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永劫のセツナ  作者: ALOE
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はい/いいえ

新しく始めてみました。

土と汗の匂いにまみれた暮らしだった。

 俺は農家の子として、村の畑で朝から晩まで泥にまみれていた。父は無口で、痩せた母はいつも疲れていた。それでも飯を囲むときの笑顔は、俺にとって何よりの灯だった。

いや、思えば実際幸せだった。

仕事があり、飯もそこそこ食えるのだから。


 けれど心は、いつも遠くの町を夢見ていた。

 噂に聞く都会――城壁に囲まれた大きな街。煌びやかな屋台、商店、飲み屋街、色町、旅人、兵士。

 粗末な村では得られない何かが、そこにはある気がした。


 十六の年。村の広場に、兵士募集の張り紙が貼られた。

 近々、隣国との戦争に備えての徴兵との事だった。

 1回の出兵につき金貨2枚。 これは貧乏農家の今の暮らしでは到底稼げない額だ。

 「食えるぞ」「出世できるぞ」

 そう周囲の若者が(はやし)し立てる。俺も迷わなかった。泥と飢えに(まみ)れた日々から抜け出せるなら、剣を握るくらい安いものだと思ったのだ。

――これで母さんを楽にさせてあげれる――


 だが現実は違った。

 兵舎では、俺は最下級兵。雑用、便所掃除、槍磨き。上官の怒鳴り声が日常。

 給料は無くパンと水の一日2食。金貨二枚は()()()()()()の話だったのだ。

 それに耐えられず脱走する者も少なくなかった。

 さらに下には、奴隷がいた。縄でつながれた人間や他の種族の者たち。脱走兵や犯罪者は捕まえられ奴

 隷に落とされた。俺たち兵士よりも惨めに、罵倒され、殴られていた。

 「やれ」

 と命じられた。俺は従った。棍棒で叩き、怒鳴り、命令に従うしかなかった。昨日まで笑いあっていた

 友人に、棍棒を振るった。恨むような眼差しに耐えられず、胸の奥に後悔が積もっても、背を向け上官に激怒される勇気はなかった。


 数年後。(いくさ)が起きた。

 旗が(ひるがえ)り、号令とともに俺は歩兵の列に加わった。

 ―—やっと親に仕送りができる――

 戦場は叫びと血で満ちていた。剣戟(けんげき)の音、焼けた土の匂い、友の断末魔。

 俺は死に物狂いで槍を振るい、ただ生き延びようと必死だった。


 だが、俺の(いくさ)はあっけなく終わった。

 どこから飛んできたのかも分からぬ一本の矢が、俺の心臓を貫いたのだ。

 地面に仰向けに倒れ、空を仰ぐ。痛みよりも、あまりの呆気なさに笑いすら込み上げた。

 意識が薄れ視界が黒くなっていく間、考えた。

 俺たちは盾にされたんだ。金貨二枚につられて。


 こうやって各地の村から集められた人々は武器の扱いもまともに知らぬまま最前線に立たされ、

 本隊の時間稼ぎに使われたのだ。この中に金貨二枚を手にできた者はほとんどいない。

 

 ―—俺の人生、これで終わりかよ。なんかクソみたいだったな――


 その時だった。

 視界に、見たこともない“光の画面”が浮かんだ。


 ――これまでのステータスを引き継いで、もう一度人生を始めますか?

             はい/いいえ


「ステータス??」 

意味は理解できなかった。だが不思議と恐怖はなかった。

 俺は、自然に「はい」を選んでいた。


 次の瞬間、暗い水の中で目を覚ます。

 心臓の鼓動、母体の温もり。

 ―—ここは? なぜかとても懐かしい――

 その感覚からまたスキップし

 ――そして気が付けば俺は3歳になっていた。

何故3歳である事が認識できたのか。

俺はこの時椅子から落ち、野菜を入れる木箱のカドににおでこをしこたま打ち付けた。

鈍い音と共に視界が白く弾け、同時に“前の人生”が脳裏に閃光のように駆け抜けた。

その瞬間、はっきりと思い出したからだ。まさにこの時頭を打ったのが3歳だったのだ。

その時にできた傷は一生残り、両親が俺の事を語る時、必ず出て来るエピソードだったのだ。


そうして()()()の人生が始まった。

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