計略の神エルメス
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現在、エルメスとその親衛隊に連行され大聖堂へ向かっているのだが、何故かエルメスが乗る籠の窓から物凄く熱い視線を感じる。
「なぁ、ルル。なんかめっちゃ見られてる気がするんだが」
「うん。さっきから私も耐えられないくらいの視線を感じる」
シーナは逆にエルメスが気になる様で
「あの子、私と同じくらいの歳だよね。でも私よりも少し小さいからもう少し年下かな?」
そう話すシーナの声が聞こえたのか、エルメスが籠の窓から顔を覗かせ
「な、何を言っておるかそこの小娘!!妾の方がお姉さんに決まっておろうが!身長もわらわの方がちょっとだけ高いわ!」
なんか顔を赤くして怒っている。窓から小さな顔だけ出てるのがちょっとかわいい。
「それよりエルメス。俺達がこれから会うのは一体誰なんだ?」
「エルメス様じゃ!このたわけ!」
あ、また怒ってる。やっぱりちょっとかわいいな、
「ふんっ、王族ではあるが貴様らのよく知る人間じゃ」
やはり俺の最後の切り札は的中した。
恐らくこの都市には、俺達と同じ契約者たるクラスメイトがいると踏んでいた。俺達の名前を出せば向こうから接触を計ってくるだろうと。
特にルルはクラスメイトとの仲も良く、名前を出せば会いたいと言ってくるヤツもいるはず。
そして案の定この切り札に食いついてきた。
この後、クラスメイトとの協力が出来れば尚良いが、そいつが高村の様に力に溺れているのであれば、もちろん衝突する可能性もある。
どっちに転ぶかは不明だが、あの状況を切り抜けるにはこの方法をとるしかなかった。
「ところで王族であるエルメスはれっきとした神なんだよな?俺の知り合いのそいつは人間。種族が違うのに同じ王族とか有り得るのか?」
「そやつらは人間とはいえ熾天使との契約者じゃ。何も問題なかろう」
そやつら?いるのは1人じゃないのか。
確かにルシアの話では、神聖王国には9名の候補者がいるとのこと。人数は不明だが同級生同士が固まるのは普通か。
歩みを進めていくうちに前方に大聖堂が見えてきた。
その間、エルメスはずっとこっちを興味ありげに見ている。
「なぁエルメス」
「様じゃ!!」
「じゃあエルメス様。何故そいつらと会うのが王城ではなく大聖堂なんだ?王家なら王城にいるんじゃないのか?」
「それは妾にも分からん。ただそやつらから大聖堂カテドラルへ連れて来いと言われたのじゃ」
「ふーん。エルメスは普段国王様と一緒にいないのか?」
「様じゃと言っておる、まったく。妾はあの新しい王は嫌いじゃ。お前と同じく嘘まみれの男じゃ!」
「ごめんな。もう嘘はつかないから安心していいよ。それより新しい王ってのはもしかして・・・」
「その通り。お主と同じ契約者じゃ」
まじか。俺のクラスメイトに国王になったヤツがいるのか。
しかし考えてみれば、インドラ国も一時期高村薫が国王だったんだっけ。そう考えると不思議な事ではないのかもしれない。あれこれ考えてるうちに、大聖堂カテドラルの前まで着く。
「さぁ、ここからが楽しみじゃ」
籠から降り若干ウキウキ気味のエルメスが教会の扉を開くと、そこは静謐な雰囲気漂う大きな大聖堂が広がっていた。
壁画、天井画共に数多くの神々、天使が描かれている豪勢な室内は見る者を魅了する。
「すげー。この規模の教会は人間界にはないぞ」
捕縛されてる身でありながら、あまりの規模に圧倒されてしまう。見蕩れながら歩くとやがて大聖堂最奥にある扉に辿り着いた。兵士の1人が開けると中に数人の人影があるのが分かる。
「あ、希莎ちゃん!!」
「瑠々!無事だったのね。本当に良かった」
中に居たのは同じクラスの長谷川 希莎。あまり目立つ方では無いが、品行方正で学力トップクラスの真面目な生徒だ。
長谷川の姿を確認し、正直かなりホッとした。長谷川なら高村の時の様に暴走する心配も無さそうだ。
「希莎ちゃん、私達危うく捕らえられそうになってたの。それで涼太君がエルメスさんと交渉して、ここに連れてきてくれたの」
「うん、聞いてるよ。もう大丈夫だから安心して瑠々。私達ここではそれなりの権限を与えられてるから、ちゃんと保護してあげる」
私達?他にもいるのか。ここで初めて俺も口を開く。
「長谷川、危ない所を救ってくれてありがとう。ここには他の生徒もいるのか?」
「うん。私の他に真田君と千里、あと英志君がいるよ」
真田 優希。生徒会会長で3-Aでも男女問わずまとめ役の様な存在。
夏川 千里。女子のリーダー格でちょっとギャル風、良く言うと明るくて活発な女子。
そして、鳴海 英志。
俺を盗撮犯に仕立てあげた張本人であり、学年1のイケメンと言われる男。
まさか早くも鳴海英志とここで再会することになるとは。
この旅の目的の1つであり、鳴海にルシアが持つ冤罪の証拠動画を叩きつけ、1発ぶん殴ってやること。
鳴海の名を聞いた途端、思わず拳に力入る。
俺の袖を掴んでいたシーナが、不思議そうに俺を見上げている。
「他のやつらはどこにいるんだ?ここには居ないようだが」
「英志くんと千里ちゃんはベリルヘムの外に出ているの。今いるのは私と真田君だけだよ。真田君ももうすぐここに来ると思うよ」
