30話 聖女の抱擁 未知なる快感
※本話は、バステルの夜におけるアヤの肉体的な葛藤を深く描いたお色気回となります。
R15程度の刺激の強い描写が含まれますので、苦手な方はご注意ください。 なお、物語のメインストーリー(バステルの探索等)には直接影響しない番外編的な内容ですので、スキップしていただいても問題ありません。
先に上がったエレナが、浴室からゆっくりと出てきた。
薄い寝巻き一枚を羽織っただけの彼女は、湯上りの熱で頬を桜色に染め、濡れた金髪が首筋や肩に色っぽく張り付いている。
湿気を含んだ布地が体に沿い、柔らかな曲線をほのかに浮かび上がらせる。
甘いハーブの湯の香りと共に、彼女の体温が伝わってくるような近さで、俺の鼻先をくすグってきやがった。
やべぇだろ。こんなの反則だろでしかない。
男としての意識が、情欲が出てきそうだ。
「結婚前の乙女がそんな格好してるんじゃねえよ」
「なんですの?同じ女性なのに?」
まぁそうですよね。俺は冷静になるためにそそくさとお風呂場に向かった。
「街の探索は明日からだ! 今日はゆっくり休もうぜ!」
浴室から叫ぶ俺に、エレナのくすくすとした、どこか楽しげな笑い声が返ってきた。
「エレナはベッドで寝てくれ。俺はそこのソファで寝るから」
女性を椅子とかで寝させるわけにはいかねえ。
ソファといえどもふかふかして寝心地は良さそうだしな。
「だめですわ! 同性なんですし、この通りベッドは十分広いんですもの、一緒に寝ればいいじゃないですか?シビさん、私のこと避けてるんですの?もしかしてあの時の事がまだ何か思っていますの?」
少し拗ねたような、まっすぐな瞳で訴えられて、俺は言葉に詰まった。
「……っ。分かったよ、一緒に寝ればいいんだろ」
聖女の純粋で少し意地っ張りな視線に押し切られ、俺は仕方なく一つの大きな毛布に潜り込んだ。
ベッドは確かに広かったが、それでも隣にエレナがいる距離は、危険なほど近い。
部屋の灯りを落とすと、窓から差し込む月明かりが室内をぼんやりと照らす。
隣でエレナの寝息がすぐに穏やかになり、彼女は早々に深い眠りについた。
今日もいろいろあったし、安全な場所でゆっくり休めるときには早く眠った方がいい。
俺もそろそろ眠気がやって来た時だった。
無意識に温もりを求めてか、エレナがゆっくりと身を寄せてくる。
柔らかな金髪が俺の頬に触れ、温かい吐息が首筋にかかる。
甘いハーブの残り香と、彼女自身の優しい匂いが混じり、鼻腔をくすぐってくる。
「……んぅ……シビ、さん……」
甘く掠れた寝言に、俺の名前が混じる。
どんな夢を見てやがるんだ。全く、出演料を取るぞ。
そう心の中で毒づいた瞬間、細い腕が俺の背中に回り、ぎゅっと抱きしめられた。
薄い寝巻き越しに伝わる体温と、柔らかな胸の感触が直接胸元に押しつけられる。
エレナはさらに無防備に顔を埋め、温かな息を吹きかけながら、まるで安心を求めるように唇を寄せてくる。
柔らかな感触が、敏感な肌に直接触れる。
「ん……はぁ……っ」
自分の喉から、抑えきれない甘い吐息が漏れた。
若い身体の反応はあまりに正直で、熱が急速に下腹部に集まり、頭がぼうっとする。
理性では「ただの寝相だ」と言い聞かせるのに、身体は勝手に熱を帯び、敏感な部分が疼き始める。
じわじわと甘い痺れが広がり、息が浅くなる。
さらにエレナが小さく身じろぎし、しなやかな太ももが俺の脚の間に滑り込む。
無意識の動きで、最も敏感な部分を優しく、しかし執拗に圧迫してきた。
布越しでも伝わる熱と柔らかさが、ゆっくりと擦れるように動く。
――っ、なんだこれ……? 何か、来る……?
下腹部の奥から、得体の知れない熱い塊が膨張していく。
男性の時のような一瞬の爆発じゃなく、身体全体が溶けていくような、甘く重い波がゆっくりと押し寄せてくる。 息が詰まり、喉から甘い声が漏れ、指先が震える。
怖い……っ、なんだこの感覚は? 止まらない、どんどん大きくなって……!
