そうして
イツキノカコマデ…サイゴノオハナシ
優馬は伊月と付き合うことになって今までにないくらいの達成感を感じていた。しかし寝る前に伊月に無理やり突き合わせてしまったのではないかととても不安に感じていた。だが、優馬はやったからにはやろうと意気込んでいた。
優馬(なんだろうと先輩と付き合えたんだ。幸せにしなきゃ。明日から楽しみだな…)
次の日の朝、伊月は学校に行くために髪の毛をセットしていたときのことだった。伊月の家のチャイムが鳴る。
ピーンポーン
伊月(誰だ…?こんな朝早くに)
「はーい」
そう言って扉を開けると扉の前には優馬の姿があった。伊月は頭を抱える。
優馬「迎えに来ちゃいました!彼氏ですから!」
伊月「…色々聞きたいことがあるんだが、まずお前はどうやって俺の家を知った」
優馬「前田先輩(伊月の同級生)に聞きました!嫌でしたか…?」
伊月「いや、来てくれたのは嬉しい。ありがとう。」
ふっと笑う伊月を見て朝から目の保養だなと思いながら優馬は伊月の準備が終わるのを玄関で待った。伊月の準備が終わり、二人は登校の道でいろいろな人話をした。
優馬「先輩ーすきです♡」
伊月「は?!いきなりなんだ」
伊月は焦りだし一気に顔が真っ赤になる。
優馬「え、昨日言ったばかりじゃないですか〜笑先輩こんなんで照れちゃうなんてかわいいですね」
伊月「はあ…先輩をからかうのもいいかげんにしろよ?」
優馬「は〜い」
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その日の部活中
優馬「先輩、今日もめっちゃいいタイムですね。はい、水分補給してください。」
眩しい笑顔で優馬は伊月に水筒を渡す。
伊月「あぁ、ありがとう…。ゴクッ」
優馬「あ!あとフォーム崩れてましたよ!ちょっと来てください。」
そう言って優馬はプールに飛び込み伊月の身体に触れる。伊月は顔をしかめ、すこし戸惑いながらも彼の言うとおりに体を預ける。優馬の指が軽く肩を抑え、フォームを直そうとしてくる。そのとき、指先が触れる一瞬にいつも感じることのない微かな電流が走った。
優馬「ほら。こうやって。」
優馬の声がいつもより低く、響く。
その瞬間、高瀬は不意に胸の奥で何かが弾ける音を感じた。けれど、それが何かを認めたくない自分の気持ちを播き立てるようで、すぐに首を振って頭から追い払った。
伊月「あ、ありがとう。でももう大丈夫だ。」
優馬は少し残念そうにしていたが、すぐにニッっと笑い引き下がった。
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練習後…
優馬「お疲れ様です。今日は一緒に帰りましょうね?送っていきます。」
伊月「ああ、そうだな。ところで朝お前が彼氏とか言ってたが…どういうことだ?」
優馬「あー、先輩がかわいいんで彼女かな〜って。」
伊月「俺は…女じゃないぞ?」
優馬「はい!でも先輩が好きだから好きなんです!」
伊月は胸を打たれた。優馬が真剣に伊月に向き合っているんだということに。優馬のその一言に耐えられなくなって涙を流してしまった。
優馬「えっ…ちょ、先輩!?大丈夫ですか!?体調悪いんですか?それとも俺、なんかしちゃいました!?」
伊月「いや、違う…ズッ……お前が…ただただ…ズッ………眩しかっただけだ。」