起源の五種:森神について
活動報告に書いていたんですが、『牙』の皆から「設定資料集を作ってそっちに投げろ!!」って怒られました。
・《起源の五色》
実は各国にいる『神』のこと。
属性の中で最も強い精霊が『神』となり、各々が住みやすい場所を自分たちの領域と決めた。
やがて人々が育ち、文明が生まれ、属性毎に国を名乗り、現在の夢幻世界ドリムデラになった。
一応名前を決め合ったが、呼ばない。
地神:トパーズ
火神:ルビー
風神:フローライト
水神:サファイア
森神:エメラルド
・森の国
人々の記憶から消えている国。
遙か昔、とても魔法の栄えた国があった。人々は知恵を集め、研究し、世界の成り立ちを知った。
そして誰かが言った。
『神を人工的に造ることが出来れば、新しい国を興すことも可能ではないか』
無謀な研究を止める者はいなかった。
国全体を巻き込んだ研究は、しかし最終的に失敗する。どの属性にするのかを最後まで決めずにいたからだ。
派閥毎に反発も生まずに研究していたのは、最終的に自分の派閥の属性になるだろうと思っていたからだった。よって、属性を決めるために揉めた。
元から属性のある地・水・火・風・森は達観したが、雷と氷が反発した。
抜け駆けをした雷の派閥が陣を発動させ、氷の派閥が邪魔をし、儀式は盛大に失敗する。
反発する属性同士が争った結果、元々いた森の神すらも分断し、森の国は全ての国民と共に消滅した。
生き残ったのは、新しい神の依り代として選ばれた、魔力を持つが属性を持たない青年だけ。
正確には彼も死んでいたのだが、神がなけなしの力で新しい肉体を作り、彼の意識をそこへ移した。
魔法陣の影響は大きく、たくさんのプラーナ(魂)が彷徨い、形を失い、やがて変質してモンスターになっていった。ピクシー族が生まれたのはこの時だ。
その中でも大きく、力のあるピクシー族が生まれた。
世界が混乱する中、森神は大きなピクシー族に話しかけ、青年と共に教育を施した。かつての森の国の知識を彼らに与え、分断した森神の力を探して世界を旅した。
地神は森神の力を快く返した。森が地を裂き、領域の生き物が怪我をすることに心を痛めていたのだ。森神は生き物が過ごしやすいように僅かに力を残して、地の国を後にした。
火の国には力は無く、風の国は風神が勝手に力を水の国へと投げていた。
大慌てで水の国に向かったが、もう既に力は水の国に馴染み、森は国の一部となっていた。水神が、生き物が潤うので良ければ引き剥がさないでくれと頼んだこともあり、森神は力を諦めた。
それはともかくとして風神である。
「お前は自由すぎる!!」
「そうは言ってもさ~。風は定まらない者だからね~~」
「ええい! 私の力を勝手に流して、国も荒れ放題!! 生き物たちも死にかけてるじゃ無いか!!」
「あっはっは。生きるも死ぬも自由でしょ~」
「人がいなければ私たちも消滅を免れないというのに!! こうなったら、私が管理する!!」
「ん~。僕が自由に遊ぶのを邪魔しないなら、いいよ~」
「言質は取ったからな!! 聞いてたな、水の神!!」
「ええと、はい」
各国の神は、人に干渉しないことを決めていた。森神も基本的には干渉しないが、一部の人間達が運命に抗い、立ち上がる姿に感動をした。
故に、人によって分断されたとしても人を愛した。
青年と大きなピクシー族と共に、国を興し直した。そして、大きなピクシー族に長を務めさせ、ピクシー族を全て風の国に留めることで、秩序を造った。
神の言葉は青年を通じて伝えられ、やがて青年は神官として崇められるようになったが、ある日を境に姿を消した。
しばらくして、遠い村で人々の治療をする青年の姿があった。数年すれば移動し、青年は知識の伝道者となった。
その青年は、かつては青紫の髪に銀の瞳であったが、今では銀の髪に金の瞳をもつ美丈夫になっていた。
「アラ。アナタ……」
「……彼は、人だったからな。流石に百年は精神が耐えられなかった」
「そう……それで、ヒトの真似をしているのね」
「いいや、教師だ。やはり私は、成長する人間が好きだからな」
「ふふ。イイと思うわ。ワタシも、ヒトの歌が好きよ」
「やぁやぁ。やってくれたね、森神。君のせいで僕は知識の神なんて言われてるじゃないか。
『自由のために知識は必要だ』なんて、哲学的なことを言うようなキャラじゃ無いんだけどな」
「お前こそちゃっかり私の領域を飲み込んで、領域を広げたじゃ無いか。おあいこだ」
「はー。こんなしたたかなヤツとは思わなかった。許すけれどね。
ただ、少しだけ水の国から森を分けて貰うことは出来るかい? 僕の眷属の羽を休める場所が欲しいんだ」
「ならお前は、地の国から少し山を分けてくれないか交渉をしてきてくれ。私の眷属が隠れる場所が欲しい」
「さて、《ピクシー族の長》。私は人間に混じるために森神である私の意識を沈める。
かつての彼のように振る舞う私を、笑わないでくれよ」
「あらあら、それは出来るかしら。人間のように慌てふためくアナタはきっと面白いから、笑ってしまうと思うわ」
「なら、こっそりと笑ってくれ」
「……私は、森神様によって造られたホムンクルスで、知識の伝達者。それが『モーゼ・オッドベル』なのですね。
森神様に与えられた使命をしかと果たしましょう」
ちなみに、氷の国はある。海の向こうに。シーサーペントがいっぱいいる辺り。
でもシーサーペントがいっぱいいるから交流できてない。
氷の国があるって知ってたら、失敗しなかったんだろうな。
雷の国が無いのは、作者がとあるゲームの雷の神様が大っ嫌いだから。
責任者が引き籠もってんじゃねえ!!! ちゃんと国治めろ!!!! 地の国を見習え!!!! あるいは風の酒カス!!!