ニートなシンネン
1月
ぽーんと放り出された気分になる。
あぁ年が明けてしまったと。
簡素な呪詛でも巻き付いたかのように、
そこかしこにばら蒔かれているのは悪意かイヤミかと聞き間違うほどの祝いのことば。
時の流れを感じさせるには十二分な小さな視線。
手に入っても当たり前だと思っていたような視線に手をかざして、近所の神社に引き連れて歩く。
通っていた小学校を通り、信号をまつ間に増えたコンビニをみる。
コンビニのあった場所は今では考えられないほど大盛りで何か行事がある度に、牛丼やカツ丼を食べた記憶はある。
ファミレスなんてまだ近所に出来てなかったのだろう。
子供の頃連れてってもらった定食屋は高校の時にはすでに斜陽となり、都会から帰った年には沈んでいた。
時の流れと言うのは乗れないものを容赦なく放り投げては沈めていく。
息苦しさも思い出も何もかも奪っておきながら。
時折返してくれるのは何かの刑罰かなにかか。
まっとうな事が年々出来なくなっている。
恋人が出来たことはない。
初恋は澄ませた。
出会いを求めなくなった。
体が不調を訴え始めた。
心が荒むようになった。
酒も飲めなくなった。
夜中起きては明日は頑張ろうと呟く。
働けなくなった。
頑張ることなどないのに。
料理と選洗濯は一丁前に出来るようになった。
外食の値段に心を痛めるようになった。
買い食いに罪悪感を覚え始めた。
病院に行くようになった
薬の量が減らない。
働きたくなくなった。
何をすればいいのか。
何がしたかったのか。
ガラガラと鈴の音と賽銭を入れる。
コンビニで肉まん1つを買う。
お年玉と湯気のある肉まんを小さな手にわたしす。
不満そうな不思議そうな顔をする。
来年なと呟くように言う。
鬼は笑う。
何一つ 変わらない。
親戚の子が大きくなる。
初恋の相手は何をしているのだろう。
友達はどこを歩いているのだろう。
知りたくもないけど。
どこかでわかっているのかも知れない。
流れが早くキツくなってくる。
流されるだけの体力も。
見守ってくれる人も。
手を繋いで行く人も。
まっとうに
働いて
まっとうに
生きて
出来ていたはずの事が出来なくなって
気がつけばまた放り出されては季節が変わる。
まだ同じように歩きだせと言わんばかりに。
まだ間に合うと希望を返してくれる。
また放り出すくせに。
それでも 呟く。
明日は頑張ろうと心身に言い聞かせ。
来年なと
まるでまっとうなことを言う。




