第1話 「孤独の仮面」
第1話 「孤独の仮面」
皆が被っている偽りの仮面。笑顔を絶やさない天使もいれば、怒りに狂う悪魔もいる。
午前2時。俺はこの街の中心の天辺にいる。
普段なら、寝静まった時間だ。だけど、この街は眠らない街だ。
チャラチャラした連中が、酒やら金やら女やらを好き放題する時間。
皆が素面になる時間。この時間が、俺は大好きだ。
嘘を付くのも、付かれるのも嫌いだ。
裏切りや欺きも、俺は大嫌いだ。
こんな時代に、こんな甘い事は言ってられないが。
それでも、信念は変えられない。
毎日のように、考えに更ける。そして、朝を迎える。
煙草に火をつけ、そこから吹き上がる煙を眺める。
煙草の臭いが、辺りを覆う。今は、制服姿だ。
気になるが、俺は気にしないようにしている。
学校に向かう。久しぶりだ。
久しく学校に行っていなかった。
学校に着くや否や、俺は指導室改め鳥かごに連れられた。
「久しぶりやな、多岐山。」
2年の時の元担任。確か藤里だ。
「・・・・ども。」
「この学校はなぁ、お前が来るまでは、優秀なエリート校だったんだ。」
「は」をすごく強調された。
俺は、著しく転校先を誤った。こんなエリート校じゃ、俺は完全な不良だ。
「そっすか。」こいつの話は長い。
前も、煙草がバレて1時間説教を喰らった。
その前は、暴力事件なんて大袈裟に言われる事件も起こした。
俺は悪くない。ただ、歩いてただけなのに、後ろから陰口を言われた。
そして、そのまま殴ってしまった。
先生が5人程で俺を抑えて、その足で鳥かご行きだ。
俺は、誰にも信用されていない。