episode.22 高倉家のワンコ 茶釜
いつもの帰り道⤴高倉君と二人で安威川の河川敷に寄り道する。懐にはショウナマイト・ビー玉・ベッタンのませガキ3種の神器!秋の校内マラソン大会の1位と2位を争う二人は⤴お互いがどのような戦略でレース運びをするのかを語り合っていた。
※注釈※
ショウナマイトは⤴爆竹5本分の破壊力を備えたダイナマイトをもじったませガキの必須アイテム!
高倉君
「なぁ〜太中君⤴今年も優勝すんで僕!!」
少年おやっさん
「なに言うてんねん⤴今年は僕が優勝や!!」
高倉君
「どんなレース運びにしたろかな!スタートから⤴ぶっちぎりも快感やしな!!」
少年おやっさん
「ほな⤴僕は後方から追い込みしたろかな!!」
こんな話しで盛り上がっていると⤴河川敷の下の方から…弱々しい仔犬の鳴き声が聞こえてきた…。
クゥーン…クゥーン…⤵
高倉君
「太中君!?捨て犬おるんちゃう?」
少年おやっさん
「ほんまや!聞こえるわ!!」
二人で河川敷を駆け下りると⤴小さなダンボールに産まれたばかりの仔犬が…捨てられていた。
高倉君
「ちっこ!!!」
少年おやっさん
「ちんま!!!」
僕はカバンの中からタオルを取り出すと⤴仔犬を包んで抱き上げた。
少年おやっさん
「こいつ…お腹空かしとるわ⤵絶対に!」
高倉君
「あ!僕な⤴牛乳飲まれへん松田君から貰ったんあるわ!!」
高倉君がカバンから牛乳を引っ張り出して、人差し指に牛乳を浸して仔犬の口に持っていく!
仔犬は高倉君の人差し指を…!チュ〜ウ⤴チュ〜ウ⤴チュ〜ウと吸い始めるのであった。
高倉君
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ…⤴」
少年おやっさん
「なんや…?その声⤴どないしたん??」
高倉君
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…⤴」
少年おやっさん
「分かったわ⤴気色ええんやな!!」
高倉君
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ〜ん⤴」
仔犬の執拗なペロペロ攻撃に…⤵虚ろな表情になって行く高倉君!!!
高倉君
「太中君…もう堪忍や⤵交代して…!」
高倉君が仔犬を抱き上げて⤴僕が人差し指を牛乳に浸して⤴仔犬の口元に持っていく!
少年おやっさん
「へへへへへへへへへへ…⤴」
高倉君
「気色ええやろ…!?」
少年おやっさん
「まままままままままま…⤴」
高倉君
「堪らんやろ…!?」
仔犬の執拗なペロペロ攻撃に…⤵虚ろな表情になって行く少年おやっさん!!!
小学生にして…妙な快感を覚えてしまった二人であった!
高倉君
「僕な⤴仔犬持って帰るわ!」
少年おやっさん
「そら⤴ええ考えや!いつでも逢いに行けるわ⤴!」
こうして⤴仔犬は高倉家に飼われたのであった。
しかし…!!!!
数カ月もすると…⤵その仔犬はみるみる大きくなって⤴なんと秋田犬だったのである!?
高倉君
「なぁ〜…太中君⤵僕ん家の犬…ごっつでかくなってきたわ!??」
少年おやっさん
「ほんまや…⤴こんなん見たことないで!」
高倉家の小さな庭で…ごっつい秋田犬がウロウロする始末であった!
少年おやっさん
「なんて名前にしたんやっけ??」
高倉君
「聞いて驚くな⤴おとんが名前付けてん!」
少年おやっさん
「なんて?なんて?」
高倉君
「茶釜やねん!!!タヌキ見たいな顔と毛色しとるからやて⤴!!」
少年おやっさん
「茶釜って…⤴凄い名前や!!!」
高倉君
「茶釜!茶釜!おいで!」
拾った秋田犬の茶釜が⤴嬉しそうな顔してこっちに来る。すると…おもむろに高倉君の人差し指を⤴涎まみれの口で激しく吸うのであった!
高倉君
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ…⤴茶釜〜!!」
少年おやっさん
「人差し指攻撃やな⤴!!」
高倉君
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…⤴茶釜〜!!」
少年おやっさん
「分かったわ⤴失神しそうやねんな!!」
高倉君
「堪らんわ…⤴ほんまに!太中君もしてみぃ〜!茶釜のペロペロを!!!」
少年おやっさん
「ええのん…⤴ほんまに⤴ええのん!?」
僕が茶釜の口元に人差し指を持って行こうとした時…⤵
パンチパーマにニッカポッカ⤵ダボシャツに地下足袋⤵黄色いヘルメット姿の厳つい高倉の父が帰宅したのであった!
高倉の父
「なにしとるねん!??坊主二人で??」
高倉君
「あんな…茶釜に人差し指吸ってもろたらな⤴ごっつ気色ええねん⤴」
高倉の父
「はよ教えんかい!!」
どこかで一杯呑んできただろう高倉の父は⤴赤い顔して、自らの人差し指をペロリと舐めてから⤴茶釜の口元に持っていくのであった!
茶釜が高倉の父の人差し指を⤴ペロペロしようとした瞬間!突然悲劇は降臨したのであった!
茶釜
「ガルルルルルルルルル⤴!!!!」
いつもとは違う匂いだったので、茶釜は噛み付いたのであった…!!!
高倉の父
「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何すんねん⤵茶釜!!」
すると…茶釜は高倉の父に追い打ちをかける!
痛がる高倉の父の右足に向かってマーキング(おしっこ)をしたのであった!!
高倉の父
「なにすんねん!!このボケ!!」
この事件依頼…⤵
茶釜は高倉の父の右足に必ずマーキングするのであった。
そして⤴高倉君と少年おやっさんは⤴必ず茶釜に人差し指を吸わして…身悶えするのであった。
※本日の格言※
幼少期の体験は⤴大人への階段である