第7話:今、すっごく気まずいです
気が付くと、朝日が差し込んで小鳥のさえずりが聞こえてきた。
「ん…もう朝かぁ」
…まだ寝たいんだけどなあ…二度寝しようかな…
コンコン
…?誰だろう?
「聖女様、もうお目覚めになられましたか?」
「はい。何か御用ですか?」
「でしたら、御支度をさせていただいてよろしいでしょうか?」
「へ?」
え、御支度って何?!自分でやるものじゃないの?!
「失礼いたします」
「聖女様、今日お召しになる服はどれにいたしましょう?」
「髪をお手入れさせていただきます」
「聖女様」
「聖女様」
「え、ええええ?!」
…つ、疲れた…朝っぱらからこんなんじゃ、一日も持たないよ…
「まあ、聖女様!とてもお似合いです!」
「今日もお美しいですわ!」
「…あ、はは…ありがとうございます…」
死んだ目で答えていると、声をかけられた。
「聖女様、少しよろしいでしょうか」
「!!!」
「ヒッ…!」
「…ぁ、せ、聖女様、私共はこれで失礼いたします…」
「?は、はい」
「…」
なぜか逃げるように去っていく侍女たち。お腹でも痛かったのかな?
「それで、どうしましたか?グシオン様」
「…ぁ、いえ、聖女様のご要望の件で…」
「…どうでしたか?」
許可してくれたかな…どうかな…
「義父に許可を頂きましたので、お伝えに来た次第です」
「!ありがとうございます!」
やった!これでようやくレベル上げができるぞー!
「それで、いつ頃行きたいなどのご要望があるでしたら教えていただきたく…「え?いつでもいいなら今から行きましょう!」…い、今からですか?!」
そりゃあ、今から行けるなら行きたい。時間は有限なのだ。
「しかし、その恰好では…」
「あ…」
そうだった。さっきまで侍女の皆さんに散々着せ替え人形にされてたんだった。外に行くのにこの格好じゃあね…どうしよう…
悩んでいるとラファイルはしょうがないという顔で私の手を取った。
「…急に手に触れた無礼はお許しください。本来あまり使う魔法ではないのですが、今回は特別ですよ?」
「え」
そういうと私の全身が淡い光を発して一瞬で着ている服が変わった。
おお、漫画とかでよく見る、乗馬をするときに着ているような服だ。漫画やアニメでは一瞬で早着替え魔法はよく見かけるけど、この世界にもあったんだ。
「一瞬で服を変えられるなんてすごいです!何て言う魔法なんですか?」
「衣装交換です。かなりマイナーな魔法なんですが、義父に覚えさせられまして…というか、それより突っ込むべきところがあるのでは…」
「?」
そう言ってふっと暗い顔をするラファイル。突っ込むべきところ?そんなところあるかなあ…………あ。
「無詠唱魔法ですか?」
「ええ。…聖女様は、私を恐れないのですね」
「え?」
恐れるところなんかあったっけ?ラファイルはただの優しい良い人だとおもうけどなあ。
そう思っていると、彼は無理やり笑みを作った。
「…いえ、今の言葉は忘れてください。さあ、行きましょう」
「…はい」