第二十話 『刮目するG』
お久しぶりです。二ヶ月以上更新が途切れてしまい、申し訳ございませんでした。
目が覚める。
はっきりしない意識のまま立ち上がり、僕はやたらとすっきりとした宿直室を見渡す。部屋の中には僕の寝ていたソファーがぽつんとおいてあるだけ。
あれ? 昨日寝る前はもっと物に溢れてごちゃごちゃしていたような気がするんだけど、まあいいか。
なんだかぼんやりして頭が上手く動かない。顔を洗いたいけどこの部屋には水道がないみたいだ。
外に出て風にでも当たって目を覚まそうと、僕は廊下を歩く。
痛い。歩くたびに身体の節々が鈍い痛みを脳に伝えてきた。昨日の疲労がまだ残っているみたいだ。
そして僕は外につながるドアを開け、一歩を踏み出し――
目の前に広がる光景に目を見開いた。
何もなくなっていた。
まあ、もともと廃工場だから何もないのは当然と言えば当然なのだけど、それにしても何もなかったのだ。
昨日まで好き放題に伸びていた草も、捨てられていたゴミも、コンクリートの建物を残してきれいさっぱりなくなっていた。
ふと、足下に小さな白い石がいくつも落ちているのが目に留まった。その中でも一番大きいものを拾い上げて見てみると、それはネズミか何かの頭蓋骨だった。
「一体、何が……」
まるで何かがこの辺りの物を根こそぎ食い尽くしてしまったような……。
「うそ、だよね……。まさか、これって……」
こんなことができる存在など、一つしか思いつかない。
「なんでこんなことに……。そうだ、昨日ボコボコにされて返ってきて、それで……」
そこまで来てやっと僕は最も重大なことに気づく。
「ハルカ! ハルカがいない!」
昨日の夜、僕は満身創痍で帰ってきて、しかしそこには僕を迎えてくれるはずだった小さな吐息の音は存在しなかった。
部屋に荒らされた形跡はなく、ハルカが誰かに連れ去られたという保証はなかった。
でも僕は、ベッドに残る微かなぬくもりに触れたそのとき、激しく湧き上がってきた何かを抑えることができず――
そこから朝、ソファで目を覚ますまでのことは覚えていない。
「そうか、僕は……。これがあの男の言っていた暴走なのか……」
心に大きな穴がぽっかりと空いたような喪失感を抱えながら、僕はフラフラと廃工場の敷地から外に出る。
廃工場の外にはさらなる惨状の跡が広がっていた。
周囲に存在する有機物という有機物はすべて食い尽くされ、垣根や街路樹すら影もない。所々に白い何かの骨が積み重なるように落ちている。
そして――
「そこの少年! 君には昨晩からの凶暴ゴキブリ大量発生事件の首謀者の疑いがかけられている。今すぐ両手を挙げてひざまずけ!」
僕は完全武装の特殊部隊に取り囲まれていた。
読んでくださり、ありがとうございます。ここ二ヶ月ほど、スランプと多忙に悩まされ、投稿することができず、待って下さった方にはご心配をおかけしました。今回の話は非常に短く、また今後も定期的な更新の目処は立っておりませんが、エタる事だけは嫌なので少しずつですが投稿していきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。




