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寝れない。

初めましての方は初めまして!

こんにちはの方はこんちには!


良かったら最後まで読んでください!

あわよくば評価、ブックマークお願いします!

 寝れない。


 目が完全に()えている。


 当たり前だ。


「ウッシッシ!一冊読めばダンジョンだ……!」


 (つい)に許可を得たのだ。


 きっとみんなは思うのだろう。


 カノンのことなんか無視してダンジョンへ行けば?と。


 実際おっしゃる通りだ。


 けれど考えてみて欲しい。彼女は俺の持っている剣なのだ。


 つまり俺が剣を持ってダンジョンに行く以上、彼女もついて回ることになる。


 だから俺は断念(だんねん)した。


 そんな無念(むねん)もあと一冊で終わりだ。


 ()れったい気持ちを(かか)えた2週間がようやく終わる。


 そう思うと目が()えて仕方なかった。


 きっとあと5時間目を(つむ)っていても眠れない自信があった。


「あと一冊あと一冊あと一冊あと一冊あと一冊……!」


 (ねん)じれば念じるほど眠りからは遠ざかる。


「あと一冊!」


 そうだ。


 寝れないなら寝なければいい!


 俺はカノンにバレないようにひっそりと着替えて、深夜の図書館へと向かうことにした。


 じれったくて待ちきれないのなら、自分から迎えに行けばいいのだ。


 夜の商店街を走る。


 外はすっかり春で桜が満開だ。


 春の夜は少し冷えていて、冷たい空気を肺へと取り込みながら、俺は走って図書館へと向かった。


「やっべぇ!やっべぇえ!カノンにバレたら怒られそー!」


 (わる)だくみしている時特有のニヤニヤが止まらない俺。


 図書館の近くまで来ると、当たり前のように建物は閉鎖されていた。


「っし!忍び込むか!」


 俺は隣の建物の屋根へと上り、図書室のある階へと登って部屋に入ろうと(こころ)みる。


 図書室は一階ではないという理由から、窓に鍵がかかっていないことを知っていた俺はそのまま部屋へと入る。


「よっし!入れた!だてに冒険者やってないって……!……!?」


 人影がある。


 誰だ!?って聞こうと思った。


 でもどちらかといえばそれは向こう側のセリフな気がするので、黙りながら驚いてみた。


 身長が高い。


 シルエットから見ても男性の様だ。


 暗い部屋にろうそくの灯がともり、部屋が薄っすらと明るくなる。


 そして男の顔が明らかになる。


「やっぱり俺が見えているんだな……」


「あ!お前!ルタと一緒にいた青髪だ!」


 青髪の青年はクールで端正な顔が台無しになるほど目を丸くして驚いていた。


「あお……がみ……ふっふっふっふ」


 なんだかうれしそうだ。最近染めたのか?今のメッシュが気に入っているのだろうか?


 なら良かった。


「え、なんだ。青髪も一緒に本読むか?」


「いや、違う。」


 意外と笑うと優しい目つきをしているその男を見て俺は少しの安堵を覚えながら、科学書のコーナーへ向かう。


「それじゃあ、何しに来たんだよ。」


「ライト。お前に会いに来た……」


 あらやだ。


 俺ってばモテ期到来か?


 青髪の男は優しい目つきでそういう。


 顔のいい男って言うのは、こういっとけば喜ぶと思っていそうだから好きになれない。


 いや、顔の良い男は嫌いじゃないのだが。


 どちらかといえば目の保養になるから、見る分には好きであるのだが、やっぱり話すとなると好きにはなれない。


「はっ!俺の事が好きなのかよ?ダンジョンの中でのことについては、ルタに話したのが全部だぜ」


「い、いや!断じてそういう訳では!」


 慌てる青髪。


 硬派でクールな印象の彼だが、どうやら印象だけの様で意外と天然気質なのだろうか。


「んじゃなんだよ!こんな時間まで図書館いて何が目的なんだ?」


「いや、俺もこんな時間までいるつもりは無かったんだ。」


「あ?」


「ライト、お前が図書館に入り浸るようになったと聞いて昼から図書館でお前の事を、ルタと一緒に待ってたんだ。」


 青髪のイケメンは事情を話し始めた。顔に似合わずとっても悲しそうに。


「そしたらお前が全然来ないから、ルタが寝てしまってだな……。ルタは起きたあと、一緒になって寝ていた俺を忘れて、帰ってしまったみたいだったんだ。」


 とっても寂しそうな顔をする青年。


 俺は今何を聞かされているのだろうか。今度は俺が目を丸くする番だった。


「え、じゃあ一緒の宿屋に帰ればいいんじゃないのか?道が分からなくたって、商店街で聞けばわかるだろ?」


「いや、そうではなくって……。」


 俺より何年か年上の男が狼狽え、しどろもどろに何か誤解を解こうとしている。


「その、俺はだな……。ライト」


「なんだってんだ。はっきりしろよな……。」


 そうして青髪は机に腰を掛けると唐突に自己紹介を始めた。


「私はシリウス……。シリウス・オーダー。またの名を秩序(ちつじょ)の剣。そしてみんなからは勇者の剣と呼ばれている」


 新手の厨二病かもしれない。


 そう思った。


 だって秩序の剣の存在は絵本で知ったけれど、勇者の剣と呼ばれてるのなんか知らなかった。


 それにわざわざ『皆から』とか言っている辺りなんだかウザイ。


 いや、うらやまけしからん。


 俺も勇者の剣が良かった……。


 俺の剣は説教(せっきょう)ばかりの剣だぞ。


「え、それじゃあルタは剣を忘れて帰ったってこと?」


 シリウスは無言で頷いた。


「いや、勇者の剣ダサすぎるだろ……。って言うかルタはどうして取りに来ないんだ?」


「それは……、閉館時間を過ぎているからだと思う。」


「律儀かよ!」


 流石は秩序の剣の持ち主だ。


 シリウスは平然とした顔を保ちながらも目が泳いでいる。


「ところで精霊使いの少年。お願いがある。」

最後まで読んでくれてありがとうございます!


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