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秋の大会 ニ次予選 初戦

9月3日 秋の大会二次予選 1回戦


「今日の対戦相手は石宮(いしみや)高校だ。夏は2回戦敗退だったようだな。特に突出したものはないが、走攻守バランスのとれたチームだ。では、今日のスタメンを発表するぞ」



本日のスタメン


1 ショート   星形(1年 背番号6)

2 センター   平野(1年 背番号8)

3 ファースト  近藤(2年 背番号3)

4 レフト    岩井(1年 背番号7)

5 サード    木下(2年 背番号5)

6 キャッチャー 水谷(2年 背番号2)

7 セカンド   町村(2年 背番号4)

8 ライト    杉山(2年 背番号9)

9 ピッチャー  石井(2年 背番号1)


「名前が呼ばれなかった者もいつでもいけるように、状況をよく見て準備しておくように。さぁ、いくぞ!」


 県大会に向けて、負けられない戦いが始まった。





1回裏 ワンアウト 3塁


 先頭の星形がヒットで出塁し、すかさず2塁へ盗塁。その後2番の平野が送りバントを一度で決めていた。


 初打席からチャンスで回ってきた。さて、この場面でどうするか。星形の足なら内野ゴロでも帰ってこられるだろうけど、あたりが良すぎると万が一があるからな……。


 ここは外野フライで確実に1点取ることを狙うか。星形なら外野の定位置ぐらいなら問題なく帰ってこられるだろう。


 横から見ている感じだと、相手投手のストレートの球速は120km/h台後半ぐらいに感じる。


 ここまでの打席で変化球はカーブ、スライダー辺りは確認できた。今分かっている情報だけ見ると、外野フライを打つぐらいならまず問題ないだろう。


 とりあえず、狙いは追い込まれるまでストレートだな。できれば高めに浮いてくれると打球を上げやすくて楽なんだけど……。



『狙いの球種→ストレート

 打ち方  →フルスイング

 打球方向 →フライ

 成功確率 →64%』



 俺が打席で考えをまとめ終わると同時に、サイン交換を終えたマウンドの相手投手が1球目を投げてきた。


 フワリと一度浮かぶ軌道でキャッチャーミットに吸い込まれていった。


「ストライーク」


 初球はカーブ。コースも低めに制球されていて、狙ってもいないのに手を出していたら、恐らく引っ掛けて凡退していたかもしれなかった。次もしっかり見極めなければ。


 相手投手はすぐにサインが決まったようで、セットポジションに入ってテンポよく2球目を投げてきた。


 ボールはインコース高め。少しボール気味だが、俺は気にせず打ちにいった。




『カキーーン!』



 打球はレフト方向に上がっていく。定位置より少し後ろに守っていたレフトがほとんど動かず捕球態勢に入っている。




「バックホーム!」


 捕球したレフトが、大声でボールを呼ぶキャッチャーに向かってすぐに送球する。ショートが中継に入り、キャッチャーに送球するが、それよりも早く3塁ランナーの星形がスライディングして、ホームに生還していた。


「しゃあ!!」


 俺は思わずベンチに戻りながら声を上げる。狙い通りの結果を出せたことにかなり満足していた。



『【先導する者】の効果により、チームメイトの能力が試合中4%上昇します』 


 練習試合を通して分かったことだが、打点を上げるタイミングもかなり変動に影響を与えているようだった。先取点や逆転、勝ち越し点などはいつもよりも変動の幅が大きかった。


 そういう意味でも俺が3番の打順で、初回に得点を取ることはかなり大きい意味をもつのだった。


 









「ゲーム」


「「ありがとうございました!」」


 結果は2対6で勝つことができた。先発の明が7回1失点の好投でゲームを作ってくれた。うちのチームの打線はそこまで爆発した印象はなかったが、バントや盗塁を絡めながら確実に1点ずつ積み重ねていったのだった。


「次の試合は明後日だ。今日と明日でしっかり疲れをとって万全の体調で試合に臨めるようにしよう。特に石井は明後日はいけるところまでいくから、そのつもりで準備しておけよ」


「はい!」


「よし、では解散!」







『カキーン』


「近藤先輩、山田監督の話をちゃんと聞いてたんすか?疲れ残したらダメなんすよ?」


『カキーン』


「分かってるけど、先発した明と違って俺たちはそこまで疲れてないだろ。練習試合の日は、1日に2試合やるのが普通だったんだから」


 俺は星形と交代でトスをあげながらティーバッティングをしていた。いつもなら広いスペースを使って誰かが投げた球を打ち返しているのだが、今日はあいにく空きそうになかった。


『カキーン』


「岩井!もっと本気で投げてこんかい!」


「嫌ですよ。試合のあとで疲れてるんですから」


『カキーン』


「もっと変化球も混ぜてこんかい!」


「嫌ですよ。というかちゃんとあとで交代してくださいよ」


 いつものバッティングスペースは木下が岩井を捕まえて占領していた。


「まぁ、この中で木下先輩だけノーヒットっすからね。焦る気持ちはわかるっす。ぷぷっ」


「おい、星形やめとけ。聞かれたら面倒だぞ」



今日の試合の打撃成績


俺  4打数2安打2打点

星形 4打数1安打1四球2盗塁

岩井 3打数1安打1打点1四球

木下 4打数ノーヒット



「くそー。明後日こそはヒット打つんだ!!」


『カキーーン』


 結局その後も木下はうち続け、岩井はほとんど打たせてもらえずに終わるのだった。

木下はチームとってはレギュラー。登場人物としては準レギュラーです。次回は2回戦!

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