事にユウ君の体を抱きしめている。

「優、ごめんね、ごめんね……」

「僕もごめんなさい。僕がちゃんとママの言う事を聞いていれば……」

 一方通行のやり取りの中、ユウ君の体が段々と希薄になっていく。

 やがて、ユウ君はあたしにも見えなくなった。それに伴い、道端夫人が若干前のめりになり、余韻を大切にするためか、自分を抱きしめた。

「――知美、行こうか」

 あたしは知美に声をかけた。知美は黙して首肯した。

 あたしは道端夫人の横を通り過ぎ、知美と合流し、玄関を目指す。

「あの」

 そこで、道端夫人に話しかけられた。

「――優を連れて来てくれて、優に会わせてくれて、ありがとうございます」

「礼には及びません。あたしはあたしで動いただけですから」

 振り返らずにそう言うと、背後から可笑しそうな笑い声が聞こえた。

「……なるほど。確かにヒーローみたいな人ですね」

 そして、そんな事を言ってくる。

「だってさ、ちゃんと答えてあげなさいよ、ヒーロー」

 知美が一緒になって茶化してきた。

「……冗談きついね。誰がヒーローだって?」

「認められなさい。ヒーローというのは、得てしてそういう物よ」

「……あっそ」

 尚も茶化してくる知美を無視し、あたしは道端邸を後した。

 小走りになっているのは、気のせいだと信じたい。

「――そうやって格好つけるから、あんな事言われるのよ」

 背後から冗談交じりの声が、あたしの耳をついた。

 声の主は、すぐにあたしの横に並ぶ。

「格好つけてるつもりは少しも無いよ?」

 楽しそうにする声の主――追いつき、並んだ知美にあたしはそう言った。

「で――何だって?」

 それから、先を促した。ユウ君が亡くなった経緯を一応聞いておきたかった。

「お母さんの手を離れ、駆け出した時、不運にも車が突っ込まれたそうよ」

「ああ――それでどっちも謝っていたんだね……」

「そうだったの?」

「うん。ちゃんと両思いだったよ」

「そう。――それにしても、一実はいつでも相手優先ね」

 鶴来さんが待つリムジンが見えた時、知美が藪から棒に言った。

「いきなり何?」

「難しい事考えないていないで、感謝は素直に受け取れって話よ」

「ああ――その事」

「ええ、その事よ」

「……まあ色々考えちゃうわけよ」

「だったら、今後一切そういう事を止める事ね」

「それは無理だよ」

 それだけは断言出来る。この先、どんな事を体験しようとも。

 キッパリ言うと、知美は楽しげに微笑んだ。

「なら、難しく考えない方が良いわ。出来る事が多い事は、イコール何でもやらないといけない、ではないのだから。その辺、理解していないでしょう?」

「そう見える?」

「私にはそう見えるわね」

「無理はしてないよ?」

「でしょうね。一実は何に取り組む時も卒ないから」

「……それ、褒めてる?」

「逆よ。思いっきり非難しているわ」

「やっぱり……」

 かなり刺々しかったからそうだと思ったよ。

 あたしがげんなりすると、知美はカラカラ笑いながら、あたしの肩を叩いた。

「そんな顔しないの。要するに、一実はもっと力を抜いて良いって話よ」

「それだと相手に失礼じゃない?」

「失礼じゃない。一実はそれでようやく良い塩梅になるもの。私が保証するわ」

「難しいなー、そのさじ加減」

「努力なさい。そうしないと、何時かぶっ倒れるわよ?」

「それは困る」

「なら、頑張る事ね。光陰問わず、応援してあげるから」

「お二人とも、お帰りなさいませ」

 会話が一段落した時、あたし達は鶴来さんが待つリムジンに到着し、リムジンから降りて来た鶴来さんが、あたし達を出迎えてくれた。あたし達が各々挨拶すると、鶴来さんは迎えに来た時と同じ様にドアを開け、あたし達に乗る様に促して来た。知美が乗り込み、あたしが乗り込んで、ドアが閉められる。

「お二人とも、シートベルトはお閉めになりましたか?」

「平気よ」

「閉めました」

「そうですか。では、発車致しますね」

 エンジンを吹かし、リムジンが発車し、あたし達は改めて天道邸へと向かった。

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