神獣召喚
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「エルちゃんどうしよう、こっちに誰か向かって来てるみたい。えっと、1、2・・・4人!」
「構わぬ。ドアを開けよ」
「ええええ、私だけじゃ4人も相手に出来ないよ!」
「ドアを開けたら直ぐに魅了魔法の発動じゃ。さっき教えた通りにやるがいい。急がねば更に救援が来るぞ」
「ううぅ、やってみるけど危なくなったら助けてね」
「ふん、こんな雑魚程度に妾と融合したお主が負けるものか。危うい時はここに来る前に教えたアレを使うといい」
「うぅ、頑張ってみる。じゃあ開けるね?」
思い切ってドアを開けると、ちょうど目の前に4体の天使さん達がいて思いっきり目が合った。
「あ・・・」
「な、なんだと!?」
扉の外に立っていたのは、ベリルヘムへの道のりで護衛してくれた天使さん達、ジレンさんとその仲間の天使さん3人だった。
お互いびっくりしてフリーズしてる隙にエルちゃんから指示が飛ぶ。
「シーナ、今じゃ。魅了を発動せよ!」
エルちゃんに言われた通り、ジレンさん達の心に語りかける。
「どうか私に危害を加えないでください。私は大切な仲間を守りたいだけなの。その人達を守るにはここで倒れる訳にはいかないの。じゃなきゃ・・・」
精一杯自分の想いを4人へ伝える。
すると、武器を構えていた4人がゆっくりと武器を下ろし、私を護衛するかの様に私の周りに立つ。
「エ、エルちゃんこれは?!」
「シーナの魅了の効果で、ごヤツらはお主の下僕になっただけじゃ。妾と融合している今、効果は抜群じゃから当分はお主を守ってくれるであろう」
横に付いたジレンさん達を見ると、目がピンク色に染まっている。これが魅了の効果なのかな。
結局私はジレンさん達を引き連れて、王城の勝手口から城内に侵入した。
「ルルは4階の貴賓室じゃ。そこの階段から行けるはずじゃ。魔力探知しつつ警戒しながら進むがよい」
「はい!」
大きな階段を駆け上り、3階まで辿り着いた所で上階に強い魔力を感じる。
「何かおるな。おそらく天使と・・・この気配は獣か?シーナ、気をつけて先へ進め」
「うん、何か嫌な魔力を感じる。ルルさんの部屋までもうすぐなのに」
私達5人は出来るだけ音を立てずに階段を上り4階の踊り場まで到着する。
ルルさんの部屋はここから長い廊下を渡り、突き当たりを右折した所にある。
周囲を警戒しつつ廊下の曲がり角まで辿りつくき、顔だけ出して右折先を確認する。
するとそこには一体の天使、いやさっきまでの天使さん達より一回り大きな天使さんと、ライオンみたいな生き物が部屋の前に鎮座していた。
「どうしよう。部屋の前に誰かいるよ。多分ルルさんはあの部屋にいると思う」
「アークエンジェルとキマイラじゃな。倒すしかあるまい。こちらには4人の天使達もおるし、何よりこのために用意した切り札もある。あやつらを倒した後はルルと合流してすぐに脱出じゃ」
「うん、分かった。でも私に倒せるかな?」
「そこの天使達との協力体制が上手くいけば勝てる。ここまで来たらもう作戦なんぞ無いわ。気合いと根性で乗り切ろうぞ」
計略の神とは思えない発言をするエルメス。
シーナは強行突破の前に、試しに範囲魔法スリープを唱える。
しかし獣であるキマイラには全く効果が無かった。また、アークエンジェルも平然としており、眠りにつく気配が無い。
「2人ともスリープが効かないみたい」
「ふむ。獣であるキマイラにはそもそもの意思伝達が出来ない故に伝達魔法効果が無い。アークエンジェルは元々魔法に対しリフレクト特性を持っておる。我々の範囲魔法との相性は最悪じゃ」
「どうすればいいかな。あの2体がいる限り部屋に近づけないよ」
