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第2話 出会い

「そう、あれは60年前。

まだ、この国と、隣の国が戦争を始めた頃のことよ・・・。」



あの時、まだ16歳だった私は、ウェールズのお城の近くで、花を売っていたの。

その時、ウェールズのお城の森・・・あの時は、隣の国の使者も通れるようになっていたの。

隣の国と、まだ仲が良かった時の話よ・・・。



〜60年前、ウェールズの森〜

「さて、今日はこれぐらいでいいかしら。」

今日も快晴みたい。朝日を浴びて、今日も花たちは美しく咲いている。

私は、いつもこの森に花を摘みに来る。その花を売って、私は暮らしてるの。

そして、今日も一曲。

「♪Mid pleasures and palaces though we may

roam,be’teverso humble,there’s no place 

like home;―――――」

いつも、ここに来たらすることは、歌うこと。誰もいないから、心地よく歌えるの。

時々、すぐ傍のお城の女王様が、窓辺で聴いて下さる。

庶民と王族、身分が違うから、会うことは許されない。女王様が「会いたい」と言ったら、

話は別だけど。

「・・・さて、帰りましょうか。」

そんな、夢みたいなこと、あるはずがないわ。私みたいな女と。

そして、今日も街で花を売り、人々に笑顔を振り撒くの。

花が売れたら次は歌。広場の一角で歌い続ける。すると、人々は立ち止って、私の歌を聴いてくれる。時には、花籠にお金を入れてくれる人もいて、そのお金で頑張って暮らしているの。

そんな生活をずっと続けていて、またいつも通りに花を摘みに森へと急ぐ。


ある日、花を摘んで、歌っていたら、草むらからガサガサという音。

「だ、誰?!」

振り向くと、そこには私と同じか少し上の歳の青年が立っていた。

「貴方は・・・?」

「あ、驚かせてごめんね。俺は隣の国に住んでる、ディックっていうんだ。君は?」

人懐こそうな笑顔。この人は・・・いい人だ。そんな感じがした。

「私は・・・クレア。この国に住んでいるわ。」

「そう、クレア、いい名前だね。・・・君の歌、聴いたよ。すごく綺麗な声だった。」

「あ、有難う・・・・。」




「それが、あの人との出会いだったわ・・・」

「それで、おばあちゃんと、そのディックっていう人は、そのあと、どうなったの・・・?」

「・・・では、その話の続きを話しましょうね・・・」


                                       つづく




登場人物紹介(1)

・ウィンディ・

ウェールズに住む13歳の女の子。

歌が好きで、誠実。優しい子。

祖母が大好き。

肩までの栗毛色の髪に、蒼い瞳をもつ。


・おばあちゃん(クレア)・

ウィンディの祖母。76歳。

歌が得意な、心優しいおばあちゃん。

戦争で、愛しい人を失った悲しい過去をもつ。

昔は、栗毛色の長い髪を後ろで束ねていた。


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