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第6話:ラファイルの不安

 こうりゃくたいしょうが あらわれた  ☛ たたかう

                      にげる

                      はなす

                      どうぐ


 「聖女様、何かご要望はございますか?私の叶えられる範囲であればなんでも言ってください」

 

 そう言ってふわっと優しく笑うラファイル。なんか後光が差している気が…さすが攻略対象。何度も画面越しに見ていたが現実にいても顔がいい。

 ラファイルは銀髪に黄金の瞳を持つ儚げな青年だ。一見ひ弱そうに見えるが、義父…司祭が義父だったとは思わなかった。ゲームには出てこなかったのに司祭イケメンすぎでは?…から処世術や武術、嫌いな奴を貶める方法、はたまた暗器や暗殺術に至るまで色々叩き込まれているのでやたら強い。ゲーム内で怒らせてはいけない人トップ2の一人だ。


 「聖女様?」

 「あ、すみません。ぼーっとしてしまって…」


 いけない、考え事をしていて無視してしまっていた。怒らせないようにしないといけないのに…

 ラファイルは気にすることなくもう一度聞いてくれた。優しい。


 「慣れない場所でお疲れなのでしょう。それで、何か要望はございますか?」

 「あ、それなら…」


 ずっと考えていたことをお願いしてみる。どうだろうか、聞いてくれるか五分五分って感じだけど、いけるかな?

 ラファイルは私のお願いを聞いて少し困ったように笑った後、


 「…許可が下りるかどうかわかりませんが、父に相談してみます」


 と言ってくれた。


 「ありがとうございます。グシオン様」

 「ラファイルでかまいません…と言いたいところなのですが、それだといずれ学園に通うときに困りますよね…」

 「そうですね。私が叙爵でもされれば話は別でしょうが」

 「ふふ、その時は私も貴女のことをマーガレット嬢と呼ぶことになりそうです」


 そうこうしている内に夜になってしまったので、ラファイルは帰っていった。


 「おやすみなさいませ。聖女様」

 「おやすみなさい。グシオン様」






















 コンコン


 「入りなさい」

 「失礼します」


 扉を開けて、中に入る。

 いつものように、義父(ちち)はベッドに腰をかけたままだ。司祭用の服は脱ぎ散らかされたままで、アンジューヌフロワを讃える聖書は引き裂かれて床に散らばっている。

 これを片すのは私なのだと思うと溜息が出た。


 「それで、聖女様はどうでした?」

 「…想像以上の方でした。要望も含めて」


 そう、本当に想像以上の方だった。義父が私も気に入ると言ったのも間違いではないのだろう。


 「要望?」

 「はい。実は、」


 ————


 「…ふ、はははっ。なるほど、面白い。いいでしょう、許可します。一瞬たりとも目を離さないように」

 「護衛騎士は」

 「いりません。あんなものいたところで人件費の無駄です。実力的には貴方だけで十分でしょう」

 「しかし、私と一緒では外聞が、」


 …そう、私と二人きりでは彼女の外聞が悪すぎる。ただでさえ先に聖女を確保したことで王家から睨まれているのに、これ以上付け入る隙を与えるのはよろしくない。

 そう考えていると、義父が苛立った目で私を見た。


 「…ラファイル」

 「…っはい」


 …何か怒らせるようなことをしてしまったのだろうか。私の察しが悪いから、この人は怒っているのだろうか。謝るべきか。わからない。わからない。わからない。わからな、


 「ラファイル、お前はまだ、あんな無駄飯喰らい共の言葉を気にしているのですか。あのような塵芥の言うことを聞いてやる必要などありません。時間の無駄です」

 「…ぁ、で、ですが、私が【魔王】と同じ髪色なのは事実で…っ」

 「…確かに【勇者】も【魔王】も髪色や瞳の色に一定の規則性はあります。しかし、いくら銀髪が珍しいからと言って【魔王】の血縁やら【魔族】やらと決めつけるのは早計過ぎるでしょう。そんなことを言ってしまえば聖女様を含めた金髪の人間から碧い瞳を持つ魔族まで皆【勇者】になってしまいますよ」

 「た、確かに…?」


 そう考えると少し面白い。魔族まで【勇者】になったら【魔王】は大変そうだ。

 少し笑っていると、義父は優しい目でこちらを見た。


 「ですから、気にすることはありません。お前は自分のやるべきことをやり、したいことをしなさい。邪魔者からは私が守ります。お前は私の息子なのだから」

 「…っありがとう、ございます。義父上…」


 この人は、私の髪色を気にすることなく、私を見てくれる。

 …おそらく、聖女様も。

 平民の間でも、【魔王】の容姿は有名だ。私を見て、恐れない人間はほとんどいない。

 それでも気にせずにいて下さるのなら、私は、お二人のために生きていこう。

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