理性が叫ぶ。「耐えろ、耐えろ」って。
でも身体はもう言うことを聞かなかった。
俺の身体ではなく、何か勝手に操られているかのように、身体がエレナの太ももに合わせて動き出す。
エレナの無垢な温もりと、自分の甘い息遣いがすべてを加速させる。
そしてついに、それがやって来た。
一気に視界が白く染まり、身体の芯から爆発的な甘い衝撃が広がる。
男性の絶頂とは比べ物にならない、深く、長く、身体全体を震わせるような大波。
頭の中が真っ白になり、喉から抑えきれない高い声が漏れ、指先まで痺れる。
波は一度で終わらず、余韻が長く続き、身体を甘く溶かしていく。
罪悪感と背徳感が混じりながらも、抗えなかった。
体が激しく震え、意識が甘い霧に包まれる。
限界を超えた快楽の果てに、俺は深い眠りにというよりは、意識を手放すように落ちていった。
翌朝。窓から差し込む朝陽が、豪奢な部屋を優しく照らす。
俺は重い瞼を上げた瞬間、魂まで削り取られたような底なしの疲労感と、猛烈な自己嫌悪に襲われた。
隣では、エレナがすでにスッキリと起き上がり、満面の笑顔で俺を見下ろしている。
「おはようございます、シビさん! ぐっすり眠れましたか?」
その無垢で輝くような笑顔に、俺は一瞬言葉を失った。
「……ああ。……バステルの夜は、予想以上に……長くて、過酷だったな……」
掠れた声でそう返すのが精一杯だった。
エレナは首を傾げて、くすくすと笑う。
「ふふ、シビさんったら大げさですわ。でも、私、すごくよく眠れました。なんだか安心して……とても温かくて、心地よかったですの」
「……お前、絶対に誰かと一緒に寝るのはやめた方がいいぞ」
昨夜のあの甘い地獄を、エレナは完全に無自覚だったらしい。
一方の俺は、身体の反応に振り回され、理性がボロボロなのに。
エレナは少し思い出しているように目を細め、ぽつりと続けた。
「失礼ですわ、あ、そういえば……昔、寝床が足りなくて同僚のシスターと一緒に寝たことがあったんですけど。翌朝から一週間ほど、彼女、わたくしの顔を見るたび真っ赤になって、もじもじして話してくれませんでしたわ。どうしたのかしら、って心配したんですけど……」
……おい、それ完全に同じ症状じゃねえか。そのシスターの気持ち、今なら痛いほど分かるぞ……!
俺は無言で天井を仰ぎ、深い深いため息をついた。
無自覚だから本人に問い詰めることもできないしな。
どうやらエレナの寝相というか無意識の密着攻撃は、相手が女性でも容赦ないらしい。
聖女の無自覚な破壊力、恐るべしといったところか。
もう二度とあんな夜を繰り返したくない。
俺は震える手で革袋から追加の宝石を取り出した。
昨日バラ撒いた金貨に匹敵するほどの価値があるやつを一つ取り出すと、ベッドから飛び起きて部屋の扉を開け、廊下に立っていた宿のマスターに叩きつけた。
「これで、シングルベッドをもう一つ用意してくれ! 今すぐだ!」
マスターは突然の宝石に目を丸くしながらも、ニヤニヤと笑って受け取った。
「へいへい、了解ししたぜ。すぐに極上のやつを運び込ませるから待っておいてくれ」
俺は扉を閉め、背中から崩れ落ちるようにベッドに倒れ込んだ。
昨夜の「地獄」を二度と繰り返さないために。俺自身が、俺であり続けるために。
そして、何よりエレナの無垢な笑顔を、これ以上汚さないために。
……でも、正直なところ、心のどこかで少しだけ惜しい気もしたが、命と理性を守るためには仕方ない
エレナは「せっかく広々としていましたのに」と不満げに文句を言ってきたが。
「お前が隣では俺が熟睡できない。コンディションが最悪な状態で戦えというのか?」と突き放すと、最後は素直に了承してくれた。
その後、この部屋には最高級のダブルベッドが一つとシングルベッドが一つ、一定の距離を保って並べられることになった。
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