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田中瑠々

モチベになりますので、面白い!と思って頂けましたら「いいね」「ブックマーク」「評価」の程、よろしくお願いします(>人<;)

今のAクラスは私にとって、あまり居心地のいいクラスではなかった。クラスメイトは皆優しくしてくれるし、私自身に対する不満とかではない。

2年生に成り立ての時、ある事件が起きたのがきっかけ。


同じクラスの男の子が私と透華ちゃんを盗撮していた。

楓ちゃんがカメラを発見し、彼を問い詰めると彼は全力で否定していた。盗撮していたと思われる映像を見た。

授業中の私の姿や、玄関での姿、調理実習の時など、学校での私の姿が隠し撮りされていた。そして最後に映ってたのが彼だった。


容疑者は仲立 涼太君。


仲立君は男の子数人に抑えられ、職員室に連れていかれた。

初めて映像を見た時は恐怖だったし、こんな隠し撮りをする行為に対し、気持ち悪いという嫌悪感を抱いた。


でも、何故か仲立君が犯人とは思えなかった。

映像にいくつか疑問を感じる点があったからだ。

例えば、授業中の映像。

私の左側から撮影した映像だが、1年生の時、仲立君が私の左隣にいた記憶が無い。

調理実習の時もそう。仲立君は確かエミリちゃんと同じ班で私の班と離れた廊下側の調理台で調理していて、生クリームをひっくり返して床を拭いてた記憶がある。


それに彼のあの何かを諦めた表情。


違和感の正体をはっきりさせるため、担任教師にそのことを伝えようとした日に私は職員室に呼び出された。

そこには数人の教師と透華ちゃん楓ちゃん、そして彼がいた。


「隠し撮りして・・・本当にごめんなさい」


彼は私達に深々と頭を下げ、その一言を述べた。

彼を完全に信じていた訳ではない。でも、もし犯人じゃなかったら。そんな心配と同情に似た気持ちは、彼の謝罪により完全に潰えた。

謝罪後、最初は少し怒りを覚えたが、それも一瞬で終わる。

彼の表情は、あの時と同じ何もかも諦めた悲しいものだったからだ。

それから彼は学校を休むようになった。再度登校するようになってからは、クラスの中でも完全に孤立していた。表情はずっとあの時のままで。


皆が彼の悪口を口を揃えた様に吐く。直接彼が他の男子に胸ぐらを掴まれている姿も見た。一度犯した罪で、ここまで人を貶めていいのかと思うくらいクラス全体で蔑み彼を避けた。

それからというもの、私はこのクラス全体の空気があまり好きでは無い。


「あの仲立君」


3年生になってから一度だけ彼に話しかけた。その表情の訳を、彼から直接聞きたかったからだ。でも彼は「ごめん」と一言言ってその場を去っていった。


3年生のある日。あの日の再現の様に、彼のカバンから何か箱の様なものが落ち、楓ちゃんがその蓋を開けた。

その直後、私はどこかの暗い一室に閉じ込められ、目の前の水晶の精霊と契約をした。


契約後、気が付くと見知らぬ泉の畔にいた。友達の名前を呼んでも誰も反応してくれない。

怖くなり、すぐにその場を抜けて人のいる場所を探した。

途中、街道を歩いてる時に大きなコウモリのオバケが襲ってきた。すぐさま逃げようと走り出すが、足を挫いてしまって死を覚悟した。


「逃げてください!こいつは俺が引き付けます!」


1人の男の子が、足を挫いた私を身を呈して助けてくれた。

暗がりの中、目を凝らしてよく見ると、うちの高校の生徒だった。

その子が戦ってくれている途中、長いこと抱えていた私の疑問が晴れる決定的な言葉が飛び交った。


「りょーたに盗撮魔の濡れ衣を着せた2人を追い詰め、1発どころか2、3発ぶん殴ってやりましょう!」


あれは彼が契約した精霊だろうか。

それよりも、りょーた、盗撮魔の濡れ衣というフレーズで正体が分かった。

彼だ。その彼が突然変貌した。まるで天使だった。


「綺麗」


その姿に、戦う様子に思わず見蕩れてしまった。変貌した彼はとても強く、再び襲われそうになった私を簡単に助け出してくれた。彼の優しい顔と声で思わず泣いてしまった。


それから壊れた家で彼と一晩過ごした。

そこで彼があの事件の犯人じゃないことを改めて知った。

涙が出た。濡れ衣を着せられ、それでも耐え凌ぐ毎日を彼は過ごしていたのだ。心の底から謝りたかった。

それでも彼はとても優しかった。

怪我をした私にソファを譲ってくれて、彼自身は床で座りながら寝ていた。その寝顔は、あの時の悲しいそれではなく、無邪気な男の子の寝顔だった。


それから彼と旅をした。途中、とんでもない勘違いをしてとても恥ずかしい想いもした。でもそれが悪魔退治だと分かった時、何故かとっても安心したのを覚えている。思わず布団で顔を隠し笑ってしまった。


翌日、同級生の男の子に私は連れ去られる。その男の子は契約の力に溺れていた。

連れ去られた日の夜、私は彼の部屋に監禁され襲われそうになった。上半身裸になった男の子、高村薫君。

全力で抵抗し、近づいてきた高村君の顔を思いっきり蹴っ飛ばした。

高村君は後ろに倒れ、その衝撃で本棚から落ちてきた分厚い本の角に頭をぶつけて悶えていた。


「癖の悪い足だな!」


高村君は激昂し、腰に携えたナイフで私の足を切りつけた。

痛みで動けなくなった私に、すごく気持ち悪い表情で覆いかぶさろうとしてきた。再び抵抗しようとしたその時。


私の騎士(ナイト)が再び現れた。


その騎士(ナイト)は高村君の攻撃を身を呈して守ってくれた。この人と一緒に最後の時を過ごせるならそれも良いと思ってしまい


「ありがとう仲立君。私はあなたの事が」


そう言いかけた時、契約精霊のディーナが現れた。

少しおしゃべりな所はあるけれど、私と彼を守ってくれた。


それから変貌した高村くんと彼は命懸けの戦いを始めた。

途中、彼があの時みたいに天使の様な悪魔に変わる。

明かりのあるところでまじまじと見ると、何故か鼓動が速くなった。

背中から生えた美しい2枚の羽、繊細でくるくるした髪の毛、綺麗な瞳の色、逞しさ全てに見蕩れてしまった。


彼は変貌した高村くんを倒した。

嬉しくて駆け寄ろうとしたところで彼は空中から落下した。

そこからの事はあまりのパニックであまり覚えていないが、私の持つ力全てを費やして、初めて使う回復魔法を彼に注いだと思う。落下してついた身体の傷は癒えたが、彼が起きることはなかった。


「いやぁ、起きて!涼太くん、お願いディーナ!彼を助けて!」


そんな錯乱状態の私にディーナは落ち着いて答えた。どうやら魔力切れ?とやらで眠っているだけらしい。

涼太君の相棒だと名乗るジルドという兵隊の人に手伝ってもらって、涼太君を高級宿の一室に運んでもらった。


今は私の横で眠っている。その寝顔はあの時の無邪気な男の子の寝顔。私はこの寝顔が好きだ。

穏やかで、どこか楽しそうで、何より安心する。その寝顔を見てもう1つ気付いた事がある。


私は、この人が好きだ。1人の男の子として好きになってしまった。


でも、私がこんなに心配してるのに、それを知らずに幸せそうな寝顔で寝ているこの人を見ていると、ちょっと意地悪したくなる。だからまだこの気持ちは教えてあげないと、眠る彼の手をぎゅっと握った。

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