第十二話 『回想するG 前編』
少し遅いですが、明けましておめでとうございます。今年もどうか水面を応援してやってください。
今日はいろいろなことがあったなあ。
お母さんに命令されて公園に行ったら、怖そうな男の人達がいきなり私を殴ってきた。殴られるのはいつものことだから怖くはなかったけど、いつもよりすごい痛かった。それで、気絶するまで乱暴された。
やっぱりちょっと怖かった。
私はどこかに運ばれているようだった。目は覚めて、頭も動いていたけれど、何でか目の前はぼうっとしていて見えにくかった。
こういうの『しょうてんが合ってない』っていうんだっけ?
男の人たちは私を下ろして近くの木にくくりつけると穴を掘り始めた。それが終わると男の人はナイフを出して私の方に歩いてきた。
ああ、私、今から死ぬんだなって分かった。
でも、別に怖くはなかった。
周りの虫さんたちが早く逃げろって言ってる。でも私は逃げる気にもなれなかった。
私は生まれたときから不思議な力を持っている。
それは『虫と話せる』という力。
どんな感じって聞かれると答えにくいけど、虫さんたちの声が頭の中に聞こえてくるんだ。
こっちから虫さんに話しかけるときもあれば、虫さんが私に話しかけてくれることもあった。
でも、そのことを誰も信じてくれなかった。
お父さんとお母さんは虫は人とおしゃべりできるほど賢くないんだって言って笑った。
幼稚園のお友達からも変なこという奴ってからかわれた。
でも、否定されればされるほど、私はムキになって言い張った。
「私は虫さんとお話しできるんだ」って。
だんだん一緒に遊ぶ友達は減っていった。そして、その分だけ私が虫さんたちとお話しする時間は増えていった。
私は虫さんたちからいろいろなことを教わった。食べれる草や甘い蜜の場所から始まって、街の建物の配置や電車の発着時間。たまに遠くからやってきた虫さんに出会ったときは、日本各地の名産品(主に食べ物)や気候など。果ては日本の外、外国のお話を聞いたこともあった。
お友達がいなくなっても、虫さんが何でも教えてくれたから寂しくなかったし、そのおかげで今でも私はその辺の大人にも負けないくらい、色々なことを知っている。
……算数は苦手だけど。
小学校に上がっても私はずっとそんな感じだった。誰とも仲良くならず、ただ校庭や庭の隅っこにしゃがみ込んでブツブツやっていた。
その頃からお父さんとお母さんの私を見る目が変わっていった。
虫さんとのお話を話すといい加減にしろと怒鳴られた。
部屋の中に虫が出ると神経質なくらいに追いかけ回すようになった。
次第にその矛先は虫から私へと向き始めた。
毎日大声で怒鳴られ、殴られた。食事や洗濯などの家事を全部押しつけられた。失敗したらまた殴られた。
いつからだろう、辛いと思わなくなったのは。
虫さんとお話しできさえすれば十分だと、そう思ってしまったのは。
だから、殺されるって分かっても、怖くなかったし逃げる気も起きなかった。
虫さん達は、私が死んでしまったらなんて思うだろう。悲しくなるのかな。そうだといいな。なんて、少しだけ思ってしまった。
ナイフを持った腕が振り上げられたそのとき、
その人は現れた。
久々の投稿なのに短くてスイマセン。




