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第二十二話 『再会するG』

「さて、言うべきことはすべて言った。最後に、もう一度だけ警告をくれてやろう。十秒以内におとなしく投降しろ。さもなくば今度こそ脅しではなく、撃つ」


 冷酷に、淡々と指揮官は告げる。


 ここまで来ると、もはやどうしようもない。僕は渋々両手を上げて地に膝を突く。


「拘束しろ」


 指揮官が命令すると、数人が駆け寄ってきて僕に手錠と足枷をつけた。


「よし、撤収だ。これよりポイントアルファに向かう。連れて行け」


 僕は特殊部隊に銃を突きつけられながらトラックに放り込まれた。


見張りとなる二人の兵士を中に残し、指揮官は去ろうとする。

 その後ろ姿に僕は声をかけた。


「最後に一つ、小学生くらいの少女をこの辺りで見かけませんでしたか? 親に虐待を受けて家から放り出されていたので、保護していたんですが」


「知らないな。少なくとも私たちは保護していない。以上だ」


 そう言うと、指揮官はトラックの扉をバタンと閉めた。ややあってトラックの動き出す感覚。


 ガタガタと揺れる車内に三角座りして、二人の男に銃を向けられながら、僕は考える。

 ハルカは一体どこに行ったのか。特に行く当てもないだろうし自分の意思で出て行ったとは考えにくい。やはり誰かに連れ去られたと考えるのが妥当だ。

 では誰に? 昨日戦ったゼクスの言っていることを信じるなら彼ら『フェルグラント騎士団』とやらは僕たちに手を出すことはないはずだ。まだ僕たちが一度も接触したことのない第三勢力だろうか。しかし、そんな全く手がかりのないことを考えるのは無意味だ。そして、あの指揮官も関係ないとすると、消去法的に導き出される結論は……


「『ベネット』」


 男二人をけしかけてハルカを殺そうとした誰か。そして、おそらく僕が住んでいた山小屋を燃やした犯人かその黒幕。このタイミングでハルカを狙う可能性が一番高いのは彼、もしくは彼女だろう。


「いや、あいつがやったという可能性もまだ残ってはいるな」


 警視庁トップの警視総監であり、僕の中学卒業と同時に僕を捨てた男。役に立たないと判断した瞬間に容赦なく切り捨てるし、自分の利益になるならどんな非道なことでも眉一つ動かさずにやってのけるやってのけるような、冷酷かつどこか倫理観のネジが飛んだ人物。


 きっと、あいつがそんな人間になってしまった原因は僕にあるのだろうけれど。

 そして、だからこそ、僕はあいつが僕にしたことを恨んだりはしないけれど。


 ハルカに手を出すなら話は別だ。例え撃たれたとしても喉笛に食いついてやる。


 おそらくこのトラックの行き先にはあいつがいるだろう。そこにもしハルカもいるなら、なんとしてでも取り返す。いないのならハルカを探す必要があるからすぐに脱出する。

 どっちにしろ、一暴れすることに変わりはないね。


うねる激情を身体の奥に潜ませて、僕はいつでもみんなを呼び出せるように臨戦態勢を整えた。


 トラックが止まる。


「おい、降りろ」


ドアが開かれ、指揮官の男が声をかける。


そこは、どこかの建物の中だった。ただひたすらに白いだけの廊下を歩かされ、連れて行かれた先はこれまた真っ白な十畳くらいの部屋。何一つ物が置かれていない殺風景な部屋の中、左手の壁一面に広がる窓に僕の目は自然と吸い寄せられる。


そこにいたのは――


「久方ぶりだな」


 例え声だけでもそれと気づく。当然と言えば当然。完全に予想通りの登場で、あいつ――白木真一は窓の向こう側に立っていた。



読んでくださりありがとうございます。

なんだかあまり話が進まずぐだぐだしてすいません。次回はもっと動く予定です。……多分。

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