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本音と建前

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ノックの後、恐る恐るドアを開け、少女が不安そうな顔を覗かせる。


「し、失礼します。約束通り来ました」


ルルが笑顔で迎える。


「いらっしゃい、シーナちゃん!来てくれてありがとう」


「いえ、何の御用でしょうか?」


怯えながらルルと俺の顔を交互に見る。

少し青がかった大きめな瞳は潤んでおり、薄い紫色の髪の毛先を不安そうに掴んでいる。服装は使用人のそれで、洗ってはいるもののかなりボロボロだ。


「そんなに怯えなくて大丈夫だよ。少し聞きたいコトがあるだけだからね」


シーナを安心させるためソファに座らせ、ルルがホットミルクの様な飲み物を出す。それをシーナは目を輝かせて手に取る。


「まずは来てくれてありがとう。少し教えて欲しいことがあって呼んだんだ。もしかしたら君の役に立てるかもと思って」


俺から本題を切り出す。


「私の役にですか?」


シーナは首傾げ、不思議そうに俺を見つめる。


「そう。まず聞きたいのはクリカラ出身の君がどうしてこの国に来ることになったのか、だ」


「はい。私は元々隣国クリカラのゲーテという町で、父と母とお姉ちゃんの4人で暮らしていました。国境沿いの町で、よく国境に近い森にキノコ狩りに行っていました」


シーナは俯きながら一つ一つ丁寧に語る。


「半年くらい前です。いつものように家族皆で森にキノコ狩りに出かけました。そこで王国軍に出くわしたのです。姉が軍人の方に手を掴まれ連れて行かれそうになりました。それに怒った父と母は、王国軍に対し文句を言ったのです。それを反逆とみなされ父と母はその場で・・・。」