長谷川は安心させるためか、穏やかに瑠々の頭を撫でている。
「そっか。とにかくここでクラスメイトに会えて本当に良かった。すまないが少し世話になることになりそうだ」
「ううん、大丈夫。クラスの人達の安全は保証するから安心して」
その言葉にほっと肩を撫で下ろしていると、後ろの扉が開いた。
「やあ、2人とも。エルメスから話は聞いたよ。無事で良かった」
生徒会会長の真田が取り巻きの聖職者を連れて現れた。
真田も長谷川もこの国特有の白いローブを身にまとっているが、他の聖職者とは違って飾りが多い。恐らく契約者ならではの権威が与えられているのだろう。
「とにかくここではなんだから王城へ向かおう。瑠々さんは俺達と一緒に。仲立とその子はエルメスと一緒にここで待機だ。少し話を聞かせて貰うよ」
「は?なんで俺達だけここで待機なんだよ」
「すまないね。ここは神聖王国なんだ。エルメスの話では君達には悪魔の気配があると聞いている。このまま王城へ連れていく訳には行かないんだ」
「待てよ。俺達はここで何かしようなんて気はないぞ。あと種族でひと括りに差別する必要ないだろ。ましてや俺はお前と同じ日本人だぞ!」
真田の言い草にカチンときたので少し声を荒げる。
「さっきから気になるが、君は俺に対する敬服が足りないね。ここでは俺達は王族なんだ。そこは勘違いしないで欲しい。君達を保護するもしないも俺達次第なんだよ。本来なら盗撮魔の君はこの国に入国する資格など無い。それを助けると言ってるんだ。わがままを言うのはやめたまえ」
イライラが限界に達した。
「たまたま契約の力で成り上がっただけだろーが!お前と俺の差なんてねーよ勘違い野郎が!何がやめたまえだ。口調まで勘違いじゃねえか」
「無礼な。君はやはりあの時から何も反省してないんだね。君達、この者をひっ捕らえたまえ」
「優希君、落ち着いて!今のはちょっと酷いよ!私達が同じクラスメイトであることは変わりないよ!」
長谷川が割って入る。この場に長谷川がいてくれて本当に良かった。もし俺と真田だけならこの後すぐに全面戦争になっているところだった。
「キサ。この国の安全を守るのは俺達の責務だ。そしてエイジと共に最後の審判を目指し、この国同様に美しい世界に創り変えると決めたはずだ。その為には不穏分子は詰んでおかなければならない」
「でも何も聞かずに最初から不穏分子と決めつけて捕らえるのは間違ってると思うの。せめて話し合いするべきだと思う」
ルルも続けて口を開く。
「真田君、涼太君は真田君が思っているような人とは違うよ。私が危険な目に合った時もずっと助けてくれてたの。それにあの事件は涼太君が犯人じゃないみたいなの」
「こいつが犯人じゃない?そんな馬鹿な。俺は証拠動画を見たんだ。あれは間違いなく仲立だった」
そう否定した真田だったが少し考えたのち
「とりあえず分かったよ。ただ仲立とその子については危険性があるか否か判断してからとさせて貰う。これは譲れない。そこにいるエルメスの尋問を受けてもらい、安全なら瑠々さん同様に王城で保護しよう」
「なら私もここで尋問を受けます!私だけなんて不公平だし」
ルルが俺達の隣に移動しそう告げる。
「まさか!ルルさんは必要ないよ。君には今まで積み上げた信用がある。俺と一緒に来てもらうから安心して。僕は正義の名のもと君を守ると誓うよ」
そう言ってルルの肩を抱き寄せようとした。ルルはびっくりして直ぐに避けた。こいつの下心丸出しの態度に呆れる。
こんなのにこの状況で目をつけられたルルが不憫だ。
「分かった。こっちも我慢するよ。俺とシーナはここでエルメスの尋問とやらを受けるよ。瑠々は長谷川と一緒に王城で保護して貰ってくれ」
「でも、涼太君達が心配だよ」
「大丈夫。いざとなったらシーナだけでも保護して貰うよ。てことでよろしくな、エルメス」
椅子に腰掛けたエルメスの顔を見ると
「エルメス様じゃ!ふんっ、厳しい尋問になるから覚悟しとけ。特にそこの小さいの!」
なんか来る時からそうだが、シーナに対しての敵対視が凄い気がする。
「は、はい・・。お手柔らかにお願いします」
シーナもすっかり萎縮してしまった。
「じゃあ後は頼んだぞエルメス。くれぐれも情に流されず、しっかりとやるように」
釘を刺す真田に対して
「ふん、お前に言われなくともちゃんとやるわ」
エルメスは横を向き不貞腐れながら答える。このやりとりを見るに王族も一枚岩では無さそうだ。
ルルが心配そうに俺達を見ながら、長谷川と真田に連れられて部屋を出る。残された俺とシーナ、そしてエルメスとその取り巻きの兵士だけが部屋に残った。
「おい兵士達、お前たちは部屋の外に出ていろ」
「はっ、しかし!」
「いいから出ろと言っている。妾に1人でもこんな人間共には負けぬわ」
承知しました、と兵士達は部屋の外に出る。
「さて、そこの椅子に腰掛けよ。いくつか質問をしていくので正直に答えよ」
俺とシーナは言われた通りに椅子に座る。
「言っておくが、妾は嘘を見破ることが出来る。さっきの様に嘘を並べても無駄じゃぞ」
それから長い時間、エルメスの尋問を受ける事となった。
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