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贖罪制度

モチベになりますので、面白い!と感じて頂けましたら「いいね」「ブックマーク」「評価」の程、よろしくお願いします(>人<;)

視点は仲立 涼太と田中 瑠々に戻る。


インドラ国と神聖王国エヴァーガーデンの国境に辿り着いた俺達は、検問所を通過し、晴れてエヴァーガーデン領の都市ベフデトに入ることが出来た。


「おー、国が変わると街並みも大きく変わるな」


「ほんとだ何もかも真っ白!綺麗!」


元の世界で言うとインドラがアジアンテイストなら、エヴァーガーデンはヨーロッパ地中海風なイメージと言えば分かり良いだろうか。

白で統一されたその景観は、見るものにとっては絶景と言えるものだった。ここベフデトは商業の盛んな地域で、街道に差し掛かると、馬や荷車を用いて物資を運ぶ人とすれ違う頻度も増えた。


「とりあえずベフデトの市街に向かおうか。まず宿を探さなきゃね」


「うん。その後は情報収集する感じ?」


「そだね。宝玉の手がかりが見つかればいいんだけど」


今日はもう時間的にこれ以上遠くへは進むのは危険なので、ここから近い市街地へ向い、そこで一泊することにした。

市街地近郊まで来たところで日が落ちてきた。


「日が落ちてきたわね。悪魔が活性化する時間だから気をつけてね、ルルちゃん」


「うん、わかった」


ディーナがルルに警戒を促した直後、背後に冷たい気配を感じる。


「ルル、後ろだ!」


2人同時に振り向くと、そこにいたのは2体の悪魔。

1体は黒馬に跨り、黒い仮面と鎧を纏う槍を持つ兵士の姿。

もう1体は防寒帽と茶色の冬服を着た少女の姿で体は宙に浮き、周りに青い火の玉を数個漂わせている。


「馬に跨っているのがエリゴール、少女の姿のがモー・ショボーですね。物理攻撃、魔法攻撃をそれぞれ得意としてます。りょーたはモー・ショボーを、ルルはエリゴールを迎え撃つのがい良いかと」


