レジスタンス
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千里ちゃんの部屋は本人の見た目の派手さとは裏腹に殺風景な部屋だった。
さっきまで真田君のゴージャスな部屋に居たせいか、何故かとても落ち着く。
「ごめんね、何も無い部屋で。この国に長居するつもり無いから荷物は少なめなの」
「ううん、すごく落ち着く。それより千里ちゃん熾天使と契約してるんだよね?鳴海君達とこの国を守らないの?」
「あー、私そういうの面倒くさくて。それにこの国には何の思い入れもないし。私は早く元の世界に帰ること以外は興味が無いの。神とか悪魔とかみんな好き勝手に騒いでるけど勝手にやってって感じ」
「さっき透華ちゃんを逃がしたって言ってたけど。あとレジスタンスって?」
「うん。透華とは意見が合ったんだよね。透華は正義とか悪とかを自分勝手な価値観で決めつけるのが嫌みたい。転移した時はこの国に居たんだけど、鳴海がしつこくて逃亡したがってたから助けてあげたの。その時に透華とその仲間で結成したのがレジスタンス。この国への反抗勢力みたいなものかな」
「透華ちゃんは今どこにいるの?」
「無事にエヴァーガーデンを出れたみたいだよ。透華には信頼度抜群の私の仲間を付けてあるから心配ないと思うよー」
仲間?誰だろう、クラスメイトの誰かかな。
思い当たる節を考えてみるが答えが見つからない。
「それで、どうして私達も助けてくれるの?」
「うーん、正直可哀想ってのもあったけど、瑠々達の方が元の世界に戻る期待が出来たからかな?アイツらには無理。だって頭おかしいでしょ?私は当然の行いをしたまでだよ」
そう言って私にウインクする千里ちゃん。
すると千里ちゃんが胸につけているブローチかが喋り出した。
「なんだかんだ千里も心配してたんですよ。お仲間の皆さんが処刑されるって聞いてからは、鳴海君を個別に説得して処刑を送らせたり、瑠々さんを丁重に取りなすように兵士に命じたりと影でずっと暗躍してたんですよ」
「ガブリエル?余計な事は言わないようにね」
「さっきだって助けたじゃない。あのままルルさんが暴挙に出たら3対2でかなり危なかったよ。チサトのお陰で命拾いしたね」
あ!私が執務室でディーナを呼ぼうとした時だ。
あの時千里ちゃんは私の暴挙をさりげなく止めてくれていたんだ。
確かにあのまま戦っていたら間違いなくタダでは済まなかった。
それより全く気付かなかった。ずっと興味無さげにしていたから、正直何の協力も得られない人として勝手に認識していた。この人凄い役者だ。
「千里ちゃん、色々と本当にありがとう。私何も分かっていなくて」
「別にいいよ。私達クラスメイトでしょ?それに私の契約天使のガブリエルもあの3人のやり方には不満だらけなの。あいつらの契約天使達も宿主に不満を感じているだろうけど、宿主の意見が強いのがこの契約の特徴だからね。だからアイツらあんなに調子に乗ってるのよ」
千里ちゃんが自分の爪を磨きながら続けて毒舌を吐く。
てか契約天使と意見が合わなくても力を使えるんだ。
私がディーナとケンカしたら絶対助けてくれなそう・・・
「千里ちゃん、助けてもらってすぐで悪いけど私涼太君の救出に向わなきゃ。このお礼は必ずするね。助けてくれて本当にありがとう」
「はいはーい、楽しみにしておくね。じゃあ私は時間稼ぎしておいてあげる。あと、私も今夜にはこの国を出て透華を追いかけるからもう捕まっちゃダメだよ?」
「うん、気を付けるね。本当にありがとう。千里ちゃんも気を付けてね!」
「もう変な奴に捕まらないようにね、アハハ」
千里ちゃんに最後もう一度お礼を告げて部屋を出る。
その後この城から脱出を試みようとするが、至る所に警備兵がいるせいで思ったように外へ出られないでいた。
多分今千里ちゃんが時間を稼いでくれてるばず。
とにかく警備兵に見つからないように、細心の注意を払いながら私は脱出口を探した。
少し時を遡り、涼太救出に向かうシーナの視点
「ジレンさん、あそこです!」
お城敷地内の中庭に近づくにつれ、涼太さんの魔力反応が強くなる。
建物の陰に隠れながら更に中庭の奥へ進むと地下通路へ続くトンネルが見えてきた。
「エルちゃん、お願い」
トンネル前には天使警備兵が6体。
ここまで来たら強行突破しかないため、エルメスと融合するシーナ。
「お主の魔力も残り少ない。もう召喚魔法は使えないから用心せよ。範囲魔法も残り2回が限度じゃ」
「うん、分かった。ありがとうエルちゃん」
ジレンさんにお願いして、陰に隠れながらトンネル入口まで運んでもらう。
「この辺でいいのか?」
