※登場キャラクター紹介その2
新しいキャラを加えてのキャラ紹介&用語解説です。
○シリス(偽名:シリウス)(前世:グレヴァフ)
年齢:14
身長:139センチ
容姿:長い黒髪、黒眼、華奢で小さい体、未完の美貌。
装備:『小太刀・桜花』『星宝剣』『森妖精の黒絹の肌着』
魔力:1200(限界値:?)
正式魔法:魂の覚醒
転生してから初めて命の危機に瀕した際に前世グレヴァフの記憶を完全に取り戻し、リザードキングの膨大な魔力を取り込んだ状態のシリス。
肉体面での成長は見られないものの、魔力は大きく向上した。
分かりやすく言えば、一般的な成人の平均保有魔力量が百であるため、十二倍もの魔力を手にしている。
これを単純に十二人分の戦力として計算はできないが、シリス自身の身体能力と剣技を組み合わせると百人分の戦力になってしまう。ちょっとした化物。
もしも戦争に参加すれば、とんでもない素早さと正確無比な太刀筋にて、敵の首を刈り取る悪魔か、英雄として称えられていた。というか前世がそうだった。
唯一の弱点として、素の肉体がとても貧弱。
戦闘中は元より、日常生活に置いても無意識に魔力制御による肉体強化をしているに等しく、必然的に消費も激しいため長期戦ができない。
もし魔力が切れたら、残るのは年齢に相応しい華奢な少女だけである。
メルについて。
護るべき大切な存在。
目標である学士院への入学費を用意できたので一安心。
今後も友としてサポートするのはもちろんだが、ただの友人以上の想いを向けられているのは自覚しており、それが嬉しかったりもして悩んでいる。
プロンについて。
頼りになる仲間であり、たまにドキッとさせられる相手。
容姿で言えばシリスがもっとも美しいと密かに思う、いわゆる好みのタイプ。
謎の忠誠心には戸惑いながらも、本人が好きでやっているならいいかと軽く流している。
ベティについて。
ちょっと危なっかしいけど良い子で信頼できる仲間。
溢れる気品からどこかの令嬢が家出したのではと考えており、あまり深くは探ろうとしない。
リザードキング討伐後に彼女も正式魔法が使えると打ち明けられているが、使うかどうかは本人の意志に任せている。
ディーネについて。
以前は面倒な知り合い。今では良き好敵手であり友人。
剣の腕はさておき、あらゆる武術を習得している天才であり、剣以外の武器で試合すれば自分も危ういと実力を認めている。
美貌の持ち主でもあり、再開してからは美しさに磨きがかかったと認識しているものの、さっぱりとした性格のおかげと言うべきか気安く話せる相手のひとり。
水の勇者の件も含め、やっぱりディーネはすごいなー、と素直に尊敬していたりするが、気恥ずかしいため当の本人には伝えていない。
アルルについて。
実は唯一の同い年であり、もっと仲良くなりたいと考えているが、アルルからはなにかと張り合われていたせいで嫌われていると勘違いしていた。
そんな彼女もディーネ救出後から態度が軟化しており、色々と話をするような仲にまで進展している。
ヴェガについて。
事あるごとに模擬戦を挑んでくる戦闘狂。
南方の戦闘民族だと聞いてはいるが、ちょっとだけしつこい。
なお、挑まれた勝負はきちんと受けて全勝している。お互い様。
アズマについて。
悪いやつではない。たぶん。あとつよい。(興味ない)
『魂の覚醒』
魂に刻まれた経験を呼び起こす奇跡。
それは記憶のみならず、筋力や技術まで完全に継承することに他ならない。
分類として正式魔法とシリスは判断し、プロンとベティも同様の答えを出しているが、詳しく解き明かせていない神秘であるため、目覚めた力が本当に正式魔法なのか実のところ曖昧。
強力な戦闘手段であるため普段は温存するよう抑えているシリスだが、そこには別の理由もあったりする。
