第1話 歌と祖母
私は、歌が好き。11歳の時に出会ったのが、
「とねりこの森」。ウェールズ民謡で、戦争の悲しみを唄った歌。
私は、綺麗なメロディと切ない歌詞が大好き。
その歌の悲しい実話を知ったのは、13歳の時だった。
とねりこの森
「おばあちゃん!」
「あら、ウィンディ、久しぶりねぇ」
私はおばあちゃんも大好き。小さい頃から、よく遊んでくれた。
おばあちゃんは歌がとても上手で、よく、いろいろな歌を習い、2人で一緒に歌った。
そして、今日は・・・
「ねえ、おばあちゃん。今日ね、学校の音楽の授業で、先生に褒められたの!
歌、すごく上手いって!」
「あらぁ、ほんとう?良かったわねぇ!それで、何を歌ったの?私にも、聴かせて頂戴。」
おばあちゃんは、歌の事になると、すごく嬉しそうに話を聞いてくれる。
そして、「聴きたい」と、言ってくれる。私、その時が、一番嬉しいの。
「それじゃあ・・・
♪ここは小さな森なのです とねりこなど生えてます
もとは小さな城跡だけれど 面影すらもうないのです
町を離れて此処に来れば 私も貴方も打ち解けて
まるで小さな子供たちのように 華やぐ日もあるのです♪
♪ルールル「ウィンディ・・・!」・・・どう、したの・・・?おばあちゃん?」
思い掛けない制止に驚いた。こんなこと、今まで無かったのに・・・。
「ウィンディ、その歌・・・いつの間に・・・?」
「え?学校で・・・2年前くらいに先輩たちが、歌っていたのを覚えて・・・。
何か、あったの?この歌に・・・。」
「・・・えぇ。そうだわ。貴女には、話してあげましょう。
この歌の、歌詞のお話を・・・。」