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3話_副神官長様のお話

「此方の不手際で望まぬ召喚に巻き込まれてしまい…


すみませんしたぁぁあ!」


「またぁぁぁあ!?」


只今私達の足元には…


土下座した副神官長様がいます…

信じられないかもしれないけどあった事をありのまま話してるんだぜ

え?グヘヘ…と言ってた馬鹿?…制裁されました


部屋にさっきの神官上司さんがもう一人高貴な服を着た人を連れてきたんですよ…今まで見てきた白に黒い模様がチラッと入ったものではなく、白い服に金の刺繍が入ったローブのような服の上にシルクの様にサラッとした黒い布を一枚羽織っている。

この黒い布にも教団のマークが金の糸で刺繍されている…この教会はモノクロだけでは無かったのか…!


そして神官上司さん…改めアーシャさんに副神官長だと紹介されたその人はいきなり部屋に入ってくるなり素晴らしいスライディング土下座を披露してくれたんですぜ…

しかも土下座の形やっぱり違うし!


「副神官長様…と…取り敢えずお座りになられては…」


「だめだぁ!私が償わなければぁ!」


「し…しかしそのままでは話ができません」


「私が床にいればいいのだ!私に構わずお茶を入れて差し上げろっ!」


「で…ですが…」


ふーむ。なかなかアーシャさんは苦労人らしい。

そしてこの副神官長様もなかなか濃い人だなぁ…

…こーゆうのの上にいる人って大体ロクデナシかヤバイ人なんだよな…神官長にはあいたくねぇっす

副神官長が土下座するような大事だと神官長も出てきそうで怖いけど…


「神官長様はいつ帰って来るのかわからんのだ!私が神官長様の分まで謝らねば…」


あ、いないのね。よかった。


さて、ここまでなんの罪もない副神官長様が頭を下げているのかというと、この神殿は地球で言う所の『連帯責任』というものを取り入れているのだ。

誰か一人がやらかしてしまうと全員で責任を取らなければいけないので、神官が悪事を働く事もなかなかない。見て見ぬ振りが出来ないからだ。全員で止めにかかる。

なので神殿が黒い方向に動いた事もない…と思う。残念ながら街並みや教会の内部を見る限り、ここは私がいた時代よりだいぶ後のようなので私が知っている限りは、だが。


「副神官長様…どうか席について下さい」


おお、凛土さんが土下座神官様に遂に声をかけた

凛土さん…あんたはホンマ勇者やわ…

凛土 礼子。この人はわがクラスの誇るべき副学級委員長なのだ!

…え?学級委員長は?って?…それはまた今度気が向いたら話そう。なにせ学級委員長は役立たずなのだ。

委員の仕事をやっているのを見た事は一度もない。全てを凛土さんに任せて一人昼寝に勤しんでいる阿呆だ。

そして凛土さんはその後始末を負わされる…そこが神官長に仕事を放り出されて後始末を抱える副神官長さんと通じ合うものがあるのかもしれないね。


「グスンッ…ああ、すみません…皆様へちゃんと話しておかなければならないのに…つい感情的に…」

「ふぅ…では本題に入ろう…すまんアーシャ、お茶を持ってきてくれ」


やっと本題に入ってくれるらしい。

アーシャはお茶を取りに行ってしまったのでこの場にはクラスメイト達と副神官長しかいない。


「それで…僕たちは、どうなるんですか?」


と声を上げたのは栗原君__空から落ちている時必死に祈っていた奴だ__特技は何も無い所から数珠を出す事


「まさか帰れないとか?でも僕たち帰らないと!学校も家も置いてきてしまって」


「まあ慌てるな。帰る方法ならあるとも。帰るまでの間の身分の保証も教団がしよう。」


しかしそう言う副神官長は困り顔だ。


「よかったぁ!何時になったら帰れるようになるんですか?」


「あぁ…そう…それなんだが…」


あぁ、これは何か厄介ごとがやってくる気がする。そもそも此処に来て何にも巻き込まれず帰れるとは思っていなかったけれど…


「実は今回使われた異世界召喚の魔術陣は行き専用のなんだ…いや、これは魔術陣を反転させればいいのでなんとか完成するとは思うが…問題は…」


皇帝様が作った異世界召喚の魔術陣は片道切符だったわけか…帰すつもりは無かったと。

納得はいかないがもし皇帝が"私を呼び戻す為"に作った魔術陣だとすれば、そう簡単に反転させる事は出来無いだろう。


「問題は?」


「世界を渡るには莫大なエネルギーが必要なんだ。それはこの教団全員の魔力を吸っても足り無いぐらいの…」


「でも私達は此処にいるわ」


と美馬さん。彼女はこのクラスでは珍しい常識人である。


"莫大なエネルギーが必要なら、紙にコツコツと魔力を溜めたらいいのにと思うじゃん?

ところがどっこい。魔術陣には自分の魔力の限界以上には魔力を入れられ無いのだ。使う時に魔力が制御出来なくなるからである。

しかーし!他の人の魔力は自分のとは検知されないのです!なので一人では使えない魔術も二人なら使えるのでーす!"

… 以上『馬鹿でも理解する魔術』より。この本はアーシャさんが暇潰しにと持って来てくれた。この本のおかけでクラスの馬鹿共も魔術の基本は覚えただろう。

…たぶんね


「ええ。それはあらかじめ魔術陣の紙に既に他の魔力が召喚ギリギリまで入っていたからだね。誰のものかわからない一通りの魔力が」


一通り、という事はたった一人で必要な魔力をほとんど入れたという事。

神官全員を持ったとしても足りないほどの魔力を入れれる人は限られている。教団でもある程度目星はついているだろう。


「それに魔術陣とは反転させると使う魔力も倍になるんだよ。そこまで人間離れした魔力を持っているのはこの国には一人しかいない」

「皇帝様だよ」


そう、我らが英雄皇帝様である。果たして時が経った今でも元気にしているのだろうか


「だがしかし…」


「?皇帝様に頼んでもらうという事はやはり出来ないの?」


「いやいや、皇帝様はお優しい方だ。頼べば二つ返事で引き受けてくれるだろう…だが、皇帝様には会えない。」


「何故?」




「皇帝様は…ずっと前から神塔を出てこられないのだ…」


「は?」



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