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春の大会予選組み合わせ

 3月に入っておよそ1週間経った頃、俺たちは練習終わりに山田監督から今後の予定について説明を受けた。


「今後の予定だが、最初の公式戦は4月8日から始まる春の県大会予選になる。ちなみに抽選会は、2月中にすでに済んでいる。初戦は湯島高校だ」


 湯島高校は俺たちの代が最初に練習試合をした相手だったな。そのときはダブルヘッダーでどちらも勝利していたはずだ。


 夏の千葉県大会で勝ち進んでいくためには、シード権がかなり重要になってくる。夏のシード権を獲得するため今回行われる春の大会で県大会に進み、県大会でベスト16に入る必要がある。


 ちなみにうちの高校が所属するブロックには18校いるが、今回はそのうち1校だけが秋の県大会ベスト8だったので予選免除となっている。なので、今回は17校で県大会出場の5つの枠を争うことになる。


 俺たちは今回の組み合わせでは2勝すれば県大会だ。初戦はいいとして、2試合目の対戦相手が問題だった。


「勝ち上がれば2試合目は明城高校との試合になる。そこで勝てば県大会出場だな」


 明城高校は昨年も春の大会予選2回戦で対戦した高校だった。結果は1対7で俺たちは負けていた。先発の明が試合終盤に相手チームの中心打者である加賀に打たれたのが鮮明に記憶に残っていた。


「メンバー提出が2月だった関係で今回も背番号は秋と同じだが、レギュラーはまだ確定してはいない。予選までの練習試合の結果をもとにスタメンを決めるつもりだからそのつもりでいてくれ。明城高校にリベンジを果たして、今回こそ県大会に出場するぞ!」


「「はいっ!!」」


 人数的に全員がベンチ入りできるので、全員に出場のチャンスがある。俺はチームの中軸を担う打者として、しっかり結果を出さなければいけないと決意を新たにするのだった。







 昨年よりも少し多いくらいの試合数をこなし、それぞれがオフシーズンでの成長を試合で存分にアピールしていた。俺個人としても結果はある程度出すことができ、3月は充実した日々を送ることができた。


 また、3月は練習試合だけではなく、試合のない日は試合形式の実践的な練習を多めに行われた。実践感覚を取り戻すことがメインだったらしく、重点成長能力は打撃のままだったが内容的にはどの分野のバランスもとれた練習内容だった。


 特に試合形式では明の存在が大きかった。春の大会予選が近いからか、気合が入っているようだった。かなり試合に近い力の入れ具合で投げてくれたので、そのおかげでとても有意義な練習にすることができたのだった。


 俺は寝る前のルーティンを終え、神様から届いたメールについて中身を確認をした。




『神様           2023/03/31

 宛先:baseball.8989@anu.ne.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 月末報告じゃ!

 久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で3月が終わるので、月末報告をするぞい。



◎個人能力値


近藤 裕太(2年) 右投げ右打ち キャプテン


※各数値の最大値は100 

※数値の右側は補足説明


〇ポジション 


 ファースト69(+1)

 他0



〇打撃


・ミート力   66(+1) バットにボールを当てる能力

・スイング速度 63(+1) スイングの速さ

・パワー    65(+1) 打球速度、飛距離



〇走塁


・足の速さ 52 (+1)単純な足の速さ

・走塁技術 41 (+1)ベースランニングとスライディング

・盗塁技術 32 (+1)リード、スタート、スライディング



〇守備


・肩の強さ   45(+1) 距離

・送球の正確性 43(+1) コントロール

・握り変え   39(+1) 取ってから握り変える早さ

・捕球力    43(+1) 球際の強さ

・打球判断力  43(+1) ボールとの距離感、スタート

・守備範囲   47(+1) (足の速さ+打球判断力)÷2



〇投手  


・球速   98km/h

・制球力   8

・スタミナ 11

・変化球  なし



〇その他


・体力     70(+1) 練習をする上で必要不可欠

・精神力    54(+1) 様々な場面での度胸

・サインプレー 43(+1) 理解力

・バント    46(+1) バントの技術



◎チーム評価


※最大値は10


・投手力  5

・打撃力  5

・機動力  4

・守備力  4

・指導力  4

・対外評価 3 



◎推薦枠部員情報


・星形 光(1年) 打3走5守4投1他4

・岩井 武(1年) 打5走3守3投1他4



◎アドバイス


 先を見据えた戦いをせよ。



 

 先を見据えた戦い?………夏の戦いに向けて、シードを取れってことだろうか。まぁ、去年の『信じすぎてはいけない』みたいな不吉なものじゃないだけ良しとしよう。


 山田監督に伝えることはあまりないなぁ、と考えながら携帯の画面を閉じ、俺はいつものように夢の世界に旅立ったのだった


 








石井明視点━━━



「はぁ、はぁ、はぁ」


 俺は走りながら過去の試合のことを思い出していた。俺の力不足を最初に感じた試合。そして、俺にさらなる成長のきっかけを与えた相手。


 あの日、あの試合、あの場面で打たれなかったら、俺は今頃今まで通り裕太と打撃練習をしていたかもしれない。


 負けても点がとれない野手のせいにして、俺は悪くないと開き直っていたかもしれない。自分の力を過信し、引退するその時まで気付くことが出来ていなかったかもしれない。


 一緒にやっていた自主トレを勝手にやめて、正直裕太には悪いと思っている。理由も言わず、俺がいきなり付き合いが悪くなって困惑してるだろうしな。なのに裕太はその後理由も聞かず、今まで通り接してくれている。


 だからこそこの春の大会、俺の選択が間違っていなかったとを証明したい。去年抑えられなかった相手を抑えて、負けてしまった相手に勝って、そのときになってやっと俺は裕太にあの日のことを謝れる気がする。


「加賀………待ってろよ」


 俺はいつもよりペースを上げて、ランニングを続けるのだった。


いざ、リベンジのとき!


ここ数日は毎日ブックマークが増えています。ありがとうございます!これからもがんばります!

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