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次の相手は

 今日で5月も終わりだ。GWの後も、あれから毎週のように練習試合が行われた。強豪と呼ばれるところはなかったが、相手を選ばなければそれなりの試合数をこなすことはできた。アドバイスも『試合の中で成長させよ』だったし、この方針で問題ないはずだ。


 5月の重点成長能力はGW以降は走塁に変わっていた。打線は比較的好調で、試合によく出ている1年の月岡と直正は比較的守備がうまい方だったからだ。


 走塁練習は、試合を控えているので週始めは負荷が多く、試合がある週末に近づくにつれて負荷を減らしていく形をとっていた。おかげでこれまでのような地獄の日々にならずに済んでいる。


 ちゃんと効果が表れていることを願いながら、月末報告のメールを確認をするのだった。




『神様           2023/05/31

 宛先:baseball.8989@anu.ne.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 月末報告じゃ!

 久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で5月が終わるので、月末報告をするぞい。


◎個人能力値


近藤 裕太(3年) 右投げ右打ち キャプテン


※各数値の最大値は100 

※数値の右側は補足説明


〇ポジション 


 ファースト70

 他0



〇打撃


・ミート力   68(+1) バットにボールを当てる能力

・スイング速度 65(+1) スイングの速さ

・パワー    67(+1) 打球速度、飛距離



〇走塁


・足の速さ 55 (+2)単純な足の速さ

・走塁技術 44 (+2)ベースランニングとスライディング

・盗塁技術 35 (+2)リード、スタート、スライディング



〇守備


・肩の強さ   47(+1) 距離

・送球の正確性 45(+1) コントロール

・握り変え   41(+1) 取ってから握り変える早さ

・捕球力    45(+1) 球際の強さ

・打球判断力  45(+1) ボールとの距離感、スタート

・守備範囲   50(+2) (足の速さ+打球判断力)÷2



〇投手  


・球速   98km/h

・制球力   8

・スタミナ 11

・変化球  なし



〇その他


・体力     70     練習をする上で必要不可欠

・精神力    56(+1) 様々な場面での度胸

・サインプレー 45(+1) 理解力

・バント    48(+1) バントの技術



◎チーム評価


※最大値は10


・投手力  5

・打撃力  5

・機動力  4

・守備力  4

・指導力  4

・対外評価 3 



◎推薦枠部員情報


・星形 光(2年) 打4走6(+1)守4投1他4

・岩井 武(2年) 打6走3守3投1他4


・月岡 修(1年) 打2走4守2投1他2

・直正 健(1年) 打4走2守3投1他2

・真島 宏大(1年)速4制2ス2変2他2



◎アドバイス


 試合の中で成長させよ。



 最大値は100のはずなのに、70に達した項目は上がらなくなってしまった。素質の問題か、何かやり方がまずかったのか………。今さら考えても仕方ないし、今後の参考にするとしよう。


 そして、アドバイスは変わりなしか。まぁ、まだ練習試合はあるみたいだし、問題ないだろう。


 俺は無事走塁の数値が上がっていたことに満足して、その日眠りにつくのだった。







 数日後の練習終わりに俺たちはベンチ前に集められた。そこで、山田監督が今後の日程について説明してくれた。


「夏の大会初戦まで残り1ヶ月を切り、残る実践も6試合だけとなった。組み合わせが6月の序盤に決まる関係上、6月後半はどこのチームも練習試合を組みたがらないからな。強豪校は夏の予選では当たることのない、近隣の県外の学校とギリギリまで試合をしているらしいがな………。それはおいといて、予定を説明する」


 アドバイスの件もあるので、山田監督からすれば少しでも多くの試合を組みたかったのだろう。もう少し俺たちが大会で結果を残せば、いずれは県外の学校とも戦えるようになるはずだ。それまでは我慢するしかないだろう。


 そして、山田監督から伝えられたのは練習試合についての日程だった。今週末にダブルヘッダーが2日間で4試合、組み合わせが決まった後の来週末にダブルヘッダーが1日で2試合という予定だった。最後の試合から2週間ほど練習をして、夏の大会本番となる。


「ちなみに次の土曜日は他校での試合となる。普段はうちで練習試合をするが、どうやら県外の学校を呼んでくれてるみたいだからお邪魔することなった。今回は珍しく移動があるから当日遅刻しないように」


 うちの学校は設備だけは優秀だ。立地も悪くないので、基本的には他校を招いての練習試合が多かった。


「行く場所は秀峰(しゅうほう)高校だ。ここからは少し距離があるな。最近かなり選手を集めていて、だんだんと周囲からは強豪と呼ばれ始めてるチームみたいだな」


「秀峰!?」


「ん?どうした真島?秀峰高校がどうかしたのか?」


 山田監督の説明に、いきなり真島が反応した。周囲からの視線を感じ、我に返ったようだ。



「………え、いや、何でもないです」


「そうか?じゃあ、話を続けるぞ。もう1校は東京から来るそうだ。それで残りの日だが………」


 その後、残りの試合の対戦校を説明して終了となった。真島の反応には驚いたが、それ以上に強いチームと戦えると知ってかなりワクワクしてきた。




 俺は部室に帰る途中、星形を見つけて声をかけた。


「星形、試合楽しみだな!」


「そうっすね!そろそろ手応えのある相手と試合したかったから楽しみっす!」


 ここまで試合は同じくらいの戦力か、格下が多かった。それだけに、俺以外の選手もかなり期待感が高まっているようだった。



「そうだよな!こうしちゃいられない!早速練習しにいかないと!」


「………近藤先輩?昨日終わるの遅かったから、今日は早めに終わるって言ったの覚えてるっすよね?」


「ん?そんなのどうでもいいじゃないか。さぁ、早く行くぞ」


「いやぁぁああ!明日は朝から小テストがあるっすぅぅうう!!」


 俺は星形を引きずって、室内練習場へ向かっていくのだった。







真島━━━


「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 俺はその日、練習が終わって家に帰ったあと、荷物を置いてすぐに外へ走りに出ていた。


 二宮コーチから、体力強化のため毎日練習後も走るようにという指示を受けていたので仕方なく走ってはいたが、正直なところなかなか気が乗らないでいた。


 しかし、今日は違った。気付いたらいつもより早いペースで走っていたのだ。


「まだエースじゃねぇけど、俺がエースにふさわしい男だって証明してやる」


 俺がこんな遠い高校をわざわざ選んだのは、あいつとしばらく会わなくても済むようにだった。なのに、入部して2ヶ月で会うことになるなんて………。



 考え事をしながら走っているといつの間にか時間は過ぎ、気付いたらいつもより長い距離を走っていたのだった。

 

次回は真島の過去について………かも?

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