「邪魔なら倒すまでじゃ。今から妾の作戦を伝えるゆえ、全員指示通りに動くのじゃ」
その後エルちゃんの作戦内容を教えてもらい、2体と対峙しする形で通路へ飛び出す。
「ジレンさん達お願い!アークエンジェルさんをやっつけて!」
その指示に従いシーナに魅了された天使4体がアークエンジェルに向け突進する。
気付いたアークエンジェルは剣を構え
「何奴だ!おのれ侵入者め。キマイラ、お前はあの娘をやれ!」
連れているキマイラと呼ばれるライオンの様な獣に命令し、すぐにジレンさん達の相手を始める。
アークエンジェルの命令に反応したキマイラは、鋭いキバを私に向け4本足で突進してきた。
「今じゃ。召喚せよ!」
「はい!」
シーナは目を閉じ思い浮かべる。
自分を可愛がってくれた父と母の事を。奴隷に身を落とした自分を救ってくれた二人の事を。その慈愛に満ちた優しさを。
その優しさは時に大切な者を守る為、立ち向かう強さになる。その強さを想いに乗せて異界へと伝達し、新たな守護者を召喚する。
シーナは目を見開き頭上に手をかざしながら叫ぶ。
「罪無き我の守護を命じる!神獣バロン!」
シーナがそう呼ぶと彼女の目の前に光の渦が現れ、その中から一体の獣が姿を現した。
そう、シーナとエルメスの切り札は召喚魔法。
その召喚された守護者はキマイラ同様に4つ足で立派なタテガミを携え、真っ赤な体にはいくつもの小さな鏡をあちこちに飾っている。鋭く大きなキバを持ち、突進するキマイラを威嚇している。
「バロン、あの獣を倒してください!」
シーナがそう命じると、すぐさまバロンが高速でキマイラに襲いかかる。
キマイラは自分より大きいバロンに恐れを覚え後ろに下がるがバロンのスピードが上回り、鋭い爪の一撃で後ろの壁まで吹き飛ぶ。
立ち上がろうとしたところに、再度バロンのキバによる攻撃で黒い霧と変わった。
「ほう。初めての召喚魔法で神獣バロンを召喚するとは末恐ろしい才能じゃ。妾の伝達は異界へも繋がる。すなわちお主が望めば、更に強力な神獣を呼ぶことも可能じゃ。その為にもっと精進することじゃな」
「うん、頑張る!あ、でも今のでちょっと疲れちゃったかも」
苦笑いのシーナはへなへなと地面に座り込む。
「神獣召喚はかなりの魔力を消費する。今日はこれ以上は無理じゃ。それよりあちらはどうなっておるのだ」
アークエンジェルと剣を交えるジレンさん達の戦いは熾烈を増していた。
ジレンさんの仲間の天使3体は、既にアークエンジェルに倒されており、それぞれ床に倒れ、壁に寄りかかったまま動かない。
残りのジレンさんとアークエンジェルの一騎打ちとなっていた。
「おのれ、力天使め!あんな小娘に魅了されるとは情けない。いい加減に目を覚ませ!」
アークエンジェルはジレンさんの剣を受け止めながら呼びかける。
「・・・・」
それに対し無言のジレンさんはアークエンジェルに対しての攻撃の手を緩めない。
それから壮絶な剣と剣のぶつかり合いが長い時間続いたが、ついにジレンさんの動きが少しずつ乱れてきた。
「老いぼれめ、体力切れか。そろそろ決着をつけてやるわ!」
ついにアークエンジェルの振り下ろした剣がジレンさんの右肩に直撃する。
その一撃を受け膝から崩れ落ちたジレンさんは
「ぐ、ぐぬぅ。ここまでか。嬢ちゃん、早く逃げな」
それまで無言だったジレンさんが声を発する。
「何っ!貴様、魅了されていたのではないのか!?」
「俺は力天使だぜ。魅了は効かねえって言ってんだろ」
「どういうことだ!貴様、我々を裏切ったのか!」
「涼太達が捕まったって言うから、真意を確かめにその嬢ちゃんの所を訪ねたのさ。そしたらそこでこの子の心の声を聞いた。魅了と同時に辛い過去、大切な人への想いが流れ込んできたのさ。あんなもん聞かされて放っておくなんて、俺達天使のする事じゃねぇ。腐ってんのはこの国だ馬鹿野郎」