シーナは苦しそうに押し黙ってしまった。


「ひどい・・・!許せない!」


隣のルルが怒りのあまり、形が変わる程クッションを強く抱き締めている。


「その後、私と姉はこの国に連行されました。姉は軍人の方と一緒に、私は贖罪市場に売られ、今のご主人様に買われたのです」


幼いシーナは自分の感情を我慢しながら、整理しながら俺達に伝えてくれた。その姿を見て、居た堪れない気持ちでいっぱいになる。再び俺からシーナに尋ねる。


「今、お姉ちゃんがどこにいるかは知ってるの?」


「はい。ご主人様のお話では、首都ベリルヘムにいると聞きました。そこで王国軍のお世話をしていると」


「生きているのなら良かった。君達を連れてきたヤツらが何者かは分かったりする?」


「はい。国王直轄部隊の方々だと言ってました。父と母が逆らったのが隊長、たしか名前はジェイド様と仰ってました」


国王直轄隊長ジェイド。すかさずメモをとる。


「ではここからが本題だ。君は今の生活に満足してる?」


「え、は、はい。こんな罪深い私を拾って頂けたご主人様には感謝しています」


シーナは自分に言い聞かせる様に、言葉を選びながら返す。


「君が満足しているか聞いているんだ。君の本当の気持ちを教えて欲しいんだ」


少し強い口調に驚いたシーナが


「でも私は罪人なんです!罪を償わなきゃ。じゃないと私だけじゃなくお姉ちゃんも!」


溜まっていた涙が、ついに目からこぼれる。どれだけ心細くても、寂しくてもずっと1人で我慢してきたのだろう。


「君は罪人なんかじゃないよ」


「でも!」


「事実だよ。君は罪人なんかじゃない」


シーナは下を向き押し黙っている。

ここで不遇な生活を送ってきた俺の過去を教える。

似た境遇を味わってきた者として、味方がいると思ってもらうためだ。


「実はね・・・俺は変態なんだ」


シーナが今までで1番びっくりした目で俺を見る。

ルルはこいつ何言ってんだって顔で見てくる。


「へ?な、なな何をいきなり。変態さんなんですか?」


「ごめんごめん!世間で変態って言われてるだけだから!安心して!ねっ!?」


何故かシーナが俺と距離をとる。


「それ1番ダメなやつだよ涼太君・・・」


ルルが顔を覆いながらダメ出ししてくる。


「変態さんがどうして私に・・・。あっ!そ、そういう事ですか!わ、私は罪人ですから何でもしますけど・・そういうことは今までしたこと無いですし」


しまった。変な誤解させちゃったなこれ。

シーナは顔を赤くしながらも、俺を見る目が何かを諦めたものになっている。


「待って、誤解だからね!俺は変態だけど変態じゃないんだ!ただ皆に変態って言われてるだけで、俺自身は変態じゃないと思ってるだけだよ!」


ルルは自分の目頭を抑えながら


「涼太く、私から説明するからちょっとだけ黙っててくれる?」


その後、ルルが分かりやすく俺の学校での境遇をシーナに説明してくれた。シーナは安心したのか、少しだけ笑顔が見られた。


「ありがとうルル。シーナ、そういうことなんだ。俺はこの理不尽と戦っていくと決めた。それが俺にとっても大切な家族や仲間にとっても幸せになれる道だって思ったからだ」


シーナが真剣な目で俺の話を聞いている。


「さっき言ったけど、君は罪人なんかじゃない。ただ誰かが勝手に決めた理不尽のせいで不遇な生き方を強要されているだけなんだ」


この子は過去の俺に似ている。周りの都合や悪意によって貶められ、理不尽に従って生きている。

だがその生き方は、自分の理想ではなく誰かの理想のための生き方だ。


「シーナ、提案がある。俺達と一緒に来ないか。この国の中枢に不満を叩きつけ、この馬鹿げた贖罪制度をぶっ壊そう」


あまりに無茶な提案に驚くシーナ。それに構わず俺は続ける。


「そして君のお姉さんを取り返し、君の生まれ育った町へ帰ろう」


シーナはしばらく唖然としていたが、再び青い瞳から涙をこぼす。


「わ、私だって、私だってこんな生活は嫌です!でも1人じゃ何も出来なくて。我慢して・・・。でもこんなの」


止まっていたシーナの心が少しずつ動き出す。流れる涙と共にポツリポツリと本音がこぼれる。


「本当はこんなのもう嫌です!私、何も悪いことなんてしていないもん!お姉ちゃんに会いたい!おうちに帰りたいです!!!」


ルルが俺の肩を叩き、笑顔でうなずく。俺もうなずき返す。

よし、決まりだ。シーナを連れ王国首都へ向かおう。

この国にある宝玉を探すと共に、この理不尽な制度をぶっ壊してやる。


「決まりだシーナ。自分の荷物を持ってきて。出発だ」


「えええ!今すぐですか!?」


「ここを抜け出すなら夜の方が都合良くてね。これ完全に誘拐だからね」


シーナに笑顔で親指を突き立てる。


「誘拐ですか・・・やっぱりへんた」


「違うからね!」


シーナは急ぎ部屋を出て、自分の荷物を持ってきた。私物はほとんど無いらしく、ボロボロの靴と小さなカバンだけだった。

ルルがその姿を見て抱きしめる。


「シーナちゃん、大丈夫だからね。お姉ちゃんが絶対に守ってあげるから!」


シーナは抱きつかれてキョトンとしている。俺はというと、テーブルの上に魔石を3個置く。宿代と、シーナを連れ出すことに対してのその名の通り詫び石だ。


「よし行こう!ルシア」


部屋の窓を開け、ルシアに呼びかける。


「はい、いつでも行けますよ」


突然胸の宝石(ルシア)から声が聞こえて驚くシーナ。


「シーナ、驚くのはまだ早いぞ。ルシア、融合だ」


周りの空間が歪み、そこに現れたのは天使の様な悪魔。

あまりの驚きに声が出せないでいるシーナに対して笑いながら


「言い忘れてたけど俺も悪魔なんだ。俺達は仲間だな!」


ちなみに私は精霊だよ、とルルが添えている。

荷物を担ぎ、ルルとシーナを両手で抱える。そして窓枠に足をかけ、4階から颯爽と飛び出した。


「わぁ、私空飛ぶの初めて!」


「わ、私もです!」


興奮している2人を抱きかかえながら翼を羽ばたく。


「ルシア、このまま首都へ向かう。方角はどっちだ?」


「はいマスター。2時の方角です。そのまま少し右に逸れて進んでください」


ルシアの示す方角へ進路を進める。30分くらい進んだ所で、関所が見えてきた。


「もうすぐこの街ともお別れだ。シーナ、心残りは無い?」


「はい!ありません!」


「子供が敬語なんで使わなくていいよ。もう1回聞くね。心残りは?」


「・・・。うん!全然ない!」


シーナが笑顔で言う。それを聞いたルルはとても嬉しそうに手を叩く。間もなく越える関所を間近に、上空で3人で笑い合った。


「マスター前から何か来ます!」


「ホントね。これは人では無いわ!」


ルシアとディーナが警鐘を鳴らす。俺達は一度上空で止まり辺りを見渡した。誰もいないことを確認し、再び進もうと羽をはばかせたと同時に、前方から高出力のエネルギー波が俺達に目がけて放たれた。


「やばい!ルシア結界だ!」


俺達を中心に球状の結界が展開されエネルギー波をかろうじて防いだ。目を凝らし、エネルギー波の放たれた方角を見ると数人の人影が羽ばたきながらこちらへ近づいてくるのが見えた。

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