7−1
ベッドの中で、ひしゃげたジッポを見つめる。蓋が少し曲がって、それからせっかくの柄が少し欠けていた。
「ハートマークに、ならないね」
笑う。
どちらにしろ、京介にこれを見せるつもりはなかった。お揃い、なんて言われても困るだけだろうから。
それでもやっぱり、
「せっかくお揃いだったのにな」
そっとそれを撫でた。
それから手を伸ばし、枕元に置いておいた、熊のぬいぐるみを抱える。あの日、京介にユーフォーキャッチャーでとってもらったぬいぐるみ。
仕事もなくなって、京介にはあっさりと拒否されて、もう何もない。
いつまでも生きているからこんなことになったのだ。
ぬいぐるみを抱え込むようにして、体をまるめた。
どうすればよかったのだろうか、とここなが眠っているはずのドアをぼんやりと見つめながら京介は思った。
心中はしない、にしても。ここなの言うとおり、抱けば良かったのか。
でも、それじゃあ何の解決にもならない。誰も救われない、と思う。
大体そんなの、悲しいだけじゃないか。
手の中のジッポに視線を落とす。
これのお礼もまだ言っていない。
嬉しかったのに。
小さくため息をついて、ソファーに倒れこんだ。
放っておけなくて傍にいた。今でも放っておけない。
でも、そうやって自分が安易にかかわったせいで、余計ここなを傷つけている。そんな気がした。
何もできないくせにどうして近づいたのだろうか。
さっさと離れてあげていれば、ここなはここまで傷つかなかったんじゃないだろうか。自分がここなに過度な期待をさせてしまったんじゃないだろうか。
彼女の期待を裏切る形で、酷く、傷つけたんじゃないだろうか。
自分は一体どこで、間違えたのだろう。




