2話
「あのさ〜。昨日の数学の予習した?」
「したが。」
「この問題難しくない?わかった?」
「これか?」
笑わせるな。この程度の問題をお前が解けないはずはない。
何のフェイクか知らんが、こいつが犯人だという線は濃くなったな。
「あっ、そっかぁ……。まあ分かってたけどね。」
「あ?」
何をいっている、こいつ。
なるほど、こうして怒らせて反応を見てやがるんだなぁ。その手には乗らん。
一限目の始まりのチャイムが鳴った。
授業のときは俺と緑山は席が離れていて俺より後ろ側に緑山がいる。だから後ろから様子を見てやがるんだろうが、俺はいつもとなんら変わらない行動をする。
一限目が終わり。緑山はまた俺の所によって来た。
「葉上くんって授業受けてるときいつもつまらなそうだね。」
こいつは。いつもはこんなにお喋りじゃないだろ、お前は。
「実際つまらない。」
「そっかぁ。まあ分からないでもないよ。」
そんな感じで馬鹿みたいにいつもよりよく喋る緑山の話相手をしながら授業は進み昼休みに入った。
「葉上くん。今日はお弁当、屋上で食べない?」
なんと緑山はそんなことをいいはじめた。
「どうしてだ。」
そんなことをして反応を楽しんでいるのか。
「ちょっとここじゃ言えないことがあって…」
こいつは何を言っている。自分が犯人だと言っているようなものだぞ。
「………わかった。」
固く拳を握りしめ俺たちは屋上に向かった。
そして屋上には幸い人はいなかった。
「どうゆうつもりだ!!」
俺は我慢しきれず、緑山の胸ぐらを掴んでいた。
「おかど違いだよ。葉山君。」
「ふざけるな!!
お前しか考えられないだろ!?」
「もし俺が犯人ならこんな真似はしないよ。」
そのとき俺は自分でもそう思った。
もし俺でもこんな真似はどう考えてもしない。
「なら、なぜここへ呼んだ?」
「君に協力したくてね。」
「ふ、ふざけるな!俺にはお前の力など必要ない。」
「そぅかな。べつにいいけど、このままだったら確実に葉山君負けるよ。」
「どうゆうことだ。」