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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女騎士のミッション

騎士の憂い 女騎士のミッション セナ視点

作者: 夏木舞冬

セナ視点になります

「騎士様!!」数人の女の子に囲まれる。キャーキャー言われるのも馴れた。

本当は煩わしいが騎士として邪険には出来ないので笑顔で対応する。

差し入れも「ありがとう」ほほ笑みながら受け取る。

少し離れた所から視線を感じた。

銀髪と金髪の女性騎士がいた。婚約者のエリーゼ・バンダルとラナーシェ・ヘイルだ。

2人に近づき声をかけて先程貰った差し入れを渡す。

「何で甘い物嫌いなくせに受け取るの?」差し入れを受け取りながらエリーが不機嫌そうに睨んでくる

「可愛い女の子からの差し入れを断るなんて騎士のする事じゃないだろう?」

「あっそ!ご馳走様!ラナ行きましょう」

俺セナ・ローゲルとエリーが婚約したのは7歳の頃だった…父親同士が親友で騎士同士だったので幼い頃からどちらかの家で稽古をしていた。子供の頃はエリーの方が背も高く俺は敵わなかった。いつも悔しくてエリーに勝ちたくて必死だった。

婚約した時も子供だった俺にはよく分からなかった。


仕事を終え更衣室でいつものように仲間達と談笑していた「セナ!さっきエリーゼとラナーシェと話してだろう!いいなぁ」コニーが羨ましいとばかりに騒ぐ「あぁいいよなー幼なじみってだけで婚約出来るなだもんなー」「幼なじみでもコニーが相手なら婚約出来なかったんじゃないか?」ダンが真面目な顔でツっこむ。

エリーとラナーシェは騎士団でも人気がある。整った容姿に女性にしては高めの背 騎士としての腕も確かだ…

「一度でいいから2人を抱きたいよー」コニーの下世話な発言にイラっとしたがダンが「俺としては胸がもっとある方がいいなぁ」そうすると他の騎士達も胸だったらあの子がとか誰がどうしただの話してる。

「胸といえば!いつもの娼館に胸の大きな子が入ったらしーよ!今日行く?」コニーに聞かれたが…最近行った娼館を思い出し「この前の女が処女だったんだよー!処女はマジ勘弁だわー」あははは皆が笑う

この発言をエリーが聞いてるとは思いもせず…

「処女はキツイなー恋人だったら好ましいけどなー」下世話な話は続いていく。


・・・・~・・・~・・・

騎士棟を歩いているとエリーが稽古してる姿が見えた。

真剣な目で無駄な動きなく剣を振っている。

俺はエリーが剣を振るっている姿が好きだ。

凛とした空気を纏い何の迷いもなく真っ直ぐに相手を突く。

エリーは元々才能があった…でも騎士学校に入り男女の体格差が出てきて今まで勝てた相手にも負けるようになってきた…もちろん俺にも…それでもエリーは弱音を吐く事なく一人でこっそり稽古していたのを俺は知ってる。負けず嫌いのアイツらしいと思った。

その時から好ましいと思ったけど…俺にとってはライバルだった。

女としては見ていなかった…16歳のデビュタントの日までは…

いつもと違い綺麗なドレス姿…普段していない化粧に結い上げた髪…

誰だこれは…?あまりにも綺麗でドキドキする。「変なのは分かってるからジロジロ見ないでよ!」

俺の髪と同じ色の…真っ赤なドレスはグラデーションになっていて裾はフワリと広がっている。

全然変じゃない!変なのは俺の心臓だ…

何も答えられず視線を背けた。あぁー俺って本当ガキだわ…

その夜会の後からエリーと二人きりになるのが何とも居心地が悪くなってしまった。


暫くしてからコニーからエリーが頻繁に大衆酒場に出入りしてると聞いた。

女性だけでテーブルも大きめの席に座っているという。

何か問題でもあるのか?とコニーに聞けば「女性だけで大きめの席に座る意味は誰か一緒に飲みましょう!だよ!相手を探してるって意味だよ!」えっ!?あのエリーが???まさか…そんな訳ないよな???

