初めての月末
「そういえば今日で4月も終わりか。あっという間だったな」
気付けば入部して、最初の月が終わろうとしていた。
最初は新しい環境に戸惑いも多かったが、また高校球児として甲子園を目指せる喜びと、一緒に目標に向かって頑張る明がいたからこそ、頑張ってこられたのだと思う。
練習には今のところ付いていけている。監督1年目で探り探りやっているところだと思うから、無理のある練習も今のところないし。もう少ししたら、俺が監督を続けてきた中で考えた練習メニューを伝えてもいいかもな。
とはいえ、明日から5月になる。GWには練習試合も組まれているし、そこでまたアピールを頑張ろう。
あの紅白戦以降、試合は行われていない。俺も試合はまだ早いと思うが、ある程度は必要だろう。5月からは毎週のように試合があるようだから、とりあえずはそこに狙いを定めていくしかないな。
俺はこの1か月を振り返り、来月に向けて気合を入れたところで、寝ようと思いベットに向かった。
「ん?メールが届いてる?」
いつも通り、神様からだった。俺は、軽い気持ちでメールを開いた。
『神様 2021/04/30
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
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月末報告じゃ!
久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で4月が終わるので、月末報告をするぞい。
◎個人能力値
近藤 裕太(1年) 右投げ右打ち
※各数値の最大値は100
※数値の右側は補足説明
〇ポジション
ファースト13(+1)
他0
〇打撃
・ミート力 10(+2) バットにボールを当てる能力
・スイング速度 12(+2) スイングの速さ
・パワー 13(+3) 打球速度、飛距離
〇走塁
・足の速さ 15 (+1)単純な足の速さ
・走塁技術 7 (+1)ベースランニングとスライディング
・盗塁技術 4 リード、スタート、スライディング
〇守備
・肩の強さ 12 距離
・送球の正確性 12 コントロール
・握り変え 7(+1) 取ってから握り変える早さ
・捕球力 9(+1) 球際の強さ
・打球判断力 11(+1) ボールとの距離感、スタート
・守備範囲 13(+1) (足の速さ+打球判断力)÷2
〇投手
・球速 98km/h
・制球力 8
・スタミナ 11
・変化球 なし
〇その他
・体力 22(+2) 練習をする上で必要不可欠
・精神力 15(+1) 様々な場面での度胸
・サインプレー 8 理解力
・バント 10 バントの技術
◎チーム評価
※最大値は10
・投手力 1
・打撃力 1
・機動力 1
・守備力 1
・指導力 1
・対外評価 1
◎アドバイス
まずは何か1つ、チームの武器を作ろう。
「…………何これ?」
月末報告をするぞい、じゃないよ!いきなり過ぎて、訳がわからないよ!
とりあえず落ち着いて確認してみるか……。
個人能力値は前も見たな。前のと比較してみると、いくつかの数値が上がり、その横に()が付いている。この1か月で成長したということなのだろう。上がっていない項目もあるので、練習の種類も大切になってくるということだろうか?
次のチーム評価は初めて送られてきたな。全項目最低値なのは、毎年初戦敗退のチームなら妥当なところだろう。
指導力や対外評価なんてどうやったら上がるのだろう。その前に俺の指導力って、最低値だったのか。わかっていたつもりだったが悲しいな。まぁ、監督1年目だから今後に期待だな。
他の項目は練習をしていけば、自然と上がってくるだろう。これからの練習で、大会までにどこまで成長するのだろうか……。
最後にアドバイスだ。短く一文だけ。それにしても、チームの武器か。確かに強豪校と呼ばれるチームはそれぞれ得意なものがある気がする。
「個人のことは自分で把握していればいいけど、チーム評価とアドバイスは山田監督と共有したほうが良いだろうな……」
これに関しては俺一人ではどうすることもできない。とりあえず明日、このことを伝えてから考えることにしよう。
俺は新たな情報に悶々としながらも、明日に備えてベットに入って眠りにつくのだった。
『なるほど……俺の指導力は最低値か……』
練習時間の合間に、心の中で昨日知ったことを伝えた。気にした部分は俺と同じく指導力だった。さすが前世の俺、思考が一緒だな。
『それは今は置いといて、とりあえずは武器か。何かいい案はあるか?』
『うーん、これについては前世で意識したことはなかったんだよな。その年の選手の能力に合わせてチームの方針を変えていたし』
投手が良い年は投手力を全面に押し出して、守備型にしたこともあった。良い打者がたくさんいた年は打撃力に特化した攻撃的なチームにした。つまり、毎年違っていたのだ。
『そうか……ではとりあえず、今の重点成長能力は打撃のままだから、しばらくは打撃が武器になるように練習を組んでみるか』
『それしかないですね。こればっかりは考えても分からないことですし。やりながら良い方法を見つけていきましょう』
まだ30年のうちの1か月しか経っていないのだ。今から焦っていては身体がもたない。とりあえずは流れに身を任せて、目の前のことに集中することにした。
まずは、レギュラー奪取だ。チャンスはまだまだあるし、前向きに頑張っていこう!
次回は試合です!