「はい、ありがとうございます。では発動しますね!」
出来るだけ広範囲にスリープの魔法を放つ。
魔法効果でトンネル前の警備兵6体は地面へ崩れ落ちた。
「ひえ〜、嬢ちゃんちっちゃいのに大したもんだな。これなら比較的楽に進めそうだ」
「私の残魔力だとあと1回が限界です。それ以上は魔力切れを起こして気を失っちゃうそうです。いざという時は私を置いて逃げてください」
「子供を置いて逃げる訳ねえだろ!その時は俺も全力で戦うぜ!」
そう言って胸を叩くジレンさんがとても頼もしい。
トンネルの入口を潜り地下牢獄へと続く階段を降りていく。
下まで降りると看守さん3名が通路を徘徊しており、一本通路両側には数多くの牢獄がびっしりと並んでいた。
「ではもう一度スリープ魔法を使います。あの方達が眠ったら涼太さんを探し出しましょう」
「おう、その後の戦闘になった場合は俺に任せろ。嬢ちゃんは俺の後ろに隠れてな」
そして最後のスリープを放つと看守3名が眠りについた。
ジレンさんは眠っている3名の看守さんの腰に付いている、おそらく牢獄の鍵と思われる鍵束をは剥ぎ取っている。
その様子を確認していると、急身体を大きな負担と倦怠感が襲う。同時にエルメスとの融合が解けた。
「よくやったぞ、シーナよ。だがもう魔力切れが近い。これ以上は妾も助けてやる事が出来ん故、用心して進むがよい」
「うん。気を付けるね。とにかくこの牢獄から涼太さんを探さなきゃ」
ジレンさんと手分けして数ある牢獄を手当り次第確認する。牢獄の中を覗くとやせ細った人間の姿や、中には悪魔の姿もあり、皆シーナのスリープで眠りについていた。
一部屋ずつしらみ潰しに探し、通路最奥に差し掛かった所でシーナがピタリと足を止めた。
「どうした嬢ちゃん、涼太がいたのか?」
「いえ、もしかしたら・・・でも違うかな?暗くてよく見えないんですけど」
ジレンはシーナに近寄りその牢獄の中を覗く。
見ると囚人服を身に纏った1人の少女だった。
少女は項垂れたまま眠っており、その顔はよく見えない。
「ん?涼太じゃないのか。嬢ちゃんこの子の知り合いかい?」
「・・・。お姉、ちゃん?」
そう呟き固まるシーナの表情をジレンが覗く。
それは今にも泣きそうな、何かを憂いている様な横顔。
「姉ちゃんって。嬢ちゃんが探している人じゃねーか。とりあえず鍵を開けるから顔を確認しよう!」
ジレンはその牢獄の鍵を外す。
二人は牢獄内に入り、眠っている少女の顔を間近で確認する。
「やっぱり、やっぱりお姉ちゃんだ!お姉ちゃん起きて。助けに来たよ!」
シーナが少女を強く揺さぶると少女が目を覚ました。
「シーナ?」
「お姉ちゃん!!」
そう叫びシーナが少女に抱きつく。
相当長い期間監禁されていたのか少女はシーナを受け止めきれずに後ろに倒れた。
「あいたた。シーナ、どうしてこんな所に!?」
「この牢獄に捕らわれた仲間を助けに来たの。牢獄の中を確認していたらお姉ちゃんの姿を見つけて!」
興奮したシーナは涙ながらに姉に説明する。
その姿を目の当たりにした少女はシーナの頭を優しく撫でていたが、近くに立つジレンに気付き問う。
「そこに居る天使様はシーナの仲間なの?」
「俺は力天使のジレンだ。訳あってこの嬢ちゃん達の手助けをしてるんだ。とりあえず手足を縛っている縄を解くぞ」
ジレンさんがお姉ちゃんの拘束を解く。痩せた手足には縛られた跡がくっきりと残っている。
「1人で歩けるか?無理そうなら背負ってやるぞ?」
「大丈夫です。少しフラつくけど歩けます」
少女は立ち上がろうとするが、長い拘束期間の為かその場でよろめいてしまう。それを支えるシーナ。
「お姉ちゃん!生きていてくれて本当に良かった。すごく会いたかったよ」
「私もまさかシーナが助けに来てくれるとは思わなくてすごく驚いたよ。でも本当にありがとう。ジレンさんもありがとうございます」
にこやかに笑うその儚い笑顔は、姉妹だけあってシーナにとてもよく似ている。
「とりあえず早いとこ涼太を探してここを出よう。お嬢さんは俺が背負ってやる。背中に乗りな」
「ありがとうございます。私はアイナと言います。この御恩は忘れません」
アイナはジレンにもたれ掛かるとポロポロと泣き出した。
こんな年端もいかない少女が1人孤独に牢獄生活を送っていたのだ。辛くないはずがない。
ジレンは無言でアイナを背負い、再び別の牢獄を探す。
突き当たりの牢獄を確認すると、そこには両手両足を拘束され、口に猿ぐつわをされた涼太が地面に横たわって眠っていた。
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