気になった俺はエリーの休みに大衆酒場に行ってみようとエリーの出勤表を確認することにした。

騎士の出勤表は詰め所にあり誰でも見れるので早速見ると…んっ?元々の休みが消され毎週末が休みに変更されてる…どうゆう事だ?いくら何でも毎週休み変わってもらってまでは酒場に行かないよな???


昼食を食べる為ダンとコニーと食堂に来るとエリーの姿が見えた。

「なぁお前さー毎週末いったい何してるんだ?」「えっ…何って?」「いつも誰かに代わってもらって休んでるだろ?」「私にも色々あるの!」「何だよ色々って?家族に何かあったのか?」心配になって聞いてみたが…返ってきた返事は「違うわよ!個人的な理由よ!」だった…コニーの相手を探してるという言葉が頭に過る…これ以上何を言えばいいのか分からずに「へー…まっ変な男に引っかかるなよ」自分の口から出た言葉にビックリする…居た堪れなく頭を掻きながらその場から離れた。

その日の夜コニーとダンと酒を飲みに出かけた自然とエリーの話題になった。

「急にエリーのやつどうしたんだろ…」ボソっと呟くと「女にだって性欲はあるだろーラナーシェは時々遊んでるの見かけるし…」コニーが言う。

「エリーに限ってそれはないっ!!」グラスをテーブルに叩きつける。

「そうかなー?セナの体に飽きたんじゃないの~」ニヤニヤしながらコニーがこちらを見てる。

「それはありえないっ!!」「嫌だなセナってば!女は女優だよ?男の自己満足は見苦しいよ」「そうなのか…」ダンが思い当たる節があるらしく落ち込んでる。

「そうじゃなくて!俺とエリーは…その…」何でこんなカミングアウトをしなきゃいけないんだ…

「えっ!?まさか!?」コニーが驚きで目を丸くしている。ダンも「嘘だろ…?」

俺だってエリーとしたい!胸を張って言える事じゃないが…

騎士になってすぐ父親にエリーとの結婚の話をした。

結婚するのはいつでもいいが、エリーは納得してるのかと聞かれた。納得も何も長い事婚約者で結婚するのに何か問題でもあるのか?そういう俺に父親は結婚したらエリーは騎士の仕事をどうするのかと…結婚して妊娠したら騎士を辞めるようだぞ…努力して騎士になったのにすぐ辞める事になってもいいとエリーが納得してるのかと…

ハッとした。エリーが子供の頃から騎士になる為に努力してきたのは俺が誰より知っている。

でもっ!結婚したらすぐに妊娠させる自信がある!せめて3年は待つべきか…いや5年か…

そうして3年が過ぎたのだが・・・

「じゃぁエリーゼは何で酒場に行ってるんだろうね?」コニーが首を傾げる。

俺が聞きたいよ!「何か事情があるんじゃないのか?」ダンが顎に手を当てて唸ってる。

エリーが何を考えて何をしてるのか…

その時の俺達には知る由がなかった。


・・・~・・・~・・・~・・・

騎士団採用試験の為に忙しくエリーとは顔を合わす時間はなかった。時々遠くに見かけたけど微妙に避けられているような‥?気のせいか?

今年の合格者は30名だった。俺達の班には10名の訓練生がきた。

今日から地獄の訓練だ…何名が生き残れるかなー

「お前ら!そんなんで騎士になれると思っているのかっ!」我が班の隊長マイク・ユーゾンが激を飛ばす。

訓練生は2週間もすると半分になった。

その中でチョコレート色の髪の騎士というには華奢なカイルという男が珍しく浮かれてる。

「いつも帰る頃にはヘトヘトなのにどうしたのさ?」コニーがカイルに話しかける。

「今日はすごく良い事があったんです!!」「良い事?地獄の訓練中に?」「違いますよ!ずっと探してた女性に再会したんですよ!!」「へーうちの騎士?」「そうみたいです!最後に会った時彼女が泥酔しちゃって家も分からないし友人も帰ってしまったから一緒に泊まったんですけど…目が覚めたら消えてたんですよ!」「えーそれってカイルに気がないから消えたんじゃないのー?」コニーが煽る「今はそうでも再会したからには頑張ります!彼女と仲良くなる為に絶対に騎士になるって決めました!」

若いってすばらしなーなんてダンが言ってる。

そのまま訓練生の自主練を視る為に移動をしているとカイルが「エリー!」と走って行く

エリー?視線をむけるとエリーとカイルが向き合っている。

知り合い?エリーとどこで接点が?愛称呼びする仲なのか?

