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悪女の条件。  作者: ジェル
例えば、幼馴染
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悪女の懐柔計画 5

 




「申し訳ございません。失敗いたしました…」



 ぺたり、と床に張り付き、華麗なる土下座をして見せるサラに、私は身体のわななきを抑えることができなかった。



「……し、し、失敗?」


「…はい」



 失敗したのだ。やつは。

 エリオットの護衛であるシェイドの懐柔に。


 なんてことだろう。

 渾身のぶりっ子を演じて、いつもと様子の違う気味の悪いエリオットとない話題を絞り出して続かない会話を続け、紅茶を飲みつつ、表情筋の筋トレを行っていたとき、サラはシェイドに負かされたのだ。

 おお、シャンゼリゼ。なんて男だ。




「ど、どどどどうしてっ!あんなに悪女じみた笑顔で立ち向かったのに!」


「ほんと、不甲斐ないです。情けないです。悔しいです」



 目を忙しなくきょろきょろさせながら、サラは謝る。

 怪しい。

 怪しすぎるけども、詳しく説明する気は微塵もなさそうな空気を感じ取ったので、私は深く追及はしなかった。

 過ぎたことは、もうよいのだ。

 いくらサラに問うたって、シェイドが味方になってくれなかったという結果は変えようがない。

 私が次に考えなければならないことは、新たな協力者、並びに計画の進行についてだ。

 うむ、と顎に手をあてて考え込む私へ、サラがもごもごと呟いた。



「ディアナ様…」


「なに?」


「……。いえ、何でもないです」



 目があったかと思うと、ふい、と視線を下に彷徨わせてしまう。

 ほんとにサラがおかしい。

 けれど、何でもないというのだから、問うても言ってはくれないのだろう。

 私は寛大で気が長く、海のような包容力を持ち合わせた類い稀なる悪女であるからして、サラを言及することなどしないのである。






「次なる協力者はどうしましょうか」


「では、わ、私、お二人の友好関係を探ってみます!そこから、また協力者になり得る方を見つけましょう!」



 サラが、闘士燃ゆる瞳で意気込む。

 先程までと打って変わって、元気になったようである。何よりだ。

 なんの心境の変化があったのだろう。

 けれど、まだぶつぶつと呟いているので、少し怖くなった私は、明日のお茶会に向けてのコーディネートを考えることにした。



「……そうですわ、いくら好意を寄せられていたとしても、ディアナ様の目的は変わりません。そして、ディアナ様に7年間の全てを否定しかねない"王子がディアナ様を好き"などという不愉快な情報を吹き込むわけにはまいりません。婚約破棄への希望はまだありますわ。シェイド様のことは残念でしたが、仕方ありません。私、リベンジしてみせます。必ずやディアナ様のお役に立ちますわ…!」





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