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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ


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第15話:届かぬ手紙、皇帝による徹底的な『排除』

深夜の皇帝私邸、重厚なマホガニーの机の上には、一通の封書が置かれていた。

 アステリア王国の王室紋章――かつてエルシアがその誇りを守るために心血を注いだ、あの忌々しい百合の刻印。


 ギルバート様は、細長いペーパーナイフを弄びながら、その手紙を冷めた目で見下ろしていた。


「……虫唾が走るな」


 彼が指先で封を切ると、中からは震える文字で書かれた、厚かましいまでの「懇願」が溢れ出した。

『愛するエルシア、すべては誤解だった』

『イザベラには騙されていたんだ。私には君しかいない』

『今すぐ戻ってきてくれ、君を王妃として迎え直すと約束する。この国には君が必要なんだ』


 ジュリアン王子の、あまりにも独りよがりで、あまりにも遅すぎた「後悔」。

 ギルバート様はそれを一通り読み終えると、低く、愉悦に満ちた失笑を漏らした。


「王妃だと? 私のエルシアを、あのような泥舟の飾りに戻そうというのか。……身の程を知らぬ羽虫め」


 彼が軽く指を弾くと、漆黒の炎が手紙を包み込んだ。

 王子の執念が籠もった紙片は、悲鳴を上げる暇もなく、瞬く間に灰へと変わり、床に落ちる前に消え失せた。


「陛下……?」


 背後から、眠たげな声をかけて部屋に入ってきたのは、薄絹の寝衣ネグリジェを纏ったエルシアだった。

 月光を透かす銀髪を乱し、目を擦る彼女の姿は、あまりにも無防備で、あまりにも尊い。


「……何か、お仕事でしたか?」


「いや、ただのゴミを片付けていただけだ。起こしてしまったか」


 ギルバート様は一瞬で冷徹な顔を解き、立ち上がって彼女を抱き寄せた。

 外套で彼女の細い肩を包み込み、その首筋に顔を埋める。手紙を燃やした炎の熱よりも、彼女の体温の方が、彼にとっては唯一の真実だった。


「エルシア。……もし、あの王子が膝をついて謝りに来たら、お前はどうする?」


 問いかけに、エルシアは少しだけ悲しげに瞳を伏せた。だが、その声に迷いはなかった。


「……私には、もう関係のない方ですわ。私は今、ここで貴方様に必要とされている……それだけで、胸がいっぱいなのです」


「そうか。……良い子だ」


 ギルバート様は満足げに目を細め、彼女を抱き上げたままベッドへと運ぶ。


 その頃。

 王国の冷たい執務室で、ジュリアンは狂ったようにペンを走らせていた。

 何通出しても、返信はない。帝国の国境で、彼の手紙はすべて「不備」として焼却されていることなど、彼は露ほども知らない。


「なぜだ……なぜ返事がない! エルシア、お前は私を愛していたはずだろう!? 答えてくれ、エルシア!!」


 王子の叫びは、崩れゆく城壁の音にかき消されていく。

 彼がどれほど涙を流そうとも、どれほど言葉を尽くそうとも、その想いがエルシアに届くことは二度とない。


 皇帝によって完璧に隔離された「楽園」の中で、エルシアはただ、安らかな眠りについていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


「愛している」「戻ってきてくれ」……。

そんな王子の言葉が、エルシア様に届く前にシュレッダー(皇帝の炎)にかけられる。これぞ、究極の「徹底排除」ですわね!


ギルバート様の「ゴミを片付けていただけだ」という台詞、痺れましたわ……。かつての婚約者を「ゴミ」と言い切るこの潔さ、これこそが溺愛ヒーローの鏡です。


少しでも「ギルバート様の独占欲が最高!」「王子の無駄な足掻きが滑稽で楽しい!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援が、次回、エルシア様が「帝国の皇后」として正式に戴冠し、王国に引導を渡すための、最も輝かしい宝石になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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