「さっき話してた女性ですよ!」はっ!?一緒に泊まった?ワナワナと震える…

ダンや回りの仲間が俺に視線を向ける。

エリーと目が合った瞬間俺は歩き出しエリーの腕を掴み歩き出した。

どうゆう事だ?コニーが言っていたように俺以外の男と出会いたかったのか?

こんな事になるなら早くに結婚するべきだったのか…

裏庭まで来てエリーを問い詰める。

俺には関係ないと言う。「関係あるだろっ!婚約者なんだぞ!!」俺との婚約は不本意だったのか…?

もしかしてアイツの事が好きになったのか?でもエリーは否定する…

最近のエリーは変だ。好きでもない男と一晩過ごすなんて…そんなのエリーらしくない…

何でそんな軽率な事するんだと問い詰めれば俺が処女は勘弁と言ったと…何の話だ???

どうしてそんな話になる?処女は勘弁って何だ?処女…思い当たるのは娼館での出来事・・・ 

「あれか…」更衣室での談笑を思い出す。

何故面と向かって好きな女に娼館での出来事を話さなきゃいけないんだ…

んっ…待てよ…カイルとの話をしていたのに何故処女の話になるんだ???まさか・・・

「もしかして…お前アイツと…?」違うと言ってくれ…俺の願いも虚しくエリーは何も答えない

「クソッ!!」力任せに壁を殴った。

居ても立っても居られず頭に血が上った俺はカイルの元へ走った。


カイルを見つけて「お前エリーに手を出したのか!?」急な出来事にカイルは驚いてる。

「へっ!?」「答えろ!」つい胸倉を掴む。

「出してないですけど、出したいです」「ふざけるな!」殴りそうになった所を隊長に止められた。

騎士団員同士の喧嘩は禁止だ。

「さっきダンさんに婚約者だと聞きました僕と勝負しませんか?」

こいつは何を言ってるんだ?

「そんなに熱くなってたら収まらないだろう?ここは騎士らしく剣で勝負したらどうだ?」隊長が楽しそうに告げると回りからも「やれーやれー」と野次が飛んでくる。

腕に自信のある男達というものは、この手の余興が好きなのだ。

そのままカイルと剣を打ち合う。

少ししてカイルの剣が落ちた。

騎士らしく落ちた剣を拾いカイルに渡す「もっといい線いけると思ったのになぁ…エリーの事は諦めます」

「諦めるのが早いんだな」「さっきのエリーの顔見てたら分かります。今だってセナさんしか見てないですよ」カイルが向いた方を見るとエリーが心配そうに見ている。

「それなのに何故勝負したんだ?」「ただ諦めるのは嫌だったんで」カイルとエリーの所まで来るとカイルはエリーにあの日は何もなかったと告げウィンクしながら去って行った。皆が気を使ってくれたのか2人きりにしてくれた。

もうこのままじゃ嫌だ。時計を見るとまだバンダル団長…エリーの父も執務室にいるはずだ…

結婚の許可が今すぐ欲しかった。


団長室に着き団長に結婚の許可を貰おうとしたのに…エリーと揉めてしまった。

そういえば俺はまだエリーに気持ちを伝えてなかった。

床に片膝を付き真っ直ぐ見つめ名を呼ぶ

「ずーと好きだった俺に君の夫になる栄誉をくれないか?」

一生に一度のプロポーズだ…



・・・~・・・~・・・

あのプロポーズから半年やっと今日結婚式を迎えた。

カイルとの勝負は何故か俺が決闘を申し込んだ事になってるし、エリーの最悪なミッションにはダンの婚約者…今は奥さんが絡んでいたらしくダンは何も知らなかったのに、ラナーシェに100ギル払う羽目になった…


そして俺は今からエリーとの初夜だ…












思ったよりセナがヘタレにってしまいました。

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