試合・試合・試合
「今日のスタメンを発表する。呼ばれた人は返事するように」
今日から4日連続で練習試合だ。月曜日から水曜日が祝日で休みなので、土曜日の今日から水曜日まで4日間毎日試合となる。
本日1試合目のスタメン
1番 センター 牧田(3年)
2番 レフト 北野(2年)
3番 ショート 藤田(3年)
4番 サード 櫻田(3年)
5番 キャッチャー 太田(3年)
6番 ライト 山内(3年)
7番 ファースト 斉藤(2年)
8番 ピッチャー 会田(3年)
9番 セカンド 川内(2年)
おそらく去年のレギュラーを優先して、その人たちを今回のスタメンにしているんだろうな。1年生は、誰もスタメンじゃないし。ダブルヘッダーの2試合目にかけるしかないか。
相手は佐山北だ。確か近年の戦績はうちと同じくらい。さて、どうなるか。
ちなみに俺が今所属している高校は『鳴神高校』という名前だ。歴史はかなりあるみたいだが、最近はまったくという状況だ。
ちなみに俺の前世である山田監督もこの鳴神高校の卒業生である。
「ありがとうございました!」
初の練習試合は1対3で負けてしまった。俺の出番はもちろんなく。選手交代も投手以外はなかった。
「次は1、2年中心でいくぞ。相手も1、2年メインでくるそうだ。1試合目出てない奴は全員出すから、スタメンじゃない人もしっかり準備しておくように」
山田監督の言葉に俺を含めた1年生に緊張が走る。いざ、試合となるといくら練習試合とはいえ、やはり緊張してしまうようだった。
2試合目のスタメン
1番 センター 田中(2年)
2番 セカンド 越後(2年)
3番 サード 木下(1年)
4番 レフト 秋田(2年)
5番 キャッチャー 水谷(1年)
6番 ファースト 近藤(1年)
7番 ライト 杉山(1年)
8番 ピッチャー 佐藤(2年)
9番 ショート 町村(1年)
俺は6番ファーストだった。とりあえずヒットを打ってアピールするしかないな。
最初の俺の打席は2回表、ツーアウトランナーなしで回ってきた。とりあえずファーストストライクは、ストレートに絞ってフルスイングだな。
『狙いの球種→ストレート
打ち方 →フルスイング
成功確率 →18%』
また頭の中で、声が聞こえてきた。以前よりも成功確率が高くなっている気がする。
『ブルン』
「ストライーク!」
初球はストレートで狙い通りだったが空振りしてしまった。追い込まれるまでは狙いは変えずにいくことにした。
『カキーン』
おおっ!2球目もストレートだったので打ちに行くと、しっかりと捉えてレフト前に打つことができた。初試合、初打席、初ヒットだ!
次のバッターが初級を打ち上げてファーストフライで打ち取られたので、盗塁するチャンスもなく終わった。まぁ、今の俺だと確実にアウトになるだろうけど。
その後の打席もストレート狙いで打ち続けるも、サードゴロ、ショートゴロ。センターフライだった。
試合は2対1で、なんとか初勝利を掴むことができた。
ちなみに明は2番手で登板して4〜6の3イニングを被安打2、失点0、四死球1、奪三振1という成績だった。
その日俺たちは上機嫌で一緒に帰ることかができたのだった。
3日月曜日1試合目 1打数ノーヒット
3日月曜日2試合目 1打数ノーヒット
4日火曜日1試合目 出場なし
4日火曜日2試合目 5打数2安打
5日水曜日1試合目 1打数ノーヒット
5日水曜日2試合目 2打数1安打
その後の試合は基本的には代打で出場がメインだった。土曜日のように同じ高校と2試合目がある場合にはスタメンで出ることができた。
最終日の2試合目に関しては、1試合目と別の高校だったのでスタートはレギュラーメンバーだった。その中で試合後半から出場して、ヒットを打つことができたのは良いアピールになった気がする。
ここまでの練習試合で14打数4安打だった。打率は3割にわずかに届いてないが、俺の当初の予定よりは結果を出すことができていると思う。
結果を出すことで、また次の試合でチャンスをもらうことができるかもしれない。試合に出るためには結果を出し続けるしかないのだ。
俺が試合にこだわるのはこの前届いた神様からのメールが原因だった。
『神様 2021/05/01
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
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5月じゃな!
新しい月に入ったのぅ。効率よく能力を上げるためには試合で得る経験値がとても効果的じゃ。試合の種類、出場の仕方、その試合での成績の3つによって手に入る経験値は変わってくるぞい。
紅白戦<練習試合<公式戦
守備固め<代打<途中出場(打席あり)<スタメン
成績が悪い<成績が良い
ぜひ、参考にするのじゃ。では、またのぅ!
試合に出たほうが能力が上がりやすい。考えれば当たり前のことだが、これからはより貪欲に試合に出ることを狙っていくことにしたのだった。
9日日曜日 第1試合 1打数ノーヒット
9日日曜日 第2試合 3打数1安打1四球
15日土曜日 第1試合 2打数ノーヒット
15日土曜日 第2試合 5出す1安打
16日日曜日 第1試合 2打数1安打
16日日曜日 第2試合 3打数ノーヒット1四球
22日土曜日 第1試合 1打数ノーヒット
22日土曜日 第2試合 2打数ノーヒット
29日土曜日 第1試合 1打数1安打
29日土曜日 第2試合 5打数2安打
30日日曜日 第1試合 1四球
30日日曜日 第2試合 3打数ノーヒット1犠打1四球
5月の成績42打数10安打 打率0.238
最終的には打率は下がってしまったが、相手校のエースと対戦する機会を何度かもらうことができたのは良い経験になった。
山田監督もいろいろと試行錯誤しながら采配をふるっていたので、試合を通して指導力が高められたはずである。
俺と山田監督はこの1か月、たくさんの練習試合によって個人としてもチームとしても成長できた気がした。明日送られてくるであろう月末報告を密かに楽しみにしているのだった。
ここまで打点0、ホームラン0、盗塁0。気にしていなかったけど、改めて見ると珍しいよね。もうすぐ夏がやってくる。