また、主に身体能力の向上を目的として使用されるが、その真価は積み重ねられた経験の獲得である。
あらゆる場面において直感が働き、常に最善の選択を最速で導き出せる。
本人ですら、なぜそんな行動をするのかを理解できない。
『小太刀・桜花』
剛鉄組リーダー、カタナのエドから譲り受けた異国の剣。
よく観察すると刃文が薄桃色を帯びているのがわかる。
その銘が『桜花』であると判明してから、シリスは愛着が湧いてしまい以前よりも大事に扱うようになった。
刃渡り約六十センチほどの片刃で、以前のショートソードより若干短いが、切れ味は比較にならないほど鋭い。
エド曰く、シリスに馴染んでいる。
なぜシリスに譲ってくれたのか、本当の理由はいずれ明かされると思う。
『星宝剣』
希少な鉱石によって作られた冷気を感じさせるほど白い剣。
手にしても実感が湧かないほど軽く、しかし鋼鉄よりも頑丈であり、恐らく武器よりも防具にするべき。
刃渡り約七十センチほどの両刃で、ショートソードと同程度だが軽い分だけ振り回しやすくなった。
重量が落ちた剣は、むしろ威力が削がれてしまう欠点があるのだが、シリスにとって剣とは切断するための道具であり手でもあるため、軽い方が斬りやすい、という独自の考え方をしている。
なぜシリスに安く売ってくれたのか、本当の理由はいずれ明かされると思う。
『森妖精の黒絹』
黒インナーと、黒スパッツそのもの。直で着用します。
絹のように滑らかな質感で、汗を吸収して乾きやすく、汚れに強く、破れ難い等々なぜか便利な素材で作られている。
魔力によって瞬間的に硬質化し、ゴムのような弾力で衝撃を和らげる性質を持っている。あくまで保険の意味合いが強く、防具の役割としては鎖かたびらが近い。
○メルフィナ
年齢:13
身長:141センチ
容姿:真っ白な長髪、赤眼、病的なまでに白い肌、第一印象は不気味。
魔力:?????
シリスに内緒でプロンから魔力制御を教わり、ベティからは魔法に関する知識を教えて貰っている最中。
秘密にしておいて驚かせるため、と説明しているのだが十分に驚くほどの魔力をすでに秘めていたりする。
彼女の行動原理はすべてシリスに基づいているため、シリスの敵は自分の敵であると判断し、一切の躊躇いもなく行動できる思考の持ち主。
そんな自身の異常性を自覚しており、シリスもまた勘付いているのを察しているが、お互いに黙って受け入れている。
シリスについて。
存在する意味。生誕の理由。五感の価値。欲求の最果て。この世の全て。
黒い髪も、黒い瞳も、澄んだ声も、低い背丈も、華奢な体も、薄い胸も、細い腰も、柔らかいお尻も、小さな手と足も、明るく眩しい笑顔も、勇敢な怒りも、優しい涙も、暖かな幸せも、高潔無比な精神も、少しおバカな脳も、ご飯をいっぱい食べる胃も、甘い息を吐く肺も、私と同じ鼓動を打つ心臓も。
欲しいけど我慢する。
プロン、ベティ、ディーネ、アルル、ヴェガについて。
私より後にできたシリスの友人。
○プロン(教会での正式名称:プロキオーヌ・パピィ)
年齢:13
身長:143センチ
容姿:柔らかく長い白銀の髪、碧眼、人形のように整った顔。
装備:『聖騎士の鎧』(剣と盾付属)(いつの間にか槍も追加)
魔力:300
相変わらず聖女狂い。聖女=シリス。
本人が話していた通り、一般的な成人の平均魔力量の三倍ほどの魔力を持つ。
少ないように思えたら感覚がマヒしている証拠。
実際のところシリスやベティ、ディーネらと比較して劣るのは否めないが、魔力制御に長けているため効率よく魔力を使い、数値よりずっと長期戦が可能。
これは聖騎士の鎧を纏っているおかげでもあり、鎧なしの場合は魔力が足りていようと戦闘できない。
