表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

地を進み、天に昇り、星に成る

31.それでも進まなければ


 シリウスは空に繋がる階段を登るにつれ、最初はイフリートに温かさや明るさを感じる。だが、階段を登るにつれてそれは熱さや眩しさになった。シリウスの存在も精練されていくが、イフリートの存在は比較にならない程に高みに登っていくのを感じ取る。先に進むイフリート、今までの旅路で鍛えた身体で力強く進みながらも歩みが重くなるシリウス。そして彼は星で繋がる階段にて太陽の声を聴いた。


「太陽はこの世で比類なき程に強靱な命を持つ者の一つ、そして生命を司る者。彼は何度沈んでも復活する」


「圧倒的熱量を顕現させ、万人に光を施し、太陽はその意を示す」


 その重みに身体は沈みそうになる。

 それでも進まなければ。

 彼女に会いたい。その意志に火を灯す。

 巫女から託された力が、彼女の祈りが俺に命を吹き込んだ。

 太陽が俺を変えていく。

 俺の身体が意思に答える。

 進む、見上げる、登った先にはイフリートが待っていた。


___


32.星と太陽の邂逅


 イフリートは燃えていた。彼は階段を燃えながら登る。

 イフリートが手を貸す事はない。進むかどうかはシリウスが決める。

 イフリートは階段を登り切る事で太陽の本質に至る。

――あいつはどうだ、俺を見てどうする?

 イフリートは天に続く階段を登るシリウスを見ていた。その姿からは生命の息吹と星の輝きが生まれていた。

 そして天上にて星と太陽が邂逅する。

 眩しい物だなと太陽の輝きを宿したイフリートは思う。


「登って来たか、新たな星よ」

「見ろ、あの光を」

「あれがお前の約束だ」

「巫女が託し、俺が目覚めさせた。次はお前の番だ」


 イフリートは剣を差し出す。焔を鞘に収め、生命が吹き、剣で太陽の核が輝く。


「太陽の力はこの剣に残した」

「炎と命の輝きに満ちた、良い剣だ」

「この剣に相応しいのはお前の様な男だ」

「剣の輝き、お前に負けず。お前もまた剣の輝きに負けず」

「お前が進むと決めた時、その剣は抜かれるだろう」


 イフリートは焔揺らめく一時の間、シリウスの顔を眼に焼き付ける。

「その力はお前が使え」


 シリウスは開いた手を強く握り、剣を掴み取る。

「俺はこの剣を持って、前に進む」


 イフリートは満足そうな顔をする。

「俺の闘争は終わった」

「それでも火は形を変えてお前の中に現れる」


 シリウスは剣を腰に収め、笑顔を見せる。

「お前はぶっきら棒だけど、ずっと俺と共に居てくれた」

「ありがとう。また、会おう、イフリート」


「ああ、またな……」


 イフリートは炎の中に消えて行った。それでもきっと、いつかまた、シリウスが心に火を灯す時、彼もその中に現れるだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