冬の終わり
1月は合宿から引き続き走塁練習を中心に行い、2月は重点成長能力を打撃に変え、打撃練習に力を入れた。今回のオフシーズンは前年度よりも打撃練習の量は少なかった。しかし、基礎体力が増えてるおかげもあってか、バットを振る量はそれなりに回数を重ねることができた。
○1月の練習メニュー割合
山田監督グループ(野手12人)
・走塁練習7割
・バント練習1割
・打撃習1割
・走塁練習1割
二宮コーチグループ(投手3名)
・投手練習7割
・バント練習1割
・走塁練習1割
・守備練習1割
○2月練習メニュー割合
山田監督グループ(野手12人)
・打撃練習7割
・バント練習1割
・走塁練習1割
・守備練習1割
二宮コーチグループ(投手3名)
・投手練習7割
・バント練習1割
・走塁練習1割
・守備練習1割
オフシーズンのある日の練習中、山田監督から報告が入った。
『推薦入試関係が一通り終わったから、推薦枠で入学が決まった生徒について伝えるぞ』
そういえば気付いたらそんな時期になっていた。今年は初合宿もあったので、すっかり推薦の話は忘れてしまっていた。
『結果としては、無事に今年も希望通りの生徒が入学することになった。』
『おぉ!どんな3人なんですか?』
『セカンドの選手は星形みたいな選手だな。周りからの評価がかなり高かった選手だか、星形と同じチームでプレイしたくてうちを希望したらしい。プレースタイルも似ていて、中学時代は足の速さを生かした内野安打や盗塁もかなり多かったみたいだ。ちなみにポジションは二遊間どちらもできるだそうだ』
星形のファンの子かな?それにしても周りからの評価も高い選手が来てくれることは、とても喜ばしいことだった。俺が内心喜んでいると、山田監督が続きを話し始めた。
『残りの2人はバッテリーだな。投手は左の本格派、捕手は打撃が良い選手が入学することになった』
『佐藤先輩が引退してから左投げの投手がいなかったので、かなり嬉しいですね!打撃面も強化できるし、かなり当たりですね!………ちなみに、その二人は何か問題とかあるんですか?』
セカンドの選手に比べ、投手と捕手の2人の説明は口数があまりにも少ない。昨年も星形と岩井に何かしらの問題点があったように、この2人にも何かある気がしていた。
『いやー、よくわかったな。2人とも能力に関しては問題はない。むしろ、かなり有能だ。………ただ性格面が問題で、どこの強豪校も敬遠したらしい。諸刃の剣ではあると思うが、勝つためにはそこは俺たちがなんとかするしかないな』
『なるほど……。そういうパターンもあるんですね』
能力だけに気を取られていて、性格面は完全にノーマークだった。星形や岩井はすごくいい子だっただけにかなり心配だった。
『山田監督……タバコ吸って出場辞退とか、暴力行為で出場辞退とかならないですよね?』
『そういう系ではないとだけ言っておこう。変にイメージをもたれても困るから、あとは直接会ったときに自分の目で判断してくれ』
何も言わない方が変なイメージもってしまうんだけどな………、なんて言えず、有能?な3名の推薦入部が決まったのだった。
秋に県大会に出場したとはいえ、周りからのうちのチームの評価はそこまで高くない。来年はさらに良い選手が集まるように、しっかりと結果を残すしかないのだった。
今日は2月最終日。長いオフシーズンの終わりがやっと見えてきた。俺はいつものように神様からのメールを確認した。
『神様 2023/02/28
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
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月末報告じゃ!
久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で2月が終わるので、月末報告をするぞい。
◎個人能力値
近藤 裕太(2年) 右投げ右打ち キャプテン
※各数値の最大値は100
※数値の右側は補足説明
〇ポジション
ファースト68(+1)
他0
〇打撃
・ミート力 65(+2) バットにボールを当てる能力
・スイング速度 62(+2) スイングの速さ
・パワー 64(+2) 打球速度、飛距離
〇走塁
・足の速さ 51 (+1)単純な足の速さ
・走塁技術 40 (+1)ベースランニングとスライディング
・盗塁技術 31 (+1)リード、スタート、スライディング
〇守備
・肩の強さ 44(+1) 距離
・送球の正確性 42(+1) コントロール
・握り変え 38(+1) 取ってから握り変える早さ
・捕球力 42(+1) 球際の強さ
・打球判断力 42(+1) ボールとの距離感、スタート
・守備範囲 46(+1) (足の速さ+打球判断力)÷2
〇投手
・球速 98km/h
・制球力 8
・スタミナ 11
・変化球 なし
〇その他
・体力 69(+1) 練習をする上で必要不可欠
・精神力 53(+1) 様々な場面での度胸
・サインプレー 42(+1) 理解力
・バント 45(+1) バントの技術
◎チーム評価
※最大値は10
・投手力 5
・打撃力 5
・機動力 4
・守備力 4
・指導力 4
・対外評価 3
◎推薦枠部員情報
・星形 光(1年) 打3走5守4投1他4
・岩井 武(1年) 打5走3守3投1他4
◎アドバイス
試合をたくさん行うべし。
この冬を越えて、チームはまた一つレベルアップした。投手力、打撃力がオフシーズンの途中で数値を1つ上げていた。
星形や岩井をはじめとした後輩たちも順調に力をつけてきていた。星形と岩井以外では、外野手の2人がかなり成長しているようだった。
俺自身も以前よりは成長したが、オフシーズンに入ってからは数値の上がり幅が以前よりも上がりにくくなっていた。練習の質や量は間違いなく向上していただけに、少し悲しかった。
そしていよいよ3月からは対外試合が解禁される。近藤裕太としての最後の甲子園出場をかけた戦いが、あと少しのところまで迫っていたのだった。
いよいよ近藤裕太、最後のシーズンが始まる!