表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/15

第12話:帝国の休日、宝石よりも甘い誘惑

鏡の中に映る自分を、私は信じられない思いで見つめていた。


 今日の装いは、淡い藤色のシルクを幾重にも重ねた、春の陽だまりのようなドレス。胸元には、ギルバート様が「君の瞳の色に似ている」と選んでくださった、大粒の星型ダイヤモンドが輝いている。


「……あの、ルネ。本当に、こんなに贅沢な格好で外出してもよろしいのでしょうか?」


 筆頭侍女のルネは、私の髪を丁寧に編み込みながら、少しだけ口角を上げた。


「エルシア様。陛下は『帝国のすべての美しさを彼女に纏わせろ』と仰いました。これでもまだ、陛下の満足には遠く及びませんわ」


 ルネに促されて部屋を出ると、そこには軍服を脱ぎ、私服――といっても、金糸の刺繍が施された濃紺の豪奢な上着チュニックを纏ったギルバート様が立っていた。

 いつも以上に色気が増したその姿に、私の心臓が小さく跳ねる。


「……待たせたな、エルシア。ああ、今日の君は……」


 彼は言葉を失ったように私を見つめると、長い指先で私の頬をなぞった。


「誰にも見せたくない。このまま布に包んで、私の腕の中に隠しておきたくなるほどに愛らしい」


「っ……あ、ありがとうございます……」


 顔が火照るのを感じながら、私は彼の差し出した手に自分の手を重ねた。

 彼に導かれて向かったのは、帝都を見下ろすことができる空中庭園。

 そこには、昨日の私の「祈り」によって息を吹き返した、数万輪の「白銀の薔薇」が咲き誇っていた。


 帝国では絶滅したと言われていた、伝説の花。

 それが、私の足跡を辿るようにして、庭園いっぱいに広がっている。


「見てごらん。君がこの国に来てから、帝国は輝きを取り戻しつつある」


 ギルバート様は、庭園の東屋ガゼボに用意されたテーブルに私を座らせた。

 そこには、帝国最高の菓子職人が、私のためにだけ作ったという色とりどりのスイーツが並んでいる。


「……綺麗。宝石みたいですわ」


「宝石よりも価値がある。君の笑顔を引き出せるなら、この菓子職人に爵位を授けてもいい」


 ギルバート様はそう言うと、小さなスプーンですくい上げた、とろけるようなクリームのタルトを私の口元へ運んだ。


「あ……あーん……」


 恥ずかしさで爆発しそうになりながらも、私は小さく口を開けた。

 口いっぱいに広がる、濃厚な蜂蜜と果実の甘み。


「美味しい……。こんなに美味しいもの、私……」


 不意に、王国の頃を思い出した。

 イザベラが残した固くなったパンや、冷え切ったスープを一人で啜っていた日々。

 私の頬を、一筋の涙が伝う。


「……エルシア? なぜ泣く」


 ギルバート様の表情が、一瞬にして険しくなった。

 彼は立ち上がり、私の隣に座ると、私の体を壊れ物を扱うように強く抱き寄せた。


「あの国のことを思い出したのか? 奴らが君に与えなかったものを数えて、悲しくなったのか?」


「いえ……。ただ、こんなに幸せでいいのかと……」


「いいはずがないだろう」


 ギルバート様は、私の涙を唇で優しく拭った。

 その接吻くちづけは、驚くほど熱く、切実だった。


「これしきのことで泣いていては、この先、君の身が持たないぞ。私は、君がこれまで受けてきた『悲しみ』の数よりも、『幸福』の数の方が多くなるまで、君を離さないつもりなのだからな」


 彼は私の指を一本ずつ、愛おしそうに絡めていく。


「エルシア。君はもう、泥の中に沈む月ではない。……私の、帝国の、太陽なのだ」


 甘い、あまりにも甘い誘惑。

 私は、彼の深い紅の瞳の中に、自分という存在が甘くとろけていくのを感じていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


ギルバート様の「あーん」……!

冷酷皇帝が、世界で最も甘い甘味を、最愛の少女に食べさせる……。このギャップこそが、溺愛ものの真髄ですわね。皆様の胸の鼓動、こちらまで聞こえてきそうですわ。


エルシア様が過去の辛さを思い出して流す涙を、接吻で拭う陛下。

もう、彼女の瞳から悲しみの雫がこぼれることは、彼が許さないでしょう。


少しでも「陛下、もっと甘やかして!」「エルシア様が幸せそうで泣ける!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


貴方の応援が、次回の更新でエルシア様に贈られる、さらなる「とびきりの贈り物」に変わりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