『聖騎士の鎧』
古より聖騎士が身に着けていたと伝えられる白銀の全身鎧。
兜は仕掛けにより可変し、頭をすっぽりと覆うフルフェイス型と、顔が露出するヘッドギア型、そして額だけを防護する鉢金型がある。
以前は常にフルフェイス型で他人との会話を極力控えていたが、現在はヘッドギア型にしており、シリスの前だと鉢金型になる。
機能として自動修復、自動回復、自動清浄、毒・呪詛・病無効などなど、様々な魔法の力が込められた至高の鎧であり、付属の剣と槍は邪悪な者に効果を発揮し、盾は弱き者を守る結界を展開する。
唯一プロンだけが着用可能で、装備者は重さをまったく感じない。
その素材はまったく未知の物質とされ、同じ物を再現しようとした鍛冶職人たちを悩ませた。
仮に素材がわかったとしても、容易に揃えられる物ではない。
シリスについて。
聖女そのものであり、むしろ聖女とはシリスを差していると思う。
ならば自分はシリスを守護する聖騎士と考える。
メルフィナについて。
シリスの大切な友人。強い魔力の持ち主。
ベティについて。
同士。
ディーネ、アルル、ヴェガについて。
シリスの友人たち。
アズマについて。
危険分子。
○ベティ・エルゲウス(本名:ベルティクス・ノス・エオルゲイン)
年齢:10
身長:130センチ
容姿:結い上げた明るい桜色の髪、紫眼、愛嬌のある表情、溢れる気品。
装備:『ベルティクス王女専用装備一式』
魔力:700
正式魔法:安寧の箱庭
シリスたちのパーティに協力し、正式加入した幼い少女。
その正体は隣国の王女様。ただし亡命しており、身分は冒険者となる。
以前シリスが傭兵として活躍していたのが彼女の陣営であり、一度だけ歳の近い少女という理由からベール越しに謁見する機会があった。
恐らくシリスにとって他愛のない世間話を交わしただけだが、ベティにとっては人生の転機であり、その数カ月後に国を出ることを決意する。
冒険者としてシリスが活動している拠点も聞いていたため、この都市を目標にありったけの財産を持ち出して旅に出たベティだったが、途中で連れていた従者の裏切りを知ってしまい、必要な物だけを持ってこっそり抜け出した。
それでもなお宝石や貴金属は確保しており、ひと財産と呼べる額を手にしているため生活に苦労はしていない。
他に大量の着替えと、冒険者として活動するための武具を持ち出している。
通常であれば従者もなく持ち運びは不可能な量だが、魔法を駆使すればひとりでも無理なく運搬できる重量に抑えている計算高い一面も持つ。
とはいえ大量の服までは必要とは言えず、おしゃれな彼女のちょっとしたワガママみたいなものである。
実は毎日違う服装をしているのだが、シリスは気にしていない。
性格は理知的で、年齢にそぐわない冷静かつ論理的な考え方をする。
ただしシリスの前で見せる幼い少女らしい言動も、本来の姿に違いはない。
どちらも正しくベティという人間であり、状況に応じて使い分けている。
『安寧の箱庭』
本人ですら明確な効果を理解していない正式魔法。
判明しているのは使用者たるベティを中心として、半径十メートル内にいるベティの守護者に傷と疲労の永続回復、全能力向上、戦意上昇の効果を及ぼすこと。
これを戦争に利用しようと企む王国と、王位継承に役立つからと説得する周囲の者たちに嫌気が差したのも、亡命を決めた動機のひとつ。
シリスについて。
当てはまる言葉として相応しいのは恩人。
もしシリスがいなければ戦争に負けて処刑されていたか、勝っても暗殺されていたと正しく現状を認識している。
同時にシリスの、生まれた境遇に縛られない、自身の力で道を切り開く生き方を尊敬していた。その憧れから近付きたいと想う心に計算や打算はなく、年相応の少女として抱いて当たり前の感情である。