「くだらぬ。貴様の正義など神の意志の前では無意味。神への裏切りは重罪。この場で処刑してやろう」
アークエンジェルは右手に持つロングソードを大きく振りかぶり、床に崩れたジレンさんに向かって振り下ろした。
「や、やめて!!私が代わりに処刑されるからやめてください!」
シーナはアークエンジェルに向けて叫ぶが、それも虚しくアークエンジェルはジレンへ剣を振り下ろした。
アークエンジェルがジレンの首を跳ねる寸前。
「ドゴァォォォン!!」
大きな破壊音と共にアークエンジェルが後ろの壁に吹き飛び激突する。
衝撃に耐えきれずアークエンジェルは白い霧となり消失した。
シーナから見て右側の部屋のドアが木っ端微塵に吹き飛び、部屋の中から強烈な水の波動がアークエンジェルに直撃したのだ。
唖然とその後の光景を見守っていると、部屋の中から見覚えのある美しい女性が現れた。
「ルルさん・・・!」
「ハハ、ごめんねシーナちゃん。連絡遅いから待てなくて飛び出して来ちゃった」
苦笑いしながら出てきたルルは緑がかった青の美しいロングヘアに青い瞳、身につけた水の羽衣がよく似合う、見蕩れる程に美しい女神の姿だった。
「ルルさん、やっと会えました。私、頑張りました」
「うん。全部聞こえてたよ。凄いね、シーナちゃん。強くなったんだね」
そう言ってルルはシーナを優しく抱きしめる。
シーナも安心したせいか、目から大粒の涙を流していた。
「ジレンさん、シーナちゃんを守ってくれて本当にありがとう。お礼にその傷を癒させてください」
ルルはジレンの元に駆け寄り、肩に受けた傷をアクアヒールで癒す。
「なぁに、俺は自分の信念に従い行動したまで。だから気にする事はねぇ。俺はお前さん達側に付くぜ。もうこうなったらとことん付き合ってやらぁ」
ジレンの肩の傷は傷跡は少し残っているものの傷口は塞がった。
再び剣を片手に立ち上がるジレンは
「次は涼太だな。恐らく今の騒ぎでここに間もなく援軍が来る。早いとこ移動しよう。おい、てめら!起きやがれ!」
そう言って仲間の3体の天使達を無理矢理起こす。3体はアークエンジェルとの戦いでボロボロのため、ジレンさんの命令で城外へ避難させた。
「すまんな、アイツらはもう使い物にならねえ。だが俺はまだイケるぜ。嬢ちゃん達は俺が涼太の所まで連れてってやるから乗りな!」
「待ってジレンさん!私は残してシーナちゃんと一緒に向かってくれる?」
「え、ルルさんも行きましょう!このままここに1人では危険です!」
「大丈夫。私はまだここでやる事があるの。だから先に行って涼太君を連れ戻してきて」
「でも・・・!」
「心配しないで。危なくなったら結界張って逃げるから。私だって頑張らなくちゃ!それにこれは私しか出来ないことなの」
「はい・・・。でも無理しないでくださいね。ルルさんがいなくなったら私っ!」
「絶対にいなくなるつもりは無いよ。この戦いが終わったらまた三人で旅を続けなきゃ。その為にも涼太君の事お願いね。信じてるから」
涙ぐむシーナの頭を軽く撫でて微笑むルル。
それは良き姉と妹の姿の様で、傍らで見るジレンにとっても微笑ましい光景だった。
「じゃあよろしくね、ジレンさん。シーナちゃんはジレンさんを案内してあげてね」
「はい!ルルさんも気を付けてください!」
そう言ってシーナはジレンに抱えられ窓から飛び去っていった。
「さて、じゃあ次は私の番かな。本当は凄く怖いけど、私だってやるべき事をやらなきゃ」
そう自分に言い聞かせ、ルルは1人王族専用の執務室へと向かうのであった。
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