告白
数日後、優馬と伊月は練習後に更衣室で二人きりになった。濡れた前髪をかきあげ、「今日も疲れたな、お疲れ」と伊月が優馬に声をかける。
優馬「そうですね~今日も先輩すごかったっす!」
伊月「それはそうと、あの相談のことなんだが、結局解決したのか?」
優馬はぎくっとした。今までにないくらい心臓が早く動く。
優馬(い、今しかないのか、誰もいないし…)
伊月「…?」
優馬は生唾を飲み意を決した。
優馬「俺…先輩のことが好きなんです!」
伊月「…は?」
伊月の反応を見て優馬はやらかしたと思った。勢いでやっていいもんじゃなかった。もっと状況を見て…。でも言ったからには止められない。優馬は伊月に返事を乞う。
優馬「先輩…俺恋愛の意味で好きなんです。お返事もらえませんか。」
伊月「…」
優馬(あぁ、終わったな。)
伊月「…俺、恋愛ってのがよくわからないんだ。」
優馬「え?」
伊月「昔色々あってな。恋愛ってなんなんだろうって考えることが多かった。最近はずっとそういうこと考えないようにしてきたんだ。」
意外だった。あんなにイケメンで優しくて格好良くてみんなの憧れでモテモテである伊月が恋愛というものに無関心なんて…。優馬は伊月に詰め寄り、提案をする。
優馬「……わかりました。一つ提案してもいいですか?」
伊月「……ああ」
優馬「1回俺と付き合ってみませんか?俺が伊月先輩に色々教えてあげます。」
伊月「…え」
優馬「先輩に昔何があったのかわからないけど、俺は先輩のこと諦められないし、先輩が嫌じゃないなら…。」
伊月はここまで自分のことを想ってくれている後輩がいることに驚いた。確かに最近親しくしてくれるが、好意が向けられているとはまるで想像もしていなかった。
伊月(あのことも…彼と一緒にいれば忘れられるのか…。)
伊月は優馬の誘いに自分の過去を乗り越える希望を感じた。
伊月「…あぁ、本当に、お前ってやつは」
優馬「…?」
伊月「俺を変えてくれ」
優馬「…!!はい!」
そして伊月は優馬と付き合い始めた。ただし伊月はまだ優馬に恋心を抱いているかと言われるとまだ自分では理解できていない。ただ、昔を忘れようと彼の提案に縋った。もう一度、恋をできたなら…。