故に王女ではなくなって初めて、ベティの本当の人生が始まっていた。
プロンについて。
ちょっと変わっているけど良い人。シリスの騎士。
警護をプロンが担当し、魔法による援護をベティが担当する。
メルフィナについて。
シリスの最も大切な存在。魔力がちょっと妙。
ディーネ、アルル、ヴェガについて。
結果からするとシリスのパーティに入れたきっかけを作ってくれた恩人。
○ディーネ・ビースワン
年齢:16
身長:156センチ
容姿:空のような蒼髪、金眼、抜群のプロポーションと美貌。
装備:『変幻自在の水精霊』
魔力:600
冒険者パーティ『月華美刃』のリーダー。
シリスとは三年ほど前に出会ったばかりで、半年前にディーネは拠点を王都へ移していたが、互いに長い付き合いな気がするほど濃密な時間を過ごしている。
主に毎日のような模擬戦で。
貴族の家に生まれた彼女は、色々とあった結果として冒険者になっているが、その人生に後悔も不安もなかった。
しかし初めて仲間を危険に巻き込んでしまい、引退を考え始める。
そんな彼女もシリスから無意識の激励、ディーネにすれば最高の褒め言葉を受けて消えかけた情熱が再燃した。
冒険者としての実力は上級まで昇格していることからも相応に高いのだが、これは戦闘力に直結する評価ではない。
様々な武器を自在に操る天才ではあるものの、ひとつの武器を極めんとする戦士が相手となれば、明確な力量差が出てしまう。
とはいえ現状でそれほどの使い手はシリスや『カタナのエド』、『竜剣のジークリフト』といった上級冒険者でも格別な者たちに限られる。
水の精霊の愛し子であり、水の勇者として目覚め、精霊の力を借りられるようになったディーネは戦法が大きく変化した。
これまで戦場に応じて事前に装備を変えていたのに対し、その場で状況に応じて武器を変えられるようになったのだ。
もちろん武器とは水から作り出した物であり、その実態は魔力で象った器の内部で水流を絶え間なく動かし続けるという一種の魔法。
単に武器の形にするだけではなく、魔力が続く限りどのような形状にも対応できる。まさしく変幻自在。
強大な力であるだけに消費も激しく、普段は通常武器を使用する。
シリスについて。
理想が具現化したような存在。
そんなシリスに頼られる、というのはディーネにとって過去の冒険者としての行いや、武術の修練すべてを肯定されたのに等しく、つまりは超うれしい。
プロン、ベティについて。
後から現れてシリスに取り入った泥棒猫……改め、シリスの仲間たち。
メルについて。
話はシリスから聞いているものの実際に会ったことはない。
アルルについて。
同じ志を持つ者、仲間、親友として全幅の信頼を置いている。
パーティのまとめ役だからとも言える。
ヴェガについて。
頼りになる仲間。その剣捌きはシリスとはまた違った魅力がある。
時折、妹がいたらこんな感じかと思う。
○アルル・イータ
年齢:14
身長:146センチ
容姿:柔らかい金髪、碧眼、愛らしい容姿、自覚している可愛さ。
装備:『レイピア』
魔力:150
冒険者パーティ『月華美刃』のメンバー。
主に他二人のまとめ役であり、雑務を担当している。
几帳面で根がマジメな彼女だからこそ務まると言えるが、同時に戦闘力においては数段劣る彼女なりに貢献できる仕事を探した末に見つけた役目。
これに関してアルルはコンプレックスを感じていないし、仲間たちも深く感謝しているため非常に良い関係を築けている。
東の孤児院の出身であるアルルは、かつて楽をして生きたいと考えるようになっており、冒険者に取り入っておこぼれを貰うような、現在の本人いわく寄生虫みたいだと侮蔑する行為を繰り返していた。