「了解。ルシア融合だ!」


俺はルシアと融合する。

そういえばルルの融合を見るのは初めてだ。

ルルの方をチラ見すると、ちょうど融合するところだった。


「おぉ。人の融合を見るのは初めてだ!」


ルルは指輪のある左手を頭上に掲げ、ウンディーネに呼びかける。


「ディーナお願い!」


直後、ルルの身体を水の渦が包む。

渦は激しい水流をうねらせ、ルルの身体を完全に包んだ後消えた。消えた跡には俺同様に変貌したルルが立っていた。


「おおお、ルルかっこいい!」


ショートカットだった髪の毛はサラサラのロングヘアとなり緑がかった青色に。額の上には銀のティアラを飾っている。

神聖な白いローブと水の羽衣を身にまとい、手には柄の部分に青い魔石が付いた杖を持っている。


「恥ずかしいからあまり見ないで〜!へ、変じゃないかな?」


「めっちゃ似合ってるよ!魔法使いって感じ!」


「えへへ。良かった」


呑気に会話していると、それまで警戒していた悪魔達が襲いかかってきた。まず黒馬に跨るエリゴールが槍を構え、ルルに向かい突進してきた。


「ルルちゃん。私の教えた通りにやってみて」


ルルの脳内にディーナの声が響く。


「うん、やってみる!」


恐らくディーナと会話しているのか、ルルが意気込む。

ルルは慌てず自分の前に水の壁を張る。

それを突き破ろうとエリゴールが槍を突き出し突破を計る。

水の壁を槍が突き破った途端、先端から先がスッパリと切れた。


「おぉ、あの壁ウォーターカッターなのか」


エリゴールは武器を破壊され、慌てて止まる。

その間、ルルは杖の先に魔力を集中。

エリゴールが止まるのを確認し、頭上に魔力を解放する。


「アクアロッドレイン!」


ルルの放出した魔法が上空まで達すると、そこからいくつもの水の槍が地上に降り注ぐ。


「うお!すげえなそれ!」


水の槍は、上手に俺を避けエリゴールに突き刺さった。

エリゴールは黒い煙と変わり、その跡に魔石が転がっていた。


ルルの見事な戦いに目を取られ、肝心の俺の相手を放置していた事に気付き、焦って前を向くがそこにあったのは1つの魔石と、地上に突き刺さり、消えつつある水の槍だった。


「え、こっちも倒しちゃったの!?範囲魔法すげー」


「上手く出来て良かった〜。実は涼太君が眠っている間、ディーナに特訓してもらってたの」


高村戦の後、俺が眠っている間にディーナと夜な夜な魔法の練習をしていたらしい。


「魔法は全部で4つ使えるようになったよ。さっきのアクアウォールとアクアロッドレイン。あと直線攻撃のアクアエクスキューション。4つ目は回復魔法のアクアヒール」


防御、範囲攻撃、直線攻撃、回復ってめっちゃ万能じゃないですか。確実にもう俺より強そうだなと考えているとルシアが


「何言ってるんですか。マスターの方が、いや私の方が確実に強いですよ。ちなみにマスターは前回の高村薫との戦いでレベルアップしてます」


「え、そうなの?」


「はい。今なら主ルーシェの力を32%まで解放可能です。ギリギリですが第2形態まで進化も可能です」


「第2形態?」


「はい。見た目も変わりますが、使える能力も増えます。後ほど時間をとって説明しますね。今はまず完全に日が落ちる前に街まで急ぎましょう」


「そうだな。急ごう」


魔石を回収し、ベフデト市街を目指す。幸いそんなに遠くない場所にいたらしく、市街地が前方に見えてきた。

ベフデト市街は、白く高い壁に覆われた城塞都市だった。

中に入るには関所の様な門を通過する必要があり、通過するのに一悶着あった。


「エヴァーガーデンに他国から入国する方は、こちらの衣装の着用が必須です。お持ちで無ければこの場で購入して頂きます。購入出来ない場合は入国は認められません」


どうやら神聖王国エヴァーガーデンは、国民のみならず来訪者においても服装制限があるらしい。

仕方ないので2着購入するが、これがまた魔石2個と高額で、今ある魔石の約1/3が飛んだ。

また、滞在時のルールも長々と説明され、入国するまでに約1時間弱かかった。

ちなみに滞在時のルールを要約すると


・他崇拝、他信仰活動の禁止

・衣服、頭髪、言動の乱れの禁止

・国法、領法に反する全て行為の禁止

・神、天使への敬服、服従の徹底

・領主ホルス神の指令、命令の絶対


大きくこの5つだったと思う。

てか、ルルの精霊はまだしも俺の悪魔(ルシア)のことがバレたら相当やばいんじゃ?

この国では人前でルシアとの融合は控えた方が良さそうだ。


「私の存在は確実に忌み嫌われるモノですね。見つからない様に警戒しましょう」


ルシアも同意する。入国後からいつもより大人しくなっているのはそのせいか。

長い入国レクチャーの後、まずは宿泊する宿屋を探す。

関所の門をくぐると、目の前には一本の長い大通りが続き、左右両サイドにはいくつもの商業店舗がずらりと並んでいる。

さすがは商業都市だ。


大通りを歩くと観光客や旅人に対する呼び込みがとにかく多く、常に誰かに話しかけられながら歩く。中でも驚いたのは


「そこのお二人!贖罪(しょくざい)者を見ていかないかい?今ならいいのが揃ってるよ!」


贖罪(しょくざい)者?耳慣れないその言葉に問いかけると


「あんた達知らないのかい?この国では罪を犯した者が贖罪のために、国民へ奉仕活動をするんだ。それが贖罪者さ。奉仕することで罪が浄化され、再度神の民になれる。犯した罪が重いほど贖罪期間が長いんだ」


贖罪。何かを犠牲にして罪を償うこと。

奉仕活動をすることで社会貢献し、過去に犯した罪を償う。

日本の法制度に似てるのか?


「へぇ、懲役みたいなものか。その人達を俺達が見ていくってどういうことなんだ?」


「ああ。俺達国民は贖罪者を売買出来るんだ。自分達の身の回りや仕事の手伝いをさせるなど、彼らに国民への奉仕活動を与える。そうやって彼らも贖罪出来るってことさ」


「なっ!それ完全に奴隷っ・・・!」


言いかけた所でルルが俺の口を手で塞ぎ、首を横に振る。

その場を去った後にルルが


「私もおかしいと思ったけど、言葉に出さない方がいいと思って・・・」


「贖罪を理由にした奴隷制度ってことだよな。何が神の国だ。立場の弱い人を人間扱いしない制度ってことだろ。聞いてて本当にムカついてしまった」


辛かった高校生活を思い出した。例え犯罪者とはいえ、人として扱われない気持ちを知ってるだけにかなり気分が害された。


「ごめん、落ち着くよ。とりあえず宿を探そう」


それから大通りを進むと宿屋街に辿り着く。高過ぎず安すぎない宿を選び受付と話す。


「ごめんなさい。今一部屋しか空いてないんですが、それでも良ければ」


「あー、そうですか。ルル、他を探そう」


「私はいいよ?一部屋で。節約にもなるし」


「え!?わ、分かった。じゃあお願いします」


思わずびっくりしたが、それだけ信用されてると言うことか。

いや!?これはもしやOKのサインなのか!と考えを巡らせていると


「だって涼太君のこと信用してるし!その代わりベッドはじゃんけんね!」


と笑顔で言われ、同時に期待が勘違いに変わった。

従業員というには若すぎる少女に部屋へ案内され、荷物を部屋に置く。


「何かご用命がありましたら、フロントにお申し付けください」


その少女は深々とお辞儀をして部屋を去っていこうとする。


「ねぇ、待って」


ルルが少女に呼びかける。少女は不思議そうにルルの顔を見つめている。


「そのケガ、どうしたの?」


よく見ると、確かに少女の首に赤黒いアザがある。


「これは贖罪の証です。私は贖罪者ですので」


少女はニコッと笑いながら答える。明らかにその笑顔に異常性を感じ口を開こうとした時、ルルがその子の首に優しく触れた。そして、小さな声で


「アクアヒール」


その子の首に手をかざし回復魔法を唱える。

首のアザは綺麗になくなり、その子はお礼をして帰っていった。

その姿を見送った俺達は互いに声を掛けることなく、暫くの間その部屋で考え込んでいた。

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