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救世主と熾天使

モチベになりますので、面白い!と思って頂けましたら「いいね」「ブックマーク」「評価」の程、よろしくお願いします(>人<;)

ここは、神聖王国首都エヴァーガーデン。


救世主(メシア)様はまだ到着してないのか?そろそろ式典の時間だと言うのに」


「はっ、間もなくこちらへ到着するとのことです。今お召し物のご準備をされております」


神聖王国エヴァーガーデン首都ベリルヘム。

景観整備統制が引かれたこの都市は、道路、建造物全てにおかれ白と青で統一されており、清潔さと清廉さの両観点が備わっている。

ここに住まう民は、身に纏う服装までも男女問わず白い衣服を身につけ、首からは木製の十字架を下げている。

首都ベリルヘム中央に位置する大教会は、王国の国教であるメシア聖教会の本拠地カテドラル。

その周りには大勢の民が集まっており、これから始まる式典を前に大盛り上がりを見せていた。


白。


潔白を示すその色で街全体が埋め尽くされ、ところどころ爽やかな青が差し色として映える。そんな街を人々は神秘の都として称えていた。


「おぉ、お待ちしておりました救世主(メシア)様。ささ、神の民がお待ちですぞ。存分にその存在を群衆にお示しください!」


「待て。救世主(メシア)様は今到着されたばかりだ。少しばかり待たせておけ」


「で、ですが、皆がもう痺れを切らしております故」


「黙れ司教、立場を弁えろ。俺達に意見をするとは、それなりの覚悟があってのことか?」


「ひぃ、し、失礼しました!」


「まぁ待て真田。俺なら大丈夫だ」


「でも、私も真田くんに同意見。ちょっと無理しすぎじゃない?少し休んだ方がいいよ」


「なぁに、すぐに終わらせてくるさ」


最近のハードワークに心配してくれる仲間の気持ちに感謝しつつ、新国王すなわち新しい救世主(メシア)の誕生を祝う民衆の前に歩み出る。

大教会カテドラルの3階バルコニーから見下ろしたその景色はまさに絶景だった。


「おぉ、これは凄いな!」


美しい白き都市の街並みと、ここに集まる万を超える民衆を見下ろし、感嘆の声を上げるのは3-Aクラスで生徒会会長の真田 優希(サナダ ユウキ)


「ホントだぁ!めっちゃ人いるじゃん!これが私達の為に集まってるとしたら凄くない?!」


合いの手を入れるように興奮しているのは、夏川 千里(ナツカワ チサト)

同じく3-Aクラスで、クラスの中では鳴海中心で構成されるカースト上位グループの1人。女子のリーダー的存在だ。


「千里ちゃん、興奮しすぎ。墨田の花火大会の方が人いるじゃん。それより、この人達を待たせてるのも悪いし早く挨拶しようよ」


これも3-Aクラスの1人で、名前は長谷川 希莎(ハセガワ キサ)

普段とても真面目な生徒で生活態度、成績共に評価の高い生徒。


「そうだな、希莎の言う通りだ。優希、千里、俺達の役割を全うする為にも威厳ある態度を見せていこう」


新国王、すなわち新たな救世主(メシア)が3人をまとめる。


「はーい」「了解」「分かったわ」


新たなメシアに従い、3人の顔が引き締まる。

バルコニー先端へ救世主(メシア)とその仲間3人が現れたと同時に、地上から大きな歓声が上がる。

4人はポーカーフェイスを保ち、注目する民衆を前に毅然とした立ち振る舞いを演じる。中心人物である男が一歩前に出て声を張る。


「人の子らよ!よく聞け!私は今日より新たな王として、この神聖王国エヴァーガーデンを束ねることになった!」


鳴海は更に続ける。


「また、国王としての義務を果たしつつも、この地エラリスの争いを終わらせるため、救世主(メシア)として全ての宝玉を集める!そしてその先に、神の慈悲と慈愛に溢れた世界を約束する!」


「おおおおおおお!!!」


「ではその役目を果たすべく、私の頼もしい仲間を紹介する」


3人が前に並ぶ。


「まず1人目、名はチサト!契約天使は、ガブリエルだ!」


千里は1歩前に出て


「みんな私達に力を貸して!悪いようにはしないからね!」


艶やかな容姿も重なり、野太い歓声が上がる。


「続いて2人目、名はユウキ!契約天使は、ハニエルだ!」


真田は生徒会会長としての毅然とした態度で


「規律正しく、犯罪のない美しい世界にします」


メガネをくいっとやると、地上から黄色い歓声が上がる。


「最後の1人、名はキサ!契約天使は、ウリエルだ!」


長谷川 希莎は少し緊張気味に前に出て


「皆さん、学問に励み、豊かな国を作りましょう!」


子供や老人中心の歓声が上がる。


「そして、救世主(メシア)として皆の想いを背負っていく者。それが私、鳴海エイジ!契約天使は・・・」


3秒程の溜めを作り


「ミカエルだ」


究極のドヤ顔で言い放つ。人間界なら間違いなく全員ひくだろうが、ここは神の国。その演出に集まった観衆全てが大歓声を上げる。

それから鳴海英志の自分に酔いしれた演説が約30分程続いた後、戴冠式を終え、式典は幕を閉じた。

4人は教会内に入り、緊張の糸を解く。


「ふー、お疲れみんな。全員良かったよ。この後はご飯でも食べようか」


鳴海 英志が、仲間へ労いの言葉をかける。


「でもエイジ、あれヤバかったね!3秒くらい溜めるやつ。笑いこらえるの大変だった」


チサトがエイジを揶揄する。


「あれくらいの方がいいと思ったんだよ。みんなの期待に答えられただろ?」


「そうだな。お陰で皆にも威厳を示せたよ」


「私も、伝えたい事が伝えられたわ」


4人は先程の式典を振り返りながら、階段を降りる。

元々クラス内でも関係良好な間柄なので、コミュニケーションも円滑で、異世界に来てからも良いチームワークを発揮している。


1階に降りた所で、鳴海英志がみなの方を振り返り告げる。


「みんな、俺の考えに賛同してくれて本当にありがとう。必ず宝玉を全て集めて、この世界を脱出しよう。そして、俺たちの理想の世界、一人一人を見捨てず、美しく皆が手を取り合って生きられる世界、友情と愛情の世界を俺達で創ろう!」


告げると3人は目を輝かせてコクッと頷く。


「その為に、俺達4大天使ともう1人。聖女、桐谷 透華を探し出そう」


鳴海 英志は遠くを見つめ、決意をみなぎらせた。

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