そんな八方美人な毎日もシリスが冒険者となったことで一転する。
シリスも西の孤児院の出身であるのに対し、アルルより美しく、剣の腕は一級品で、冒険者としての腕も確かだという噂が流れたためだ。
アルルが冒険者間で集めた人気は一気に消え去り、相手にしてくれるのは明らかに良からぬ視線を送る近寄りがたい者だけとなった。
当初こそシリスを妬んだものの、実際に目にしたシリスは自分がこうありたいと願っていた理想の冒険者そのものである。
いつからか純粋な夢が歪んでいことを自覚し、アルルは少しでも、その場所へ辿り着けるような努力を始めた折に、ディーネから勧誘を受けたのだった。
人よりちょっとだけ魔力が多いため、それなりに戦えはするが自衛が精一杯であり、やはり戦闘はディーネとヴェガが担当となる。
それでも研鑽は積んでおり、レイピアの腕はそこそこ。ディーネに見込まれたのも恐らく、そんな努力家な一面もあったから。
シリスについて。
自分がこうなりたいと願った理想の姿。
似たような想いをディーネが抱いているが、明確な差としてディーネはシリスに頼られたいのに対し、アルルはシリスを自分に注目させたいという感情がある。
つまりは理想に憧れる立場から、理想に憧れられる立場になることで、自分が理想を越える手段と無意識に考えている。
共に並び立つ者がディーネ。
その先に進まんと越える者がアルル。
プロン、ベティについて。
シリスの仲間たち。なんだか綺麗な子たちばかりで軽く羨ましい。
メルについて。
話はシリスから聞いているものの実際に会ったことはない。
ディーネについて。
頼りになるし感謝もしているが、もうちょっとリーダーらしくして欲しい。
いや振舞いだけはリーダーらしいが、中身の方で。
時折、手間のかかる妹を思い出す。
ヴェガについて。
頼りになるし信頼もしているが、もうちょっと食費を抑えて欲しい。
彼女の食事代を計算するだけで頭がちょっと痛い気がする。
時折、食い意地の張った妹を思い出す。
東の孤児院について。
領主に支援されている、言わば国営の孤児院。
マムが個人で運営する西の孤児院と違い、都市において公的な施設であり、十分な資金が提供されているため子供たちは不自由していない。
今でもアルルは顔を出して弟や妹たちに冒険の話を聞かせたり、おみやげを渡したりと面倒を看ている。
○ヴェガ・ハルプ
年齢:15
身長:155センチ
容姿:後ろでまとめた淡い翡翠色の髪、発育がいい、天然。
装備:『舞曲剣』
魔力:200
南方にある、とある戦闘民族出身の剣士。
普段は口数が少なく落ち着いているが、とても仲間想いで心優しい。
その反面、敵に対しては一切の情けをかけない冷徹な意志を併せ持つ。
武者修行に各地を放浪しており、路銀稼ぎに冒険者ギルドへ立ち寄ったところディーネに見込まれてパーティへ加入する。
より厳密には、ライバル兼目標だというシリスの剣技を目にして、これを越えることこそ旅の目的だと見出したためである。
共にシリスを越える、という想いは同じのため割と意気投合した。
修行のことばかりで金を稼ぐのが苦手なヴェガは、ディーネのおかげで真っ当な人間としての生活を遅れている今に感謝している。
というのもヴェガの故郷では、剣技を完成させるためならば手段は問わないような考え方が当たり前である。
元より他者を犠牲にする生き方を嫌った心優しいヴェガは、旅を続けるうちに故郷の常識は特異であると気付き、自分が信じた道を進もうと決意している。
そのためにも正規の方法で金を稼がなければならないと苦労していた折にディーネから誘われたのも、パーティへ加入した理由のひとつ。
ヴェガの戦い方は独特なステップから舞うような剣捌きをしており、これは彼女の故郷に伝わる『剣舞』と呼ばれる剣術のひとつである。
単純な速さではなく呼吸の間を縫うような意表を突く攻撃と、捉えどころのない体捌きによって翻弄するため、動きを読もうとするほど術中に嵌る。
これは人間相手に有効だが、魔獣は本能で動き、魔物はちょっとくらいのダメージ覚悟で突っ込んで来るので効果は薄く、披露する機会も少ない。
本人は隠しているつもりだが大食いであり、食べられる時に食べようとする。
その栄養はアルル曰く、すべて胸に行っている。
シリスについて。
いつか剣技にて越える目標。
プロン、ベティ、メルについて。
戦士ではないため特に興味はない。
ディーネについて。
頼りになるリーダーであり戦友。
時折、姉がいたらこんな感じかと思う。
アルルについて。
力及ばずながらも努力している戦友。
しっかり者で財布の中身を管理しており、彼女がいないと満足にご飯も食べられないだろうと本気で考えて頭が上がらない。
○アズマ・ブレーズ
年齢:17
身長:174センチ
容姿:赤髪、赤眼、好青年。
装備:『勇猛果敢の炎精霊』
魔力:800
炎の精霊の愛し子。炎の勇者。
どういった理由からか領主が用意した屋敷に住み始めている。
元から女好きな一面があり、優しく振舞いつつ近付こうとする悪癖があった。
自分より強い者はいないと傲慢になっていたところ、シリスにあっさり投げられたショックで少しおかしくなり、気付けばシリスばかり気にしている。
それが恋だとわからない程度には、まだ純粋。
炎の精霊は攻撃的な性質を持ち、爆炎による広範囲の戦法は味方を巻き込む恐れがあるため多対一の戦いにおいて真価を発揮する。
アズマは訓練により、味方へ影響を及ぼさない炎の操作術を得ているが、全力での戦いになれば炎は制御不能の凶器となり、無差別に襲いかかる。
普段は魔力を温存する意味も含め、大剣に炎を纏わせている。その気になれば全身を炎の鎧で包むことも可能。
○ザック
年齢:17
身長:172センチ
魔力:100
元猟師の冒険者。
罠で魔獣を狩って生計を立てていたが、上京して封印都市を訪れる。
そこで相手を見誤り、命を落としかけたところをシリスに救われた。
初めから軽く一目惚れしていたため、芸術的な剣捌きを目の当たりにして完全に落とされている。
なお、似たような男共が他にもごろごろしている。
○リザードキング
体長:約5メートル
魔力:1000
正式魔法:万魔領域
爬虫類型の魔物、リザードマンたちの主。
奇妙な紋様が浮かぶ黒鱗、血よりも赤い眼、ドラゴンに近しい頑強な巨躯。
およそ人間では敵わない正真正銘の怪物。
保有魔力は大したことはないと思われるが、素の身体能力が人間を遥かに越えているため、例え魔力がなくとも百人の軍隊を相手に蹂躙できる。
加えて配下のリザードウォリア―と、リザードソルジャーを従えており、放置すれば一国をも落とす大軍勢へと成長する。
誇り高い戦士でもあり、打ち倒した強者の血を祭壇へ捧げようとするが、その目的は不明。
『万魔領域』
魔物の主が使う正式魔法。
使用する魔物の種族によって効果は異なるが、自身に有利な土地を作り出し、拡大し続ける侵略魔法。
侵攻は非常にゆっくりだが、これを食い止めるには使用者を倒す他ない。
効果が消えても一度侵略された土地が戻るには、同じく長い時間がかかる。
リザードキングの場合、湿地帯を生成する。
水深は中心部ほど深くなり、周囲に霧を発生させる効果を持つ。
○魔獣
体内に魔石を宿し、そこから供給される魔力により凶暴化した獣。
通常の獣と比べて原型こそ保っているものの大きく変異しており、なにより基礎能力が飛躍的に向上している。
毛皮は柔軟性を持った鉄板のようで、角や骨は鋼鉄よりも硬く、優秀な素材になることから、あらゆる用途に使われている。
さらに肉は食用可能で美味とくれば、一般市民からすれば恐ろしい魔獣も、冒険者の獲物となる。
代表的な魔獣:ブレードベア、ブロックタートル、クイックチキン、ドラゴン。
○魔物
明確に魔獣と区別される、恐ろしき怪物。
異なる点として挙げられるのは、以下の三点。
魔石を抜き取ると肉体が消滅する。(素材にできない)
人間並みの知能を持つ。(武具や魔法を扱い、戦術を学ぶ)
主となる絶対的なボスが存在する。(統率が取れている)
普段は一定の領域内に留まり、侵入者や近くを通る人間を襲う程度だが、数を増やして戦力が整うと外部への侵攻を開始し、村や街を滅ぼす危険性がある。
その生態や発生原因は判明していない。
伝承によれば、かつて魔物の王が生み出した化物の名残であり、今もなお魔物の王を復活させようとしているらしい。
この伝承を裏付けるように主要四都市の地下に広がる迷宮には、魔物の王の魂が封印されているとも言われ、そこから漏れ出す瘴気こそが迷宮内に無限の如く出現する魔物の元凶と考えられている。
代表的な魔物:リザードマン、オーク、トロル、スケルトン、ワーウルフ。
○正式魔法
一般的に知られる魔法使いが使用する奇跡を『略式魔法』とするなら、これこそが正真正銘の奇跡。原初の魔法。
その実態は解き明かされていないが一説によると、膨大な魔力に、強固な精神力と、純粋な祈りによって発現するとされる。
故にひとつとして同じ魔法は存在しない。
聖天教では適性を持つ聖女に、大勢の信者たちが放つ魔力を集約し、正式魔法をも越えるという奇跡を発動させる。
これを『超越魔法』、あるいは『神示魔法』と称しているが、その実態は略式魔法を高出力で発現させただけの紛い物である。
○星宝銀
限られた鉱脈でのみ採取される鉱石。
軽くて硬いという優秀かつ希少な素材であるため、鍛冶職人たちの憧れ。
色合いが銀に似ているが、比べればそれよりも白いのが一目瞭然。
星から与えられた宝と称される。
○森妖精の黒絹
エルフたちが紡いだとされる絹。通称、魔法のシルク。
製造方法は秘匿されており、一説によると特殊な魔獣化した生物から採取していると言われているが定かではない。
ほとんど人間たちの市場に出回らないため、希少度はミスリルと同等。
○エルフ
深き森に棲むという幻の種族。
美しい外見、数百年を生きる長寿の肉体、強大な魔力など、人間と比較してあらゆる面で優れている。
かつて奴隷が一般的だった頃、エルフ狩りが行われたためエルフは人の前から姿を消したという。
その真相は、エルフの特権階級が金を得るために下位の同族を売り渡し、これを嘆いた最古のエルフが森から出られぬよう魔法にて封じた。
こうして封印から逃れた下位のエルフが時折、人間たちの前に現れるだけとなってしまったのだが、今のところ身内の恥を喧伝する者はいない。
○勇者、精霊の愛し子
この世に生を受けた時より、精霊に愛されし者。
より厳密には、その精霊と魔力的に相性がいい。あるいは波長が合うとも呼ばれる、性格、性質、素質、素養などのあらゆる点で精霊と近しい者である。
また、精霊との契約を果たした精霊の愛し子を、勇者と呼ぶ。
勇者は自身の魔力により精霊の権能を行使できる。
炎の勇者なら火炎を纏い、水の勇者なら水流を操れる。
単純に魔力量が多いほど強いとは限らず、契約し立ての勇者と、訓練によって力の使い方を熟知した勇者とでは差が生じる。
勇者と称されるのは、かつて魔物の王を倒したという伝承において、討伐した英雄たちの中に精霊の愛し子が四人いたため。
その他は聖女と、剣聖、剣聖の弟子で構成されたパーティだと伝えられている。
武器や能力の設定を考えるの楽しくて好きですが
なぜか本編で解説できない私です。




