4−2
「どう?」
一足早くここなに浴衣を着付けてもらい、ぼんやりとテレビを見ていた京介は、その声に顔を上げた。
「……おお」
ここなの姿を確認すると、感嘆の声を漏らす。
そこから沈黙。
「……なんか気の利いたコメントないわけ?」
片眉をあげてここなが言うので、
「似合ってると思います!」
慌てて京介は言った。
ここなが満足そうに笑う。こんな簡単な言葉で、とても幸せそうな顔をするなんて反則だ。
「でも意外だった。なんかこう、もっとピンクとかでレースとか付けちゃう系のを着るのかと思っていたから。丈短かったり」
「キョースケは、こういう方が好きでしょう?」
ここなは当たり前のように言って、微笑んだ。
紺地に金魚柄の極めてクラシカルな浴衣。帯は少しピンク色の平帯。上から小さな兵児帯をふわふわっと重ねていた。
「それに私も、フリルとかレースとかを浴衣につけちゃうのはちょっと違うなーって思うの。和風を楽しみたいよね」
化粧もいつものばっちり化粧ではなく、ビューラーを使わず、マスカラで少し睫毛を目尻に流しただけだ。
髪は簪でまとめていた。
「うん、その方がいいと思う。似合っている。綺麗」
改めてここなを眺め、京介は頷いた。ここながくすぐったそうに笑った。
「さて、行きましょ」
小首を傾げてここなが言った。