表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

奇跡の力の安売りは

作者: 2626

よくあるテンプレートなお話ー。

 アタシ、聖女!

どんな怪我でも一瞬で治せる奇跡の力を女神様から貰ったんだ!

だから今日も怪我をした人を助けてあげるの。

優しいでしょ、アタシ?




 学園の中庭で転んでしまった生徒がいたの。

だからアタシ、駆け寄って膝の怪我を治してあげたわ。

優しいでしょ、アタシ?


 ……なのに、私の護衛の女騎士達は口うるさく言うの。

「聖女様。お願いですから奇跡の力の安売りはお止め下さい。奇跡の力をむやみやたらに使って、肝心な時に使えなかったらどうするのですか」

「良いじゃん、人助けだよ?何が悪いの?」

「彼は転んで膝をすりむいただけです。治療室で簡単な手当を受ければ自然に治ります。聖女様の奇跡の力は、使うべき時にこそお使いになるべきではありませんか?」

「うるさいなあ……どうしてアタシの力の使い道をアンタ達にとやかく言われなきゃいけないのよ!」

アタシは腹が立った。

どうして良い事をしたのに、怒られなきゃいけないの。

――あ、分かった。

アンタ達は女ゴリラみたいな不細工だから、可愛いアタシに嫉妬しているんだ。

「ブスのひがみ?マジでウザいんだけど」

アタシが本当のことを言ってやると、女騎士達はやっと黙った。

ざまーみろだ!




 逆恨みで殺されて異世界転生したと思ったら聖女に生まれたなんて、アタシはとってもラッキーだよね。

だから今日も、アタシはみんなに優しくしてあげるの。

「あっ!クリストフ殿下!」

超絶イケメン、キター!

「これは聖女のリリー様。如何されたのですか?」

「もうっ、他人行儀なんだから!何処か体に具合が悪いところはあります?アタシが治してあげますから!」

「特に無いよ。気持ちだけ有り難く受け取ろう。ところでリリー様、もうあの話は聞かれたのかい?」

「あの話?」

何だろう。

アタシに関係ある話?

クリストフ殿下はニコッと微笑んで、

「嬉しい事に聖女がもう一人見つかったのだ。平民として市井で生活していたのだが、この前の『竜災』の時に力が発現したそうだよ。来週にはリリー様のようにこの学園に通う手筈になっている」

「へ、へえー……」

アタシが行きたくないって言った所じゃん。

半世紀に一度、ドラゴンが瘴気の関係で暴れるんだって。

それを鎮圧するために王都から軍団が派遣されて戦うんだけれど……。

でも、そんな危険なところ、アタシが行ったらアタシまで怪我しちゃうじゃん?

「聖女同士、仲良くしてやって欲しい」

そう言って殿下は去って行った。




 クリストフ殿下の言った通りに、翌週には貧乏ったい格好の聖女ケイトがやって来た。

聖女ケイトは何もかもアタシと違った。

学園で誰かが怪我しても絶対に助けようとしない。

いつも護衛の女騎士達に囲まれて、物静かに本を読んでいる。

誰かが転んでも、捻挫しても、絶対に動かないのだ。

アタシはとうとう腹が立って、ケイトに言ってやった。

「ちょっとアンタ!どうして誰も助けないの?アンタそれでも聖女なの?聖女だからって偉ぶってんじゃ無いわよ!」

「……」

ケイトは何も答えなかった。

ただ、私を軽蔑の視線で見て、去って行った。




 その日は学園に国王陛下の叔父上のカートソン公爵が特別講義に来る日だった。

有名な魔法学の教授なんだって。

イケメンかなーって期待していたのに、やって来たのはよぼよぼのお爺ちゃんだった。




 講義は退屈でマジでつまらなかったんだけれど、事件は起こった。

講義中にカートソン公爵が胸を押さえて、小さく呻いて倒れたのだ。

慌てて治療室の保険医が走ってきたけれど、すぐにアタシを呼んだ。


 待ってました!

アタシの出番ね!

アタシが奇跡の力を使うと、すぐさまカートソン公爵は息を吹き返す――。


 アレ?


 ……何も変わらない。

それどころかカートソン公爵の顔色はどんどん悪くなっていく。

ヤバいじゃん!

何で!?

このままじゃ――。


 「退いて下さい」

アタシを押しのけてケイトがカートソン公爵の胸に手を当てると、すぐさまカートソン公爵が呼吸を始めた。

目を閉じているけれど、保険医は診察して「もう問題ないでしょう」って――。




 何で?!

何でアタシじゃ駄目だったの!?


 混乱しているアタシに、ケイトは哀れむような目を向けて言った。

「奇跡の力は無限ではありません。貴女に残された奇跡の力はほぼ無い事が私には分かります」

「ど、どうして……」

「だって貴女、『竜災』の時には何もしなかった癖に、この学園で起きる些細な怪我には聖女みたいな顔をして対応していたでしょう?」

「何言ってんの!?アタシは正真正銘の聖女でしょ!?」

「もう聖女ではありませんよ。聖女は奇跡の力を使い果たしたら、ただの人間です。だから私達はその力を使う代わりに、王侯貴族の通う最高級の学府に無料で通学させ、国に衣食住の面倒を見て貰えるのですよ。説明されなかったのですか?」

「説明……」

女騎士達が何か言っていた気がする。

でも、そんなの関係無いじゃん!?

「『竜災』では私の家族が死にました。貴女が来ていたら間違いなく死ななかったのに……」

憎悪の視線で私を睨んだ後、ケイトはクリストフ殿下に連れられて去って行った。

アタシは担架で運ばれるカートソン公爵や、忙しなく対応に追われる人の後ろ姿をただ見つめていた――。




 「殿下、申し訳ございません。聖女としてあるまじき言動をいたしました」

「無理も無い。リリーはあまりにも聖女として不適切だった。人の言葉に耳を貸さず、自分のやりたい事しかしなかった。だから彼女はその責任を負うべきだと私も考えている」

「……ありがとうございます。殿下、ところでカートソン公爵閣下は……」

「ああ、後で見舞いに行こう。……ケイト様、今だけは泣いても誰も咎めない」

「……っ、母は、私の、母はっ……!私を庇って……っ!母が亡くなった直後に、私は……ようやく聖女として……っ!」

「それでも君は私の兄を……ドラゴンと一騎打ちした王太子殿下を救った。奇跡の力の安売りをしなかった君こそ、誰よりも立派な聖女だとも」

ちなみに聖女リリーの異世界転生前の逆恨み殺人事件は、彼女の無神経に激怒したある人間によって階段から突き落とされた、と言う内容です。


奇跡の力のイメージとしては、まず聖女の全MPがあって、それをスキルに設定されたMPのコストが全部使ってしまうと二度と使えなくなる感じです。

MPポーションあれば良